俳優の船越英一郎さんが主演を務めるNHKのBS時代劇シリーズ「赤ひげ」の第4弾「赤ひげ4」が放送中だ。物語は後半へと突入。いよいよ主人公の“赤ひげ”こと新出去定(にいで・きょじょう、船越さん)の過去が描かれるという。2017年の第1弾から、足かけ6年にわたって赤ひげを演じてきた船越さんと、第4弾からおたね役で出演している戸田菜穂さんに話を聞いた。
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ドラマは、山本周五郎の小説「赤ひげ診療譚(たん)」が原作。小石川養生所の無骨で謎めいた医師で通称「赤ひげ」と呼ばれる新出去定と、赤ひげに反発しつつも医師として生きるべき道を見いだしていく青年医師の保本登(中村蒼さん)の交流を中心に、さまざまな患者や市井の人たちの姿を描いている。
これまで通り人情味あふれるストーリーに加え、第4弾では、原作にもない、今まで語られることのなかった赤ひげの過去に、大胆に踏み込んでいく部分も大きな見どころ。
船越さんは「若い頃、赤ひげはここまでどんな人生を刻んできたのか。『3』まででは、青春時代に初恋があったということしか見えていなかったのが、『4』では、それ以降、ほとんどの過去が明らかになる。それが物語を大きく、今までと違う大きなうねりへと持っていく」と明かす。
また、明かされる赤ひげの過去において、大きな役割を担うのが、戸田さん扮(ふん)するおたねであるといい、「最初に(おたねが)登場したときから何かあるぞと。最近はやりのインスタでの匂わせどころじゃないですからね」と冗談めかす船越さん。
「一体、おたねさんと赤ひげの間にどんな過去があったであろうか。もしかしたら赤ひげに恨みを抱いていて殺しに来たのかもしれない。かつて誰かと彼女を取り合って、その中で何かが起きて、またそこで恨みを持つ誰かが現れるんじゃないかとか、いろいろな想像ができる」と話し、「1話完結で、今まで以上にいろいろなエピソードがありますが、おたねさんの存在、記憶を取り戻すのはいつ来るのか、それと同時に赤ひげの身に何かが起こるのではないかと、そんなサスペンスを味わっていただけるシリーズになっていると思うし、ご期待いただけると思っています」と力を込めた。
改めて「赤ひげ」シリーズについて、船越さんは「(スタートから)6年もたつんですよね、その間、赤ひげと一緒に僕の人生も続いて、確実に自分の一部になっている。赤ひげを演じるにふさわしい俳優としての生き方。それを矜持(きょうじ)として、普段の暮らしを重ねてきて、僕の生活の中心に赤ひげがいるような感じさえしている今日このごろでございます」と告白。
今回の第4弾の最終回を見て涙したという船越さんは「自分が出ているシーンで不覚にも号泣してしまいました。俳優人生40年やってきて初めてのことです」と思いの強さをのぞかせた。
撮影を終えて、「余韻が抜けずに、ちょっとぼんやりとしているというか」と率直に明かすのが戸田さんだ。
「それくらい(おたねは)私の中でインパクトのある役で。心もいっぱい揺さぶられましたし、まだ見たことのない景色を見させていただきました。難しい役の方がやり遂げたときの達成感はありますし、幸せでしたし、いっぱい感動をもらいました」と振り返る。
第4弾からの参加で、「多くのファンがいる『赤ひげ』に出演させていただけてうれしかった」という戸田さんは、「謎めいた女性の役だったので、楽しみもいっぱいありましたけど、毎日ドキドキしながら現場に通っていました」と告白。
現場の雰囲気について、「船越さんご自身が赤ひげ先生みたいな存在で、若い役者の方々を引っ張っていらっしゃいました」といい、「本当に頼りになる温かい存在というか、衣装を着て、役の扮装になったらもう赤ひげ先生がそこにいるって感じでした」と語った。
そんな戸田さんに「赤ひげ」シリーズの魅力を聞くと「私がいいなと思ったのは、赤ひげ先生が患者さんを一喝したり、『あなたはどう思うんだ、どうしたいんだ』と聞くところ」を挙げ、「怒ってくれる人って今、世の中になかなかいませんし、自分の人生は自分で決めろ、自分で責任を持てと、毎回とてもいいことをおっしゃるのを見ていて、こんな存在が近くにいたらいいなと泣いちゃいました。怒るってすごいエネルギーのいることなので、そこまで患者さんの心に寄り添っている先生なんだなって、視聴者の皆さんも、自分に言われているような気がして涙するんじゃないかな」と話していた。
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