ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
20周年を迎えたピンクのクマのキャラクター・いたずらぐまのグル~ミ~のテレビアニメ「いたずらぐまのグル~ミ~」が、4月12日からTOKYO MXでスタートする。アニメでは、山寺宏一さんがグル~ミ~、花江夏樹さんがグル~ミ~の飼い主・ピティーくんをそれぞれ演じる。二人は所属事務所が同じ、先輩後輩で、花江さんは山寺さんに憧れて、入所したという。山寺さんは、大活躍中の花江さんへの思いを「僕は、本気で花江夏樹に嫉妬している男」と明かす。共演の感想や声優としてのこだわりを聞いた。
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グル~ミ~は、森チャックさんが2000年に発表したキャラクターで、ピンクのクマの口や鋭い爪が血だらけという可愛さとバイオレンスが共存した作風が話題となった。アニメは約60秒のショートアニメで、凶暴なクマ・グル~ミ~と、子グマの時にグル~ミ~を拾い、大人グマになり凶暴化してもけなげに育てる飼い主のピティーくんの日常が描かれる。
――出演が決まった時に感じたことは?
山寺さん ビックリしました。グル~ミ~は、血が垂れているけど可愛いじゃないですか。それをどういう声でやっていいか、全く想像が付かなかったし、これだけ人気のあるキャラクターをなぜ僕に?と思いました。花江夏樹のバーターなのかなって。
花江さん いやいや、逆ですよ。この芸歴で、声優界の神と言われているのに、そういう気持ちが芽生えるというのが本当に……やめてほしいです(笑い)。
山寺さん 本気だから。本気で言っているんだから。
花江さん 出演が決まって、僕もうれしかったです。山寺さんと共演することはそんなには多くないので、こうやって共演させてもらえるのも貴重な経験です。
山寺さん そこは必ず書いておいてください(笑い)。花江夏樹がそう言っているというのは大事なので。影響力があるんですよ。
――アニメは、グル~ミ~に噛みつかれても殴られても、優しく接し続けるピティーくんとのやり取りがコミカルに描かれます。アフレコを見学しましたが、グル~ミ~のうなり声や「グマ!」という鳴き声は獣そのものでした。
山寺さん アフレコを終えて、結構喉が痛いです。せりふは、日本語を一つもしゃべっていない。全編通して、言葉をしゃべらない役は久々です。花江君と一緒に録(と)れたので、楽しくやらせていただきました。
花江さん ピティーくんとグル~ミ~の関係性、やり取りがほほえましいんですけど、やっていることは痛いんですよ。毎回殴られてたりしていて、ピティーくんはすごいなと思いました。
山寺さん 本気でやりました。(原作者の)森先生から猛獣の感じを表現してほしいと言っていただいたので、そういう気持ちでやりました。
花江さん 受ける方も本気でした。最初は、ピティーくんがあまり痛みを感じていないというか、ギャグ寄りの聞こえ方がいいのかなと思っていたんですけど、痛々しい方向でやってほしいというディレクションを受けたので、「痛い」という気持ちでずっと受けていました。
山寺さん いつかピティーくんが凶暴になるのも見てみたいですよね。花江君は絶叫が得意ですから。普段優しいのに、そこから怒りに燃える演技は、今日本で一番すごいですから。
花江さん いやいや(笑い)。
――今回のアニメでグル~ミ~に本格的にボイスが付くことになりました。
山寺さん ずっとグル~ミ~を愛してきた方がどう思うか、とても心配はあるんですけど、楽しみでもあります。これをきっかけにグル~ミ~を好きになってくれる方が増えたらうれしいですね。
花江さん 頭を空っぽにしても見られるような幸せなアニメだなと思います。やっていることはひどいんですけど(笑い)。ちょっとした合間に見て楽しんでもらえたらうれしいです。
――山寺さんから見た花江さんの印象は?
