ファイルーズあい:声優として「直感と柔軟性」を大事に 2022年は「星を見ます」 「ジョジョ」“父”小野大輔に学んだ「オラオラ」「やれやれ」 

「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」の一場面(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険 SO 製作委員会
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「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」の一場面(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険 SO 製作委員会

 荒木飛呂彦さんの人気マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」の第6部原作のアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」。Netflixで世界独占配信されており、1月7日からはTOKYO MX、MBS、BS11ほかで順次放送される。主人公で、空条承太郎の娘・空条徐倫を演じるのが、人気声優のファイルーズあいさん。「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの大ファンでもあるファイルーズさんは、徐倫役が決まった2021年を「黄金のような年」と振り返り、「2022年は星を見ます」と話す。「オラオラ」のせりふに苦労し、父・承太郎を演じる小野大輔さんに学ぶこともあったという「ストーンオーシャン」の収録の裏側、今年の抱負、今後の目標について聞いた。

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 ◇「オラオラ」に親子の絆 根底に「やれやれ」感

 「ジョジョの奇妙な冒険」は、1986年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まった人気マンガ。数世代にわたる個性的な悪人たちとの戦いを描いた壮大なストーリーや独特の擬音を用いた表現、独特の立ちポーズなどが人気を博している。テレビアニメは、第1部「ファントムブラッド」と第2部「戦闘潮流」が原作の第1シーズンが2012年10月~2013年4月、第3部「スターダストクルセイダース」が原作の第2シーズンが2014年4~9月、2015年1~6月、第4部「ダイヤモンドは砕けない」が原作の第3シーズンが2016年4~12月、第5部「黄金の風」が原作の第4シーズンが2018年10月~2019年7月に放送された。

 第6部「ストーンオーシャン」はシリーズ初の女性主人公で、空条承太郎の娘・空条徐倫が、無実の罪で刑務所に収監され、脱獄しようとする……というストーリー。

 ファイルーズさんは、第6部のアニメ化が発表される以前から「ジョジョ」愛を語っており、中学生の時に「ストーンオーシャン」の主人公・徐倫と出会ったことが声優を志すきっかけになった。中学、高校と自身のことで悩んでいた時期に徐倫から「何でも乗り越えられる勇気をもらえた」といい、「徐倫の『やれやれだわ』を私が言っていいんだ!と、もう感動が止まらないです」と並々ならぬ意気込みで収録に臨んだ。

 徐倫を演じる上では、空条承太郎の娘であることを意識したという。

 「鈴木(健一)総監督も(承太郎が活躍する)『スターダストクルセイダース』とのつながりを強く意識して作られているとおっしゃっていて、徐倫役のオーディションの時から『“承太郎の娘”感を大事に』と言われていました」

 徐倫は、スタンド「ストーン・フリー」を発動させる際、承太郎と同じく「オラオラオラ……」という掛け声を発する。ファイルーズさんは「オラオラ」の収録に苦労したという。

 「第2話で初めての『オラオラ』があるんですけど、収録の時に何回やってもうまくできなくて。焦っちゃって、どんどん声も枯れてきてしまって。次回の第3話の収録で承太郎役の小野さんがいらっしゃるので、『お父さんに教えてもらいましょう』と、宿題になったんです」

 “宿題”を抱えたファイルーズさんは、原作では3ページにわたり「オラオラ……」が続く、「スターダストクルセイダース」の承太郎対ラバーズ戦を「見まくった」という。

 「承太郎の『オラオラ』のリズムを覚えるために、メトロノームのアプリをスマートフォンに入れて、メトロノームのカチカチという音に合わせて『オラオラ』を聞きながら体にリズムを刻み込みました。前の収録では、焦って速くなっちゃって失敗していたので。それで、実際に小野さんがいらっしゃった収録の時に『じゃあ、オラオラを見せてもらおうか』と言われてやってみたら、できたんですよ! やっぱり親父(おやじ)が後ろにいてくれて、すごく励まされたというか、背中を押されたところもあったんだと思います」

 収録後も小野さんに「オラオラ」のレッスンを受け、「親子の絆をすごく感じた」という。

 「小野さんに教えていただいて、意外だったこともありました。『オラオラ』は思い切り殴るイメージだったので、ものすごく力強くやっているものだと思っていたんですけど、小野さんいわく『肩の力を抜く。速さを求めない』と。たしかに私は、早く言おうとして『オ』と『ラ』がくっついて『ウルウル……』みたいになっていたんです。意外とリラックスした時のほうがはっきり言える。それに、承太郎と徐倫では生い立ちが違うので一概には言えないんですけど、『やれやれだぜ』が口癖の承太郎の『やれやれ』なところは徐倫も似ているから、そこが肩の力を抜くということにつながっているのかなと感じました」

 ◇このファイルーズには夢がある! 声優は「天職」

 「ジョジョの奇妙な冒険」との出会いをきっかけに高校1年生で声優を志したファイルーズさんにとって、「一番の憧れ」という徐倫を演じることは「12年間追い続けてきた夢」だった。そんな夢がかなった2021年を「激動でした」と振り返る。

 「本当に黄金のような年でした。私、ちょっと痛いヤツと思われるかもしれないんですけど、つらい時とか声優の夢を諦めようと思っていた時に『このファイルーズには夢がある!』と自分に言い聞かせていたんです。この夢がかなったことは、私の人生にとってものすごく大きなことで、黄金のような時代だったと、自分で言いたいです」

 「黄金の風」の主人公、ジョルノ・ジョバァーナの名ぜりふ「このジョルノ・ジョバァーナには夢がある!」を引用しながら2021年を振り返ったファイルーズさん。今年の目標を聞くと、「2022年は星を見ます。つらい時だからこそ、希望を見るんです。星を見る年にします」と答えた。

 ファイルーズさんは「ストーンオーシャン」のほかにも、「トロピカル~ジュ!プリキュア」のキュアサマー/夏海まなつ役、「ダンベル何キロ持てる?」の紗倉ひびき役など、人気作でも実力を発揮する近年最も注目を集める声優の一人だ。声優として大事にしているのは「直感」だという。

 「台本を読んだ時に頭の中に流れたせりふ回し、言い方を大事にしています。でも、それを大事にしすぎるあまり、ディレクションに対応できない頑固な芝居になってしまうのはよくないので、直感と柔軟性を大事にしています。2022年は徐倫のストーン・フリーの糸のようにより柔軟になりたいです」

 「昔から何かになりきるのが大好きだったので、本当に天職に就けたなと思います。よかったです!」と笑顔で語るファイルーズさん。今後のさらなる活躍に注目だ。

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