BEASTARS:板垣巴留×YOASOBI 豪華かつ異色コラボで生まれた「化学変化」

「BEASTARS」のオープニングテーマ、エンディングテーマを手がけた(左から)YOASOBIのAyaseさん、ikuraさん、原作者の板垣巴留さん
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「BEASTARS」のオープニングテーマ、エンディングテーマを手がけた(左から)YOASOBIのAyaseさん、ikuraさん、原作者の板垣巴留さん

 「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載された板垣巴留さんのマンガが原作のテレビアニメ「BEASTARS(ビースターズ)」の第2期がフジテレビの深夜アニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」ほかで1月6日にスタートした。原作は「マンガ大賞2018」に選ばれたことも話題になった人気作で、第2期は、音楽ユニット「YOASOBI」がオープニングテーマ「怪物」、エンディングテーマ(ED)「優しい惑星」を手がけたことも話題になっている。YOASOBIは、小説を原作として楽曲を制作しているが、OP、EDも板垣さんの完全書き下ろしオリジナル小説を元に制作し、「BEASTARS」の世界観を色濃く反映した楽曲に仕上がった。「創作と創作がぶつかり合う化学変化を感じました」という板垣さん、YOASOBIのAyaseさん、ikuraさんに豪華かつ異色のコラボの裏側を聞いた。 

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 ◇お互いをリスペクト

 --それぞれの作品の印象は?

 板垣さん 物語と音楽の親和性を大切にしていて、若い人を魅了しているのが、素晴らしい流行だなと思っています。日本は、言葉の文化を大切にしているところもありますし、はやるのもうなずけるなぁと。

 Ayaseさん 光栄です。「BEASTARS」は、純粋に大好きな作品です。物語の切り口が独特で、キャラクターが動物らしく本能のまま生きていますが、人間らしく生々しくも見えます。読み手に爪痕を残す作品。いろいろ考えさせられます。キャラクターのビジュアル、内面も魅力的です。全員が欠けている部分があって、愛着がわきますよね。

 ikuraさん 動物の物語なので、遠いようで、人間の世界にも通じて、ハッとさせられる言葉があったり。人間の世界の問題を動物の視点で見ることで、学ばせていただいています。

 --Ayaseさんとikuraさんが好きなキャラクターは?

 Ayaseさん レゴシですね。ほかのマンガだと主人公じゃなくて、ライバルキャラを好きになりがちなんですけどね。「BEASTARS」だとルイとか。でも、レゴシが本当に格好いい! 不器用でひたむきに真っすぐで、悩んで……と。スタイルもいいですよね。私服の時、マジで格好いい。靴屋に行った時のレゴシが好き。

 ikuraさん ルイ先輩かハルちゃんが好きです。ハルちゃんは性格が強めですけど、自分と重なる部分もあったり。

 ◇刺激、喜び コラボで起きた化学変化

 --主題歌はどういうプロセスで制作された?

 板垣さん まず小説を依頼されて、書いたのですが……。

 Ayaseさん 具体的なイメージを伝えてお願いしたわけではないんです。

 板垣さん そうなんです。だから、最初はびっくりしました

 Ayaseさん むちゃぶりですみません。

 板垣さん すごく貴重な体験でした。どうしたらいいのか分からないところもありましたし、書いた後は丸投げです(笑い)。

 Ayaseさん 本当にすてきな小説で、言葉の選び方が美しいんです。マンガは絵のタッチ、筆遣いを感じる一方、小説は文字だけですが、距離感がより近づいたように感じました。マンガではなく、小説だったことで、よりイメージしやすかったところもあります。いつもとプロセスは同じなのですが、マンガからもインスピレーションを受けました。小説は、「BEASTARS」の大きく物語の一部ですし、そこはこれまでとは違うところもありました。難しかったけど、やりづらいわけではなく、もっといろいろできる!と燃えるところがありました。「BEASTARS」をより深く知ることができたと思います。

 --板垣さんが小説を託す時に要望などはあった?

 板垣さん なかったです。

 Ayaseさん 僕からも特に質問などはしていません。ここはどうなんですか?と聞かないことで、シンプルに一ファンとしての視点を入れることができます。普段からそうなんですけど、一ファンの目線で再解釈して作っているところもあります。質問したくなることもありますが、どういうことなんだろう?と考えながら作っているので。

 --完成したOP、EDを聴いてみて感じたことは?

 板垣さん OPが先だったのですが、イメージが覆されました。「BEASTARS」のコンセプトをくみ取っていただき、挑戦していただけたんだろうな……とうれしかったです。EDの場面を原稿で描いていた連載当時はスケジュールが厳しくて、気が立ってて激しい曲ばかり聴いていたんです。だから激しいイメージをしていました。いい意味でイメージと違いましたし、創作と創作がぶつかり合う化学変化を感じました。YOASOBIさんとコラボしたからこその喜びがあります。ラッキーですね。

 --YOASOBIにとって挑戦になった?

 Ayaseさん 挑戦させていただきました。やったことがないアプローチですが、意識して今までと違うものを作ろうとしたわけでなく、小説から受けたインスピレーションを素直にだした結果なのですが。YOASOBIの可能性を広げていただいたように感じました。刺激的でした。

 ikuraさん 原作マンガ、小説の印象を受けて、OPは今までやったことがない歌い方に挑戦しています。EDは、イブキが亡くなるシーンということもあり、激しさがあるのですが、優しさも感じるシーンなので、優しく包み込むように歌いました。

 ◇早くも次の連載に意欲

 --今後、挑戦したいことは?

 Ayaseさん ライブがしたいです。このご時世で難しいのですが、準備期間と思って、来たるべき日に向かって準備をしています。面白いことができると思っていますし、ライブで表現を広げる挑戦をしてみたい。革新的なことをやって、いい意味で裏切っていきたいですね。

 --「BEASTARS」は2020年10月に連載を終了しました。板垣さんは今後、どんな作品を描いていく?

 板垣さん 連載中に、いつかやりますよ!と約束していたお仕事があり、筋を通してやりつつ、「BEAST COMPLEX」(『BEASTARS』の原点となったマンガ)の短期集中連載もあります。でも、やっぱり長期連載はやりがいがありますし、やりたいです。今年にはやりたい! 連載終わった後、1、2週間休みましたが、早く次の仕事がしたいな!となったり(笑い)。週刊連載が、日常生活に染みこんでいたので、ないと寂しいんですよね。

 --最後にテレビアニメ第2期の見どころを教えてください。

 板垣さん ルイが大人の社会に入り、レゴシも巻き込まれ、子供から大人への成長、不安を感じるところもあります。幅広い年齢層の方に届いてほしいですね。

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