山寺さん 今回のアフレコでも、何の心配もないというかね、自分の演技に没頭すれば作品がよくなるだろうと思える。僕は、この10年でこれだけ進化した声優の後輩は見たことがないですから。今回も演技の方向性が変わるところがあったのですが、ぱっと調整ができるし、ギャグのセンスも持っている。数年前までは心配していたんですけどね。
――花江さんは、山寺さんがMCを務めたテレビ東京の朝の子供向けバラエティー番組「おはスタ」の後任として、2016~20年にMCを務めました。
山寺さん 僕の後にMCをやって、最初は「大丈夫、はなちゃん?」と思っていたけど、今は逆に俺を心配してくれっていうね(笑い)。進化がすごいです。猫の成長より早いんじゃない? 花江は、デビューして何年だっけ?
花江さん 10年ですね。
山寺さん 来年あたりには抜かれてしまうだろうなと。もう若干抜かれてますけど。
花江さん いやいや、そんなことないですよ。
――山寺さんから花江さんへアドバイスをされることは?
山寺さん 一切ないですね。(花江さんとは)「おはスタ」で会う機会のほうが多かったよね。だから、こんなにどんどん成長していることを知らなかったです。でも、(花江さんが出演している)「鬼滅の刃」は全部見ているんだけど(笑い)。
――花江さんは、これまで山寺さんから受けた印象的な言葉は?
花江さん 声優としてというよりは、仕事のスタンスとして「自分の苦手に思っていることも試しにやってみればいいじゃん」と。自分が断って、誰かにやられて悔しい思いをするよりは、まずやってみる。やってダメだったら、お前には声優というホームがあるから、そこに戻ってくればいいじゃないかと、アドバイスをもらいましたね。
山寺さん 「おはスタ」の時の話だね。
花江さん 「おはスタ」は本当にいい経験でした。
山寺さん たくさんの出会いがあっただろうからね。みるみる自信を付けてあっという間に頼もしくなったので、本当にビックリしました。花江は本当にすごいですね。壁には当たってないの?
花江さん 壁はありますよ。先輩たちを見ていると、この技術すごいなと毎回思うので。自分にないものがいっぱいあるから、やっぱりほしがってしまうじゃないですか。自分のよさはもちろんあると思うんですけど、「これもできるようになりたい」「これができなきゃだめなんじゃないか」という葛藤が毎回ありますね。
山寺さん それが成長の秘訣(ひけつ)だもんね。そのキャリアでここまできて、どんどんトップを走っているわけだから、それで満足というか、周りが見えなくなってきてもおかしくない。でも、貪欲というか。人間はないものねだりだからね。
花江さん そうですね。
――山寺さんでも「これもできるようになりたい」と思うことがある?
山寺さん いつも思いますよ。声優の後輩、先輩もそうだし、俳優やお笑い、歌手の方とか、エンターテインメントのすごいものを見ると、「なんてすごいんだろう」「何で俺はこんなできないんだろう」と。ちょっとでもそういう才能があったらいいなと、しょっちゅう思いますね。
――山寺さんは今年で60歳、花江さんは30歳と、お互い節目の年齢を迎えられます。声優としてこれまでを振り返っていかがですか。
山寺さん この年になっても、もちろん常に上向きでいたい。ただ、過去の作品を見て、昔は全部下手だと思っていたけど、「あれ、この時の俺よかったな」と思うこともあって、それはちょっと怖いなと思いますね。
花江さん ありますよね。
山寺さん えっ、もうある?
花江さん ありますよ。デビュー当時のほうが純粋な気持ちでやっていたなって。たどたどしさがキャラに合っているとか、作品に合っているなということがあって。今これをやっても嘘っぽくなっちゃうという。
山寺さん 花江はできるでしょ?
