全領域異常解決室
第10話 その答えは、神のみぞ知る―悠久の時を超えた絆
12月18日(水)放送分
“若手脚本家の登竜門”と言われる「第32回フジテレビヤングシナリオ大賞」大賞作を映像化したドラマ「サロガシー」で主演を務める女優の堀田真由さん。2018年の「チア☆ダン」(TBS系)や2019年の「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)といった話題の学園ドラマに出演し、昨年は2度目の朝ドラ(NHK連続テレビ小説)となった「エール」では、主人公をふってしまう“踊り子の志津”として、その悪女ぶりと共に視聴者に強い印象を残した。そんな堀田さんは今回が初のドラマ主演。LGBTQやサロガシー(代理母出産)が題材で、ゲイの兄のために代理母として出産することを決意する主人公・江島環を演じた堀田さんに話を聞いた。
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「サロガシー」は、昨年、応募1567作品の中から「フジテレビヤングシナリオ大賞」の大賞に選ばれた的場友見さんの脚本をドラマ化。主人公の環(堀田さん)とその家族が、LGBTQやサロガシーに向き合っていく姿を描く。ゲイの兄のために代理母出産することを決意した環は、妊娠4カ月を過ぎたころ、両親に妊娠の事実を初めて告げる。しかし、「お兄ちゃんの子」だと言う環に両親は取り乱してしまい……と物語は展開する。
ドラマには、斎藤工さん、細田善彦さん、松本若菜さん、猪塚健太さんも出演。斎藤さんは環が勤める会社の先輩・神谷晃、細田さんは環の兄・聡、松本さんは聡の元彼女・西岡麻友、猪塚さんは聡のパートナー・水野圭人を演じる。
脚本を読んだとき「本当にこの時代を象徴する話だと感じました」と話す堀田さんは、「だからこそ、今やるべき作品に主演としてお声がけいただいたことを、とても光栄に感じました」と振り返る。
今回、代理母出産によって子供を授かったゲイのカップルによる書籍「ふたりぱぱ」を事前に購入。「自分自身で読んで『ここの話、すごくいいな』『ここは大切だな』と思った部分にマーカーで線を引いたりして」LGBTQやサロガシーについて知識を深めたという堀田さん。
社会的メッセージがある作品をやる上でのプレッシャーは当然あったはずだが、「これを見てくださった方が、どういった意見を持たれるのか。そこは不安でもあり、すごく楽しみでもあるというか。でも、きっと誰かが声を上げるべきものでもあるのでは」と使命感をのぞかせ、「何か一つ、大きなテーマを社会に提示できるような作品なので、視聴者の方の意見が、全部が全部、肯定的なものになるとは思ってはいませんが、『サロガシー』という言葉だけでも知っていただく一歩になればと」と思いを語った。
現在22歳の堀田さんは初のドラマ主演に加え、役を通じて「出産」と「母になること」の二つを初めて経験した。
「出産の痛みだとか、不安だとかそういうのはもう想像でしかないので、実際に子供のいるお母様たちには到底近づけるものではないのかもしれない」というのは重々承知。その上で、「そこをすごく意識するというよりかは、結婚もしたくない、子供も欲しくないと思っていた主人公の環が、出産を経験することによって、成長して母性が生まれる、という部分。その心情がどのように変化するのかを、しっかりと演じたいと思いました」と話す。
「母になること」についても、「これもまだ経験していないので、漠然とした“大きな何か”という感じでしかない」としながらも、「私は今22歳で、今年23歳になるのですが、すでに母親になっている友達もいて、どこかずっと遠い存在に思っていたものが、実際にはそうでもないんだとなってきている。どのくらいの年齢で自分も母親になるのか、もしくはならないのか、今は分からないですが、自分自身がもし子供をもてたら、改めてもう一度、出産するシーンをやってみたいなってすごく思いました。『何が』って明確に言葉にできないのですが、女優として何か大きなものを得たような気はします」とほほ笑んだ。
そんな堀田さんに「主演」への思いも聞いた。「役に対する向き合い方、現場でのたたずまい、人それぞれかと思うのですが……。私がすごく憧れる『主演』の方々は、皆さん共通して作品に対する愛が一番、強いように思えて。作品は、監督やスタッフさん、周りの皆様と一緒に作り上げていくものではあるのですが、『こういうふうにしてほしい』という部分を体現するのはやっぱり役者。その中でも自分の意見をはっきり言えて、全体を見ることができる、そういった人が主演にふさわしい人なのかなって思っています」と持論を披露。
また、女優デビューから約5年が経過し、「立ち位置みたいなものが変わってきたと感じる」という堀田さんは、「これまでは、役を演じるってことが『楽しい』とか、すごく前向きなものが多かったように思うのですが、最近は作品を積み重ねてきて、いろいろな方が知ってくださっている上で、その期待に応えたいという意味での『不安』というものは少し出てきたのかなって感じています」と告白。続けて、「テーマや役は作品によって全然異なるのですが、どこかに前作を超えていかければならない、という気持ちはあって。そこは常にもがきながらやっていくしかないのかなって思っています」と力を込める。
最後に「私自身、心を動かされる作品にたくさん出会ってきたので、人の心を動かしたり、何か希望を持ってもらえるような作品作りには今後も携わっていきたいです」と目を輝かせると、「今回も『サロガシー』もまさにそうですし、(規模が)大きい小さいに限らず、自分が『誰かに届けたい』と思えたその作品が、誰か一人にでも響けば正解なんじゃないかって、その気持ちはこれからも大事にしていきたいです」と語ってみせた。
「第32回フジテレビヤングシナリオ大賞『サロガシー』」は3月24日深夜0時55分~同1時55分にフジテレビ(関東ローカル)で放送される。