ドラゴンボールDAIMA
第5話 パンジ
11月11日(月)放送分
川原礫(れき)さんの人気ライトノベル「ソードアート・オンライン(SAO)」シリーズの「ソードアート・オンライン プログレッシブ」が原作の劇場版アニメ「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」(河野亜矢子監督)が10月30日に公開される。テレビアニメ第1作の<アインクラッド>編がヒロインのアスナの視点で描かれ、主人公・キリトの名場面も新たな映像でよみがえる。キリト役の松岡禎丞さんは、2012年にテレビアニメ第1作がスタートしてから、約9年間にわたってキリトを演じ、「一緒に一つ一つの物事に挑戦してきた兄弟のような存在」と感じているという。収録前は不安も大きかったという新作への思いについて聞いた。
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「SAO」は、脳と仮想空間を直結する機器によってバーチャルリアリティーが実現した近未来を舞台に、さまざまなオンラインゲームを取り巻く事件を描いている。原作のシリーズ累計発行部数は2600万部以上の人気作。
新作「プログレッシブ」の制作が発表されたのは、2020年9月。松岡さんは、制作発表に喜びを感じると共に、約9年前に演じた14歳のキリトを再び演じることになり不安も大きかったという。
「あの当時の全力だった僕のお芝居を、今の僕の全力でやってしまうと、全く違うものになってしまうと思っていたんです。正直な話、少し収録が怖いなと感じていました」
テレビアニメシリーズは、第1~3期が放送され、キリトも年齢を重ね、成長してきた。
「キリトは、ソードアートの世界の中では、14歳から18歳にまで成長していて、さまざまなことを経験して今のキリトがいるので、改めて14歳のキリトを演じるのは本当に難しいです。当時の僕のまねをするのは、ある種簡単ですが、それでは魂の入っていないお芝居になってしまうなと思ったので、そこがすごく難しかったです」
松岡さんは「今の僕の全力でやりたい。今の僕だから出せるキリトは絶対崩したくはない」という強い思いがあり、「当時の自分が邪魔だ」とも感じたという。
「どうすればこれを解決できるのかな?という悩みは収録当日までずっと続いていたんです。ただ、いろいろな方々からアドバイスをいただいて、その当時の僕のまねをするのではなく、改めて今の僕で当時14歳のキリトを演じることにしたんです。当時の僕のお芝居の“皮”を着せるというか。第1期のころから、家で放送を見ていて『ここはもう少しこうできたな』というところがあって、そこを今回は僕の中で全部リメークしました。その結果、すごくうまくいきまして。完成した映像を見た時は、ガッツポーズでしたね。すごくきれいにうまくいったと思います」
今の全力で14歳のキリトを演じる。松岡さんのこのアプローチは、同じく約9年間、収録を共にしてきた戸松遥さんが演じる「アスナのおかげが大きかった」と語る。
「実際に戸松さんがお芝居をされている姿を目の前で見た時に、『あっ、あの時のアスナだ』と思ったんです。それって、今の戸松さんが演じられている15歳の時のアスナなんですよね。これであれば、新しい自分の14歳のキリトでも大丈夫な予感がすると思って。テストをやってみたところ、音響監督の岩波(美和)さんに『こっちとしては全然問題ないんだけど、それきつくない?』と聞かれたんです。僕的には大丈夫だったので、『それでいきましょう』と。その言葉を聞いた瞬間にスイッチが入りました。『やった!』と思い、どんどんギアが入っていきました。戸松さんにも『なんか僕、楽しくなってきました』と(笑い)」
「プログレッシブ」では、キリトの名場面も描かれる。再び名場面、名ぜりふを演じるのは、どんな思いだったのだろうか。
「新作では、一新はされていますが、第1期と同じシーンが結構あり、僕自身、もう一度やりたいなと思っていたところもありました。とあるシーンは、難しかったです。僕は最近、ほかの作品で悪役もすごく増えたので、そういう経験が多分出てしまっていたんでしょうね。100%で演じてみたところ『ちょっとワルに見えすぎる』というディレクションをいただきまして。最終的には、ワル度は3割程度で演じてOKをいただきました」
「SAO」のテレビアニメシリーズが始まって約9年。シリーズ開始当初は、新人声優だった松岡さんだが、現在は「Re:ゼロから始める異世界生活」「鬼滅の刃」「冴えない彼女の育てかた」などさまざまな人気作で魅力的な演技を見せる人気声優だ。この9年間で、どんな変化があったのだろうか。
「当時は本当に全ての物事に対していっぱいいっぱいで、常に崖っぷちという感じでやっていたのですが、歳月を重ねて、後輩もたくさんでき、現場を任されることもすごく増えて。ある時、現場でスタッフさんに『新人の面倒を見てね』と言われて、ハッとしたんですよね。自分もこんなことを言われるようになったのかと。今までは、自分のことで手いっぱいだったところを、視野を広げて全体を見るようにしようと思いました。そこからは、より冷静に周りを見られるようになりました」
現場での立場が変わったことは、演技にも影響を与えたという。
「登場人物の一人としての受け答えも、耳に入ってきたものを冷静に受け取れるようになりました。そういった時は、瞬間的に処理するのですが、以前よりも自然に返せるようになりました。『SAO』の初期のころと比べると、いっぱいいっぱいにはならなくなりましたね。それでも新しい役を演じたり、演じたことがない役柄を演じるとなると、今でも時々いっぱいいっぱいになってしまうことはあるのですが、そうなっても、きちんと周りを見られるというか。いっぱいいっぱいのレベルゲージを自分で調整できるようになったのかなとは思います」
松岡さんは、崖っぷちだった新人時代を経て、さまざまな現場で「人とよく会話をしよう」という意識も強くなったと語る。それは、「SAO」のキリトの成長ともリンクするという。
「キリトも14歳の頃は、若干人と対話するのが苦手といった部分がありましたが、今はそうではない。交友関係も増えて、絶対失いたくなかった人間も失って……。キリトに対しては『何かあったら、自分でため込まずにちゃんと言ってよ』と言えるような関係ですかね。ちゃんと相談に乗るからと」
松岡さんにとってキリトとは、どんな存在なのか。
「キリトは、この10年近く一緒に一つ一つの物事に挑戦してきたキャラクターなんですよね。僕の中では、兄弟みたいな感じです。これほど長く続く作品はやったことがなかったですし、アニメやゲーム、コラボなどでキリトを演じない年はなかったんですよね。本当に一緒に歩んできました」
松岡さんがキリトを語る口調は穏やかで温かさがあり、役への強い思い入れが伝わってきた。松岡さんが演じる新たな14歳のキリトの活躍に注目だ。
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