花江さん いや~、当時の純粋さは出せるか分からないですよ。
山寺さん そうか、いろいろ経験してしまったから、いろいろ余計なものがね。僕は花江から学んでいるんですよ。花江が「情熱大陸」でオーディションの話をしているのを見て、「俺も作りすぎていたな」って。
――「情熱大陸」では、花江さんは、一番表現に幅がある地声でオーディションを受けていると語られていました。
山寺さん それを見て「そっか」と思って。今まであの手この手で役を取るために作りすぎていたなって。
花江さん いや、それも技術じゃないですか。僕はそれが苦手なんです。
山寺さん 役にもよるよね。作らなきゃいけない時もあるもんね。僕は素でグル~ミ~はできないから。
花江さん それが僕の中では壁だったんですよね。今もありますけど、デフォルメした声で演じるのが苦手だったんです。自分の中で、そうすることが気持ち悪いなと思っちゃうんですよね。人はこんなしゃべり方はしないと思っちゃって。でも、周りの人たちはそれをうまくやっているから、こういう切り替えも必要なんだなと、何年か前に思いましたね。
山寺さん デフォルメも、いろいろな方向のデフォルメがある。例えば、「アンパンマン」でリアルにしゃべるのは違うから、デフォルメする。それとは別に「アニメだからアニメっぽく」というデフォルメもある。花江が苦手なのはそっちじゃないかな。
花江さん そうですね。
山寺さん 花江の場合は、いかにもアニメっぽい演技というのがないように感じるんですよ。声優ばかりやっているとそうなってしまいがちなのですが。
花江さん それはデビュー作ですごく恵まれていたんだと思います。
――花江さんのデビュー作は「TARI TARI」(2012年)のウィーン役でした。
花江さん その作品では、みんな普通にしゃべるんですよ。声優ってこういうしゃべり方していいんだと思ったんです。
山寺さん 声優は、例えば萌(も)え系とか王子様系のいかにも演技を求められる時があると思うんです。それはそれで割り切って、ナチュラルな芝居もできるし、分かりやすくデフォルメした芝居もできるというようにコントロールできる人が残っているんだと思うんだよね。
花江さん そこを昔、浪川大輔さんに相談したことがあるんですけど、「苦手なことよりも、得意なことだけでまず戦えるようになってから、ほかのことを伸ばせ」と言われたんです。
山寺さん 浪川、そんなこと言うんだ。すごいな。
花江さん 浪川さんは、僕が演じたキャラに対して「自分にどんな技術があっても、リアリティーでは勝てない。そういう自分ができることからまず伸ばしていけば、おのずとどんどん広がっていく」と言われました。
山寺さん すごい、浪川がそんなことを。さすが社長ですね。
――改めて、お互いの声優としての魅力を教えてください。
山寺さん 花江の魅力は、気持ちを伝えることを第一としていることじゃないでしょうか。僕も「いろいろな声を出せますね。どうやって出しているんですか?」と、そればかり聞かれますし、それはもちろん自分の武器ですけど、声優として大事なのは、どう自分の気持ちを表現するか。そこをずっと突き詰めてやっていますから。
花江さん 山寺さんはとにかく若いですね。感性というか、全部が若くて、お芝居も、すごく元気というか(笑い)。
山寺さん 60歳手前になって元気を褒められる(笑い)。いいことだよね。
花江さん 衰えがないというか、ご本人的にはあるのかもしれないですけど、聞いている分には全然感じない。どんどん新しいことを吸収していこう、研究していこうというのが一番あると思うので、そこは後輩的に言うと、ちょっと迷惑です(笑い)。
山寺さん 本当だよね(笑い)。俺だったら嫌だもん。30歳年上の人がいつまでも盗もうとしてくるなんてね。僕は、本気で花江に嫉妬しているとずっと言っているんだけど、それは迷惑と思われるだろうなと。本気で花江夏樹に嫉妬している男ですから。
花江さん それが本当にすごいですよ。
山寺さん 僕は羽佐間道夫さんからずっと言われていたんですよ。羽佐間さんは大先輩ですけど、「常に若い人から吸収して、俺はうまくなりたい、進化したい」とずっとおっしゃっている。野沢雅子さんだって「去年より今年のほうがうまくなりたいの」と言っているんだから。僕も本当にそう思っている。花江は後輩の中では群を抜いているので、どんな生活をしているのか、のぞきに行こうと思っているんですよ。花江夏樹の好感度の高さも見習いたいですから。
キャリアは違えど、常に声優としての高みを目指し貪欲であり続ける山寺さん、花江さん。そんな二人が「いたずらぐまのグル~ミ~」でどんな表現を見せてくれるのか、注目だ。
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