特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズの新作で、仮面ライダー生誕50周年記念作品となる「仮面ライダーリバイス」(テレビ朝日系、日曜午前9時)が、9月5日からスタートする。俳優の前田拳太郎さんが演じる主人公・仮面ライダーリバイ/五十嵐一輝の内に宿る仮面ライダーバイス/悪魔バイスを演じる声優の木村昴さんに、「仮面ライダー」シリーズに出演する心境や、思い出に残っている作品、役作り、ヒーローを演じる上で心がけていることなどを聞いた。
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本作は、五十嵐一輝(前田さん)が家族を守るため、自らの内に宿る悪魔バイス(木村さん)と契約して仮面ライダーリバイに変身し、バイスが変身する仮面ライダーバイスと共に“一人で二人”のコンビの仮面ライダーとして、悪魔崇拝組織「デッドマンズ」に立ち向かっていく。
木村さんは「仮面ライダー」シリーズの印象を、「歌舞伎、落語、仮面ライダーと並べてしまいますが、それぐらいある種日本の一つの伝統芸能的なもの」と切り出し、「50年ってものすごい歴史で、その間ずっと子供たちに夢を与え続けてきた作品」と敬意を口にする。
自身が出演することについては、「記念すべき50周年という年に携わらせていただけることは、声優や役者としてだけでなくて、『仮面ライダー』を子供のころ見てきた元子供としても光栄です。(出演が)決まったときは、とてもうれしかった」と喜ぶ。
バイスが一輝と共に主人公であることを聞いたときは、「もうたまげましたよね」と驚き、「最初はなかなか実感が湧かなかったというか、ピンとこなくて。どんな感じなのだろうと思いましたが、(『仮面ライダー』シリーズで)声優が主人公をやらせていただくのは前例がないですから、不思議な気分になりました」と当時の心境を明かす。
続けて、「より詳しくお話をうかがっていくと、(バイスは)一輝の中に巣くう悪魔で、人には見えないけど一輝が変身すると実体化して一緒に戦うことができる。“一人で二人”というのが面白い設定だなって。そのなかで主人公となるバイスの声を当てられることが楽しみでした」と撮影開始を心待ちしていたという。
さらに木村さんはダンス&ボーカルグループ「Da-iCE(ダイス)」とのスペシャルユニット「Da-iCE feat.木村昴」として、主題歌「liveDevil」も担当。「声優が主人公をやるのも初めて、声優が主題歌を歌うのも初めて、主人公が主題歌を歌うのも初めて。もう畏れ多くてちょっと最初は恐縮しちゃっていた」と話し、「バイスだったらたぶん『俺っちだったら当然っしょ!』って言うと思うから、ありがたいことだと思って、誠心誠意やらせていただきたいなと思っています」と言葉に力を込める。
バイスの「ノリが軽くて聞きわけのない迷惑千万な悪魔」というキャラクターについて、木村さんは「悪魔ですし、一輝と契約して今後どんな魂胆があるのか。腹の内というのは今後明かされていくと思うのですけど」と前置きし、「自由奔放でご機嫌で脇目も振らず自由なところがバイスの魅力。(ドラマを見ている人も含め)みんながバイスを持っていて、そのバイスがどこまで顔を出すかっていうところのせめぎ合いだと思う」と持論を語る。
演じる上では、「地元のちょっと年上のお兄ちゃんじゃないけど、なんか達観していていろいろなこと知っている優しいめっちゃ面白いお兄さん。そういった“ご機嫌さ”のようなものは大事にしています」といい、「子供たちには楽しい相棒がいて、だんだん頼もしい仲間になっていき、力を合わせていろいろなものと戦っていく。そういういつもそばにいてくれる“相棒感”みたいなものを感じてほしい」と呼びかけた。
かなり口数の多い印象のバイスだが、「ありがたいことなのですが、実は必要なせりふ以外はほぼアドリブなんです」と切り出し、「バイスが撮影でいろいろな動きをしてくれるから、動いているものには声を当てたくなっちゃうという声優としての性分があって。バイスの動き全部にアドリブでせりふを入れた結果、あれだけしゃべるキャラになっちゃいました(笑い)」と楽しそうに舞台裏を明かす。
数多くのアニメで活躍する木村さんだが、アニメと特撮のアフレコの感覚の違いは「大きくは変わらないですね」との印象で、「アニメとはまた違って、人間の動きに合わせるので、息が合ってくると本当にシンクロしてくる。その感覚を最近ちょっとずつ味わえているのがまた楽しい」とにっこり。そして、「もう何話か撮影が進んだら、たぶん映像がなくても『こんなことをやりたいんだろうな』とよりリンクするようになるのでは」と期待感を口にした。
子供のころ「ずっと日曜日の朝(ニチアサ)に『仮面ライダー』を見ていて、『次はこういうのか』という感じで、どれに一番ハマったという感じではない」という木村さんだが、なかでも「大人になってからですけど、『鎧武』はハマったかな。フルーツというコンセプトにめっちゃときめいて、次は何のフルーツだろうみたいなワクワク感があったのを覚えていますね」と笑顔で話す。
自身がヒーローを演じる側になるが、「『リバイス』は『悪魔は悪魔をもって制する』というせりふもあり、全体の世界観としては、もしかすると少しおっかないようなイメージもあるかもしれませんが、もっと身近なところで伝えたいのは、一人ぼっちだなと感じている子がいたら、君にとってのバイスみたいなやつっているんだよということ」で、「子供たちに『自分は一人じゃない』『僕にもバイスがいる』というように思ってもらえたらいいなって思っています」と熱い口調で語る。
そういった“メッセージ”を伝えることも含め、バイスとして一輝とはどのようなバディーになっていきたいか……。
木村さんは、「子供向け番組をやらせていただくことも多いのですが、子供たちの話を聞くと、1回ケンカすると一生口をきけなくなっちゃうみたいなことが多くて。謝り方が分からないとか、人との接し方がみんな分からなくなってきているようなんです」と前置きし、「もっと友達と絆を深めていってほしいし、『ケンカするほど仲が良い』という日本語があるって素晴らしいなと思う。(一輝とバイスは)ケンカもきっと尽きないでしょうし、意見もぶつかり合うこともたくさんあるだろうけど、『ごめんね』が素直に言えてすぐに仲直りできるような、“ケンカするほど仲がいいバディー”になっていけたら」と語った。(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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