「ビッグコミックスピリッツ」（小学館）で連載中の小林有吾さんの人気サッカーマンガが原作のテレビアニメ「アオアシ」が、NHK・Eテレで4月9日から毎週土曜午後6時25分に放送される。Jリーグのユース年代を題材にした作品で、主人公で、愛媛に住むサッカー少年・青井葦人（アシト）が名門ユースのセレクションに挑む。新人声優の大鈴功起さんがアシトを演じ、橘龍丸さんがアシトと共にセレクションに挑む“セレクション組”の大友栄作役、山下誠一郎さんが橘総一朗役として出演。大友役の橘さんは、セレクション組を演じる3人の間には「幼なじみよりも固い絆が生まれている」と感じているといい、「収録中は『今青春してるな』と感じますし、ゴール決めてた3人で喜び合う瞬間がすごく気持ちいい」と話す。収録の様子や作品への思いを聞いた。

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　◇分かりやすいキャラクターだからこそ「予想の斜め上を」

　「アオアシ」は、2015年から「ビッグコミックスピリッツ」で連載中のJリーグの高校生世代を育成する組織・ユースチームを題材にしたマンガ。セレクションの末、Jリーグの東京シティ・エスペリオンFCの名門ユースの一員となった主人公・青井葦人が成長する姿を描いている。

　橘さんは原作の印象を「まばたきができないぐらい入り込める」と語る。

　「ユースで奮闘するアシトたちが壁にぶつかった時の苦悩が描かれていて、壁にぶつかった時にそれをよけるのか、思いを貫き通して突っ走るのかという選択の迫られ方がすごく印象的で、大好きなマンガになりました」

　橘さんが演じる大友は、ユースのセレクションに挑むアシトが最初に出会う仲間だ。チーム全体に気を配るムードメーカー的存在だが、普段はお調子者で、女の子にモテようと必死になる一面もある。

　「大友はほかのキャラクターと比べてコメディーチックというか、分かりやすい少年というか。モテる男をすぐひがみますし、見た目の通りの男の子ですね（笑い）。だから、『大友はこういう人間だ』と固定観念を持たずに、せりふを見て感じ取ったままに演じるように心がけています。『こういうことしたら、大友らしいんじゃないかな』という感覚です」

　大友は、試合前はガチガチに緊張してしまうが、いざ試合が始まると人が変わったように冷静な判断力を発揮するプレーヤーでもある。橘さんは「一筋縄ではいかない男」と魅力を表現する。

　「おちゃらけている感じに見えるんですけど、一歩引いて見ると、すごく視野が広くて、チームのバランサーとしての立場をキープできる。意外とすごく考えていて、頭がいいんだろうなと。元々の知識量もあるし、もっと掘り下げようという探究心も旺盛。実は仲間思いで、相談にも乗ってくれそうですし、友達にほしいタイプですね」

　さまざまな顔を見せる大友を演じる上で、橘さんは「予想の斜め上をいきたい」とこだわりを語る。

　「表情がすごく豊かで、時には悪魔みたいな顔を見せる時もあるので、アドリブを入れて、見ている人に大友というキャラクターを楽しんでもらいたいです。くすりとさせたい。大友のような分かりやすいキャラクターだからこそ、その予想の斜め上をいきたいですね」

　◇収録は「3人でピッチに立っている感覚」　セレクション組の絆

　収録では、アシト役の大鈴さん、橘役の山下さん、大友役の橘さんというセレクション組のシーンが多く、橘さんは「3人の間に絆が生まれている」と明かす。

　「アシト役の大鈴くんがとても素直で、純粋無垢（むく）なので、地でアシトをやっているというか。大鈴くんが表現する真っすぐな気持ちを、こっちも真っすぐに受け止めて、しっかり出さないといけないと思うので、収録をしていると『今青春してるな』という気持ちになります。試合のシーンで、ゴールを決めて3人が喜び合う瞬間が、演じていてもすごく気持ちいい。お互いの芝居を聴いて、築き上げているものがあって、幼なじみより固い絆みたいなものが生まれている気がします」

　収録中は「3人で一緒にピッチに立っているような感覚」とも話す。

　「3人とも年齢が近いこともあると思うんですけど、心と体がすごくリンクしやすい。スタジオの待機部屋にいる時は試合の休憩中で、『収録を始めます』となった瞬間にホイッスルが鳴るような（笑い）。ブースの中で“プレー”しているような感覚です」

　「アオアシ」は、アシト、大友、橘というユースのセレクションで出会った3人がどう壁を乗り越えていくかが、序盤の大きな見どころとなる。橘さん演じる“一筋縄ではいかない男”大友栄作の活躍に注目だ。