三浦大知:デビューから25年 ずっと変わらない「好き」の気持ち 朝ドラ主題歌では“生みの苦しみ”も

連続テレビ小説「ちむどんどん」主題歌「燦燦」を担当した三浦大知さん
1 / 1
連続テレビ小説「ちむどんどん」主題歌「燦燦」を担当した三浦大知さん

 黒島結菜さんが主演する連続テレビ小説(朝ドラ)「ちむどんどん」(NHK総合、月~土曜午前8時ほか)で、主題歌「燦燦」を担当した三浦大知さん。主題歌はドラマのために書き下ろしたオリジナル曲で、歌詞は「自分の亡くなったおばあちゃんに向けた」“手紙”のような内容になっている。そんな三浦さんのパーソナルな思いが込められた「燦燦」制作秘話に加え、子供のときから「ずっと変わらない」という歌とダンスへの思いを語ってもらった。

あなたにオススメ

 ◇テーマは「家族の光」 今までで「一番限定的な歌詞を書いた」

 「ちむどんどん」は、2014年度後期の朝ドラ「マッサン」などの脚本家・羽原大介さんのオリジナル作品。沖縄料理に夢をかけるヒロイン・暢子と、強い絆で結ばれた4兄妹の笑いと涙の物語だ。三浦さんは物語の舞台となっている沖縄出身で、今回、初めて朝ドラ主題歌を手掛けた。

 主題歌「燦燦」のテーマは「家族の光」。「『ちむどんどん』は沖縄の家族の話で、その家族の中にある光をテーマに制作できたらと思った」という三浦さんが、「自分にとっての『家族』、『家族の光』ってなんだろう」と考えたとき、思い浮かんだのが、「昨年亡くなった父方のおばあちゃん」だった。

 「いつも僕のことを、僕以上に信じていてくれた人。三浦大知の人生を全肯定してくれるような人だったんです。『感謝の気持ちを忘れずに、そのまま頑張りなさい』『大丈夫、大丈夫』ってことをいつも言ってくれて、そのおばあちゃんがくれた『光』こそが、自分にとっての『家族の光』だなって思って、おばあちゃんに向けた手紙のような一曲にしたいと思って作りました」

 一方で、“生みの苦しみ”も味わったという三浦さん。歌詞は何度も推敲(すいこう)を重ねた。

 「実際に手紙を書くって難しくないですか。完成しない感じというか。夜な夜な書いて、一旦引き出しにしまって、次の日の朝、見返して、『もっとこういうことが伝えられるんじゃないか』と書き直す、みたいなことをずっと繰り返していた感覚です」

 「燦燦」の歌詞の中には「忘れない 机の前 あなたの場所」というフレーズが出てくるが、三浦さんの祖母が、自分の机の前に座って、よく裁縫をしていたから。

 「いつもだったら、どんなふうにでも解釈できる言葉を使って、間口を広くしておくのですが、今回はより限定的に、あえて自分が見てきた風景を書いてみるってことをしてみました」

 今までで「一番限定的な歌詞を書いた」ことで、学びや新たな発見もあったという三浦さん。

 「(間口を)広げすぎると、どんどん抽象的になっていくから、何とでも捉えることができる分、もしかすると、その人のパーソナルな思いとは重ねにくかったりするのかな、とか。逆に限定的な言葉、ピンポイントな言葉を使うことで、誰かの思いと結びつきやすくなったり、色濃くリンクできる瞬間があったり、そこは言葉の面白さだなって、とても勉強になったし、新たなものが生まれたと感じています。ここまで自分のパーソナルな思い出と向き合って曲を書くってことが今までなかったので、チャレンジさせていただけてよかったです」と語った。

 ◇歌とダンスが「好き」という、シンプルかつ大きなモチベーション

 初めての朝ドラ主題歌制作を通して、新たな表現の扉を開いたともいえる三浦さん。朝ドラといえば主人公が人生に迷いながらも、自分の進むべき道を見つけて、切り開いていく……というのがある種の定番だが、三浦さん自身は子供の頃に歌とダンスに出会ったときから、「もう、これをやっていくんだな、と何となく思っていた」という。

 「『これで生きていくんだ』と何かを決意した瞬間というのも特になくて、6歳のときにダンススクールに通い始めてから、一度もやめたいと思ったこともないですし、子供の頃から、根拠のない自信のようなものがあったんだと思います」と振り返る。

 気が付けば、ダンス&ボーカルグループ「Folder」のメンバーとして1997年にデビューしてから今年で25年を迎えたが、ずっと変わらないのが歌とダンスが「好き」という思い。それが大きなモチベーションにもなっている。

 「その点については、ものすごくシンプルで、歌とダンスが好きだから。もちろんうまく歌えなかったり、うまく踊れなかったり、実際に変声期を迎えて、歌うことができない時期とかありましたけれど、それらを乗り越えることができたのは、やっぱり歌とダンスが好きだから。それに尽きると思います」と結論づけていた。

芸能 最新記事