名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
2021年年9月24日に膵臓(すいぞう)がんのため84歳で死去したマンガ家のさいとう・たかをさんのお別れの会が9月29日、帝国ホテル(東京都千代田区)で執り行われ、生前親交があったマンガ家のちばてつやさん、里中満智子さん、秋本治さんがお別れの言葉を述べた。
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ちばさんは、「たかをちゃん」とさいとうさんの遺影へ呼びかけ、「あなたは見かけによらず、誰よりも周りを思いやるとても優しくて思慮深いジェントルマンでした」と魅力を語り、生前さいとうさんらマンガ家仲間たちとゴルフを楽しんだ思い出を振り返り、「仕事も遊びも全てに大胆で繊細なゴルゴとたかをちゃん。今の私には二人はまるで一心同体、記憶の中ではしっかりと重なって見えるんです」と語った。
「すでに半世紀以上も前から『マンガは子供が読むもの』というきらいがあったのに、『いずれ大人がコミックを楽しむ時代が来るんだ』と予見して、青年コミック誌の必要性を強く訴え続けていましたね。劇画というマンガの一ジャンルを創世し、劇画文化をここまで大きく育んできたのは、疑う余地なくあなたの功績大です」と功績をたたえた。「今頃は生前大の仲良しだった石ノ森章太郎さんや、藤子不二雄Aさん、古谷三敏さんと大好きなお酒でも酌み交わしていることでしょう。たかをちゃん、私もまもまくそっちへ行くで。待っとってね」と故人をしのんだ。
里中さんは、さいとうさんが築き上げたマンガを分業で制作するプロダクションシステムに触れ、「これは並のマンガ家にできることではありません。なぜならマンガ家は自分のイメージを自分で表現したいと願ってしまうのです」といい、「『自分は自分より上手な人の才能を生かしたい』『自分を抑えてこそ、みんなの力を生かすことができる』、信念がおありになったからこそ、そして、その信念を貫く覚悟があったからこそ成立したプロダクションシステムであり、さいとうプロ作品なのです。誰もがまねできるシステムではありません」と語った。「人の力を信じるといっても、ご自身の努力はすさまじいものがありました」と話し、「自分のやるべきことから逃げない強さを教えられました」と思いを語った。
秋本さんは、「さいとう先生、僕ら世代は劇画が少年誌に出てきた頃、夢中になって見ていた、いわゆる劇画少年でした。僕はファン代表として読み上げます」といい、「僕も劇画家を目指して、夢中になって劇画のマンガを描きました。当時、100ページぐらいの劇画を描いたんですけど、それが重い劇画で、その箸休めとして『こち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)』を描きました」と話した。共に長寿作品となった「ゴルゴ13」と「こち亀」のコミックス巻数が並んだ際は「さいとう先生と並べるのはうれしくもありました」と振り返った。
「さいとう先生は『劇画は一人で描くのではない。専門の分野を集めて、みんなで寄って作り上げるものだ』と、かねがねおっしゃっていました。今も作品を作り上げている現場を見て、恐らく先生は『みんなよくやっとるな』とにこやかな顔をされているのではないかなと思います。先生が育てた有能なさいとうプロのスタッフ、そして優秀な編集者、ぜひ『ゴルゴ13』を夢の300巻に向けて続けていただきたいと思います。頑張ってください」と思いを語った。
この日のお別れの会は「劇画家さいとう・たかを お別れの会」と題され、さいとう・プロダクションが主催し、リイド社、小学館、小学館集英社プロダクションが共催した。祭壇は、さいとうさんが生前好きだったという野の花をイメージしており、会場には、さいとうさんの作品のコミックス約600冊、雑誌約150冊が展示された。
さいとうさんは1936年11月3日、和歌山県生まれ。1955年に「空気男爵」でマンガ家デビュー。大阪で貸本向けマンガ誌を中心に活動し、1960年に「台風五郎」が大ヒットした。その後、活動拠点を東京に移し、「さいとう・プロダクション」を設立。作品制作過程における分業化をはかり、脚本部門を設けるなど、劇画制作システムを確立。「ゴルゴ13」のほか、「鬼平犯科帳」「仕掛人 梅安」「影狩り」「無用ノ介」「バロム・1」「サバイバル」「雲盗り暫平」などのヒット作が多数ある。
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