池井戸潤さんの同名小説(集英社)を実写化した映画「アキラとあきら」(三木孝浩監督、8月26日公開)。本作で老舗海運会社「東海郵船」の若き社長・階堂龍馬を演じているのが、人気グループ「King & Prince」の高橋海人さんだ。龍馬は優秀な兄の階堂彬(横浜流星さん)に劣等感を抱いているという役どころで、高橋さんは「龍馬の気持ちがすごく分かりました」と共感。ジャニーズJr.のころに「何で自分はここにいるんだろう」と感じていた時期と重なったという。かつての葛藤と、「やるからには何でもできていたいです」と語る今の思いを聞いた。
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映画は、メガバンク「産業中央銀行」を舞台に、偶然にも同じ名前を持つ新入社員・山崎瑛(竹内涼真さん)と階堂彬が、情熱と信念を武器に社会に立ち向かっていく姿を描く。彬は「東海郵船」の長男でありながら、グループ会社を経営する親族同士の争いに嫌気が差し、自ら跡継ぎの座を退いた。優秀な兄にコンプレックスを抱いていた龍馬は、社長に就任することで認められようとするが、親族たちのたくらみに巻き込まれ、苦悩していく。
これまで学生役を演じることが多かった高橋さんは、今回が初めての社会人役。「とても新鮮でしたね。基本的に僕は話し方のキレが悪いので(笑い)、それが出ないように心がけていました。 場面が次々に展開していく中で、普段の自分が邪魔しないように意識していました」と振り返る。
兄弟役を演じた横浜さんについては「流星君自身の堅実さや男前なところが、役にもにじみ出ていてしびれました。自分の本質を役とチューニングしているというか。持ち前の人間力が反映されていて、終始すごいなと思いながら見ていました」と告白。「僕が緊張している時も、ふと後ろを見ると流星君がいてくれて。本当にかっこよかったです」と尊敬のまなざしを向けた。
演じた龍馬の人物像を「若いからこそ、まだ自分の中に落とし込めない部分がある人」と分析。「経験が浅いというのが全てな気がしますが、兄に対しても分かりやすいくらい反応するし、気持ちを隠しきれない印象です。でも、責任感とプレッシャーの間で、そうならざるを得なかったというか。いろいろなものを背負いながら、仕事とも自分とも戦っているんだと感じました」と明かす。
そんな龍馬に対し、「誰かと自分を比べて劣等感を抱くのは、きっと皆さんも経験があると思いますが、僕は特にそういうタイプです」と共感を寄せた高橋さん。「すごく考えてしまうし、そういう自分にもコンプレックスがあって。だから龍馬の気持ちがすごく分かりました」と話す。
「今のKing & Princeのメンバーは、僕が事務所に入った時には、既にジャニーズJr.の中でも最前線で活躍している存在でした。その中に急に自分が入ることになって、みんなと切磋琢磨(せっさたくま)できるようになるまで、必死についていこうとしている期間はもどかしかったです。『何で自分は今ここにいるんだろう』とも思ったし、悔しい気持ちもたくさんありました。台本を読んでいたら、そういうときのことを思い出して泣けてきちゃいましたね」
そうしたJr.時代を経験し、2018年にKing & Princeとしてデビュー。最近では振り付けなども担当し、「前より、やりたいと思うことが増えました。やりたいことは全部口に出して言うようにしていますし、やるからには何でもできていたいです」と力強く語る。
「ジャニーズ事務所って、いろいろな才能を生かせるところだと思っていて、僕はそこが好きなんです。僕は絵を描くことも好きなのですが、それがきっかけでマンガの連載をさせていただけることになったり。『アーティスト』や『俳優』と一つのジャンルにとらわれず、道筋の自由さがある。僕は多趣味なので、そういった環境がありがたいです」
そんな高橋さんが今、追い求めたいものが芝居だ。「今は何よりも芝居が楽しいです。どっぷり沼に浸かっている感じです。いろいろな作品にどんどん触れて、やりたいと思ったことを一人前にこなせるようになりたいです」と目を輝かせる。
「人間的にも役としても、もっと魅力を出せるようになりたくて。演技やダンスもそうですが、『表現』ということに関しては、いくら考えても答えが見つからないものだと思います。この職業である限り、ずっと自分に満足することはないんだろうなと思っているんですけど。でもそれが楽しいんです」
高橋さんといえば、グループの最年少メンバーで、可愛らしい言動から末っ子キャラとしてのイメージも強い。しかし、その内側には熱い思いを持ち続け、Jr.時代から「自分にできること」を探してきた。そんな高橋さんに、あえて挙げられる今の強みを聞くと「熱量ですかね」と返ってきた。
「それだけは誰にも負けないと思っています。結果を残したいし、いろいろな人に認められたい。食らいついてやろうという気持ちで臨んでいます」
※高橋海人さんの「高」は「はしごだか」。
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