伊藤智仁：小学生の息子はバッティングセンターで村上宗隆選手のまねばかり？　ドラマ主人公のモデル「恥ずかしい」

　女優の関水渚さんと俳優の仲村トオルさんがダブル主演を務めるテレビ東京の連続ドラマ「八月は夜のバッティングセンターで。」（水曜深夜1時10分）が放送中だ。ドラマは、バッティングセンターに来た女性客のスイングを見ただけで抱えた悩みを把握し、解決に導く元プロ野球選手と、アルバイトの高校生の姿を描いており、仲村さん演じる主人公の1人、伊藤智弘は、実はプロ野球・東京ヤクルトスワローズの伊藤智仁コーチがモデルとなっている。小学生の息子とバッティングセンターに行っていると語る伊藤コーチに、自身がモデルになったことやコーチングの秘訣（ひけつ）などを聞いた。

ウナギノボリ

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　◇息子とバッティングセンターへ　主人公のモデルは「恥ずかしい」

　伊藤コーチは、1993年に投手として東京ヤクルトスワローズに入団。高速スライダーを武器に同年の新人王を獲得した。翌年、肘と肩のけがが原因で離脱。1996年に復帰し、1997年にはカムバック賞を受賞した。選手時代は3度の日本シリーズ優勝と3回右肩の手術を経験。2003年に現役を引退した。

　「八月は夜のバッティングセンターで。」は、スマートフォン向けゲーム「八月のシンデレラナイン」（アカツキ）から着想。ドラマの企画・プロデュースを担当した畑中翔太さんが、選手時代を含め、伊藤コーチのファンだったことから、主人公の名前を一文字違いにし、制作陣で伊藤智弘というキャラクターを作り上げた。

　伊藤コーチは、ドラマのモデルになったことについて「恥ずかしいですね」と照れ笑い。女性客のバットスイングを見ただけで、その人がどんな悩みを抱えているか分かるという設定には、「とても面白いですよね。野球ドラマというか、ヒューマンドラマとしてこういう描き方があるんだって思いました」と感心したといい、「家族で楽しめる作品だと思いますし、我が家も家族で見させていただいています」と笑顔を見せる。

　ドラマはバッティングセンターが舞台。「今、息子も野球をやっていて、時間があれば一緒にバッティングセンターに行っています」といい、息子はスワローズの内野手・村上宗隆選手のバッティングホームの「まねばかりしてます」と明かす。野球のプロとして助言をしたくなると思うが、伊藤コーチは「少しはしますが、基本的に見ています（笑い）」と、温かい目で見守っているという。　

　◇コーチングの秘訣は落合博満の助言「お母さん目線」　人生の転機は…

　ドラマの中の伊藤智弘は、スイングを見ただけで悩みが分かってしまうが、伊藤コーチは選手たちの悩みをどう見抜いているのだろうか。秘訣は、中日ドラゴンズの監督も務めた野球解説者の落合博満さんからアドバイスされた「お母さんの目線で選手を見る」こと。「お母さんの視点で見ていると、こういうふうに悩んでいるのかなと多少、見えてくる。こちらも人間なので、イライラするときもあります。すぐお父さんの目になってしまう（笑い）。グッと我慢して、優しいお母さんの目で選手を見て、言葉遣いに気を付けながら、話を聞いてあげるようにしています」と明かす。

　劇中では、女性客が伊藤智弘のアドバイスを受け人生の転機を迎える様が描かれている。伊藤コーチに人生の転機を聞くと、1993年6月の阪神タイガース戦で「初完封したこと」と即答。同試合について「とても調子が良く、ここで三振、ここでゲッツーがほしいとか全てが思い通りにいった。（初めて完封することができ、）プロの世界でやっていけるなと実感できた試合でした」と振り返る。

　けがに泣かされた選手時代となってしまったが、自身の野球人生については「とてもハッピーでした。良いチームに入れて、良い恩師、チームメートにも出会えました」と満面の笑みを見せながら「けがをしたのは自分の中でつらいことでしたが、人生経験の一つとして次につなげることができました」と充実した表情を見せた。そういった経験から、選手たちには「1年でも長く野球を続けてもらえるよう指導しています」と優しいまなざしも見せていた。

　ドラマの見どころの一つとなっているのが、現役の選手や引退した選手が“レジェンド選手”として登場する場面だ。これまでに、元ヤクルトスワローズの五十嵐亮太さん、元メジャーリーガーの岡島秀樹さん、セ・パ両リーグで“ホームラン王”に輝いた山崎武司さんらが登場した。そして、9月1日深夜1時15分から放送の第8話には、現役時代の伊藤コーチの“女房役”だった古田敦也さんがレジェンド選手として出演する。