特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズの新作「仮面ライダーリバイス」(テレビ朝日系、毎週日曜午前9時)。仮面ライダー生誕50周年記念作品でもある本作では、主人公・五十嵐一輝(前田拳太郎さん)が、自身の内に宿る悪魔バイス(木村昴さん)と契約することで、一輝は仮面ライダーリバイ、バイスは仮面ライダーバイスと“一人で二人”の仮面ライダーに変身、活躍する姿を描く。一輝ら3兄妹の父・五十嵐元太を演じる俳優の戸次重幸さんに、出演が決まっての感想や前田さんらの印象、制作発表会見でも語っていた変身への熱い思いを聞いた。
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本作への出演が決まったときの気持ちを、「遅すぎたくらいだ。そう思っています」とちゃめっ気たっぷりに表現した戸次さんは、「すみません、生意気なこと言って(笑い)。単純にうれしかったです」とにっこり。「『仮面ライダー』と『スーパー戦隊』は、男の子は誰しも通る道。日本人にとって伝統であり文化であると思っていて、そういった作品に携われるのは本当にうれしい。(撮影は)楽しくやらせていただいております」と笑顔で語る。
「仮面ライダー」という作品の印象について、「『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』がすごいなと思うのは、今世の中で1年間やっているドラマって、ほかに大河(NHK大河ドラマ)くらいしかない。それほどの作品なんだなと改めて思う」という。
家族など周囲の反応を聞くと、「息子が『仮面ライダー』を分かる年齢になってきたので、これからどんどんハマっていくでしょうから、いの一番で息子には『お父ちゃん、「仮面ライダー」出るよ』って言いました」と“父の顔”で切り出し、「ただあまりカッコいい役ではないので、ちょっと不安になって、『もうお友だちに言ったか』と聞いたら『まだ』と。それで、『良かった。言わないで!』と言いました(笑い)」と話した。
戸次さんが演じるのは、一輝(前田さん)、大二(日向亘さん)、さくら(井本彩花さん)らの父・元太。動画投稿サイトのクリエイターとなり一攫千金を夢見る、ちょっといい加減なダメ父親という役どころだ。
「そう思われがちなんですが、今は言えない事情があるということで察してください」と切り出し、「なぜこんなダメ親父なのかには理由がある……今は言えてそれぐらいですね」
続けて、「1年ありますからキャラクター一人一人を描く時間がたっぷりとあるので、そこに皆さんも期待してほしいですし、私も期待しています。ダメなのには理由があるということで、ぜひ1年間楽しみに見ていただきたいと思います」とアピールする。
本作では家族も重要なテーマの一つだが、「お互いがお互いのことを信じて愛し合っている家族で、何の裏表もないという単純明快な関係がある」と前置きし、「例えば一輝と大二の関係で言うと、せっかく(特務機関)フェニックスに入ったのに自分の思い通りに戦うことができなかったり、(変身する)一輝に嫉妬してしまったりする大二の思いとか、そういうリアルなところも描かれている。それを優しく見守る母や父、きょうだいというのがリアル」と分析する。
その上で「設定がぶっ飛んでいる分、我々がしっかりと人間の感情を表現しないと伝わりきらないのではないかと思っていますので、そのリアルさという部分をすごく大事にやらせていただいています」と説明した。
子供たちを演じる前田さんらの印象を聞くと、「前田くん然り、日向くん然り、井本さん然り、もう真面目で真剣で真摯(しんし)に役に向かい合って、作品に取り組んでいる姿は、変な言い方かもしれませんが新鮮。真剣に芝居しているぞっていう。もちろん今までの共演者皆さんがそうなんですけど」という答えが。
そう感じる理由を、「できることを真剣にやるのは当たり前。自分でできないと分かっていることを、それでもやらなきゃいけないと真剣に芝居に向き合っている姿が新鮮。こっちも襟を正して芝居しなければいけないと思わせられています」と話し、「楽しみなのは撮影が1年あること。あれだけ若い子たちだから、今の顔つきと1年後の顔つきがだいぶ変わっていると思う。もちろん芝居も変わるし、その変化や成長を近くで見られるのも楽しみの一つです」と役柄同様、“父親”目線で語る。
五十嵐家は銭湯「しあわせ湯」を営んでいるが、戸次さんと銭湯というと、2016年に放送された東京都内を中心とした実在する銭湯が舞台となる連続ドラマ「昼のセント酒」(テレビ東京系)に主演していたことが印象深い。
それとなく銭湯にまつわる思い出を尋ねると、「分かっていて質問されてますよね(笑い)。五十嵐家の『しあわせ湯』のベースになっているのは、(以前出演していた)ドラマでも使わせていただいた『タカラ湯』さん。“勝手知ったる銭湯”という感じでしょうか」と意外なつながりを明かし、「車のカーナビの目的地履歴にまだ入っていると思います(笑い)」と親しみを込める。
製作発表会見で、「変身の夢は諦めていない」「もちろん変身したいですよ」と熱烈な変身願望を口にしていた戸次さんに、改めて変身について聞くと、「『変身』という言葉を言えたら僕、役者辞めていいと思っていますから。もうやることない、やりきったっていう(笑い)。『変身!』って言ってみたいです」とちゃめっ気たっぷりながら真剣な“決意表明”。
続けて、「東映さんの伝統あるスタッフに撮ってもらい、自分が『変身!』と叫ぶ。これをやってしまったらもう、達成感と共にとてつもない喪失感を感じると思います。それぐらい変身したいです。ある意味、燃え尽き症候群になってしまうかもしれないけど、男にとって、そして役者にとって変身は、それぐらいのこと」と思いの強さをのぞかせる。
「小学校1年生の時、『仮面ライダースーパー1』にハマっていたのを覚えています。変身ポーズとか真似(まね)していました」と話す戸次さんに、変身するならどのような仮面ライダーがいいか質問すると、「変身ポーズから戦い方から、もうゴリゴリの昭和の空気を感じるライダーに変身したい。やはり最後はキックでしょう。(カラーリングは)グリーン多めでいきましょう!」とノリノリで答えてくれた。
現時点ではまったく不明だが、戸次さんは「可能性はありますから。昨今のライダーはわりと登場人物が変身するという流れがある。元太もまだ夢をあきらめていません」と期待し、「濱尾(ノリタカ)くん演じるジョージ・狩崎がライダーオタクという役なので、いろいろなベルトを持っていると思う。それを何かのアクシデントで着けてしまって……それは変身とは言えないか。でもカラクリが分かったら2回目は自分の意志で『変身!』って。脚本書こうかな」と楽しそうに“妄想”をふくらませる。
最後に見どころを聞くと、「はたして元太は変身するのか。ここに尽きると思います!」ときっぱり。「ライダーたちの活躍とか若い子たちの活躍は前提として大きな見どころですが、もしも『元太が変身した!』という回が出てきたら、これは確実に見どころではないかなと思います。月曜日の学校、ママさんたちの井戸端会議で、ぜひそんな話題になるといいなと思っています。頑張ります!」と意気込んでいた。(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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