解説:ドラマ“ぼくほし”の堀田真由はなぜ「過去イチ可愛い」のか 絶妙なリアクション、役への理解度の深さが生む共感性も魅力に

連続ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」で幸田珠々を演じる堀田真由さん=カンテレ提供
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連続ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」で幸田珠々を演じる堀田真由さん=カンテレ提供

 磯村勇斗さん主演の連続ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」(カンテレ・フジテレビ系、月曜午後10時)に出演する堀田真由さん。舞台となる「濱ソラリス高校」の教師・幸田珠々を演じている。珠々は、磯村さん扮する主人公・白鳥健治の良き理解者であり、またドラマのヒロインだ。回を重ねるごとに心の距離を縮めてきた2人の清涼感を含んだ恋模様も見どころの一つで、珠々役の堀田さんに対して「過去イチ可愛くてキレイ」なんて声も。ここでは、本作における堀田さんの俳優としての魅力に迫ってみたい。

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 ◇視聴者に「過去イチ可愛くてキレイ」と言われる所以

 “ぼくほし”と略されるドラマは、2015年度後期の連続テレビ小説(朝ドラ)「あさが来た」、2021年の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」などで知られる大森美香さんのオリジナル。独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村さん)が、少子化による共学化で揺れる私立高校にスクールロイヤー(学校弁護士)として派遣されることになり、法律や校則では簡単に解決できない若者たちの青春に、必死に向き合っていく姿が描かれている。

 物語の舞台となる「濱ソラリス高校」は、男子校の「濱浦工業高等学校」と女子高の「濱百合女学院」が合併したばかりで、校内では次々と問題が起こる。その都度、対応にあたるのが健治や珠々で、当然、2人が一緒にいる時間は増え、心の距離も徐々に接近。健治が自身の過去を珠々に告白した第5話の“夏合宿回”を経て、すでに互いが互いを想(おも)い合っている状態にあるはずだが、まだ明確な告白シーン(第6話でそれに近いものはあったが)はない。そんなどこかじれったくて愛らしい2人の様子を、磯村さん、堀田さん共々、実に繊細にナチュラルに演じている印象だ。

 特筆すべきは堀田さんが珠々として見せるリアクションだ。独特の感性を持つがゆえの健治の行動は時として突拍子もないが、そこに対するリアクションがまた絶妙。第5話の“夏合宿回”で健治から手に触れられた際は、珠々の鼓動が画面を通して伝わってくるほど。川辺での告白後に健治が寝落ちしたシーンも同様で、消化しきれない“ドキマギ“を見事に体現していた。

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 この辺りのリアクションや表情が、視聴者に「過去イチ可愛くてキレイ」と言われる所以となっているのだろう。

 ◇俳優デビュー10周年で挑む「初めての高校教師役」

 かつては「チア☆ダン」(TBS系、2018年)や「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系、2019年)といった話題の学園ドラマに生徒役として出演し、10代女子特有の気持ちの揺れや複雑な心情を丁寧に演じてみせた堀田さん。

 近年は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)や「ドラマ10『大奥』」(2023年)などのNHK作品、「アンチヒーロー」(2024年)や「御上先生」(2025年)といったTBS系日曜劇場を中心に、より成熟した演技を披露と、役者として大きく飛躍を遂げた感があるが、役としてのイメージは「凛として美しい」「芯があり(表向きは)強い」がどちらかといえば多かった気もする。

 一方で、“ぼくほし”の珠々役は、「敬愛するほど宮沢賢治の大ファン」というオタク気質な部分を含めて、とにかくチャーミングさが目立っている。堀田さんによると、俳優デビュー10周年で挑む「初めての高校教師役」。キャラクターについては「特別に秀でていることがなく、平均点を取り続けることに、コンプレックスを抱いている人物」という位置付け。さらには「『普通』という言葉はネガティブに捉えられることもありますが、共感性が高いことや優しさを持っているということだと思います」とも語っていて、この役に対する理解度の深さも堀田さんの俳優としての魅力の一つと言えるのでないだろうか。

 その言葉通り、高い共感性と優しさで健治や生徒に寄り添う幸田珠々として、まだまだ視聴者をドラマに惹きつけてくれるに違いない。

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