女優の広瀬すずさんと櫻井翔さんがダブル主演を務める映画「映画 ネメシス 黄金螺旋(らせん)の謎」(入江悠監督)が3月31日に公開される。映画は2021年4月期に日本テレビ系で放送された連続ドラマの最終話から2年後が舞台で、櫻井さんは引き続き“ポンコツ”な探偵・風真尚希を演じる。櫻井さんに映画の撮影エピソードや、40代の今の仕事への思いなどを聞いた。
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「ネメシス」は、天才的なひらめきで事件の真相を見破る探偵助手・美神アンナ(広瀬さん)と、“ポンコツ”な探偵・風真(櫻井さん)のコンビが、コミカルなやり取りで難事件を解決していく物語。映画は、横浜の探偵事務所ネメシスに誘拐された犬の奪還という超高額依頼が飛び込んできたが、調査を開始したアンナの目の前で襲撃された男の死体が消えるという不可解な事件が発生し、アンナと風真は二つの事件の関連性を探るが……という内容。探偵事務所のCEO・栗田一秋役で江口洋介さんも続投。「アンフェア」シリーズの原作者・秦建日子(たけひこ)さんが脚本を手がける。
ドラマに引き続き、ポンコツな探偵・風真を演じる櫻井さん。台本を読み、「これ、映像でどうやって表現するんだろう」と当初抱いた印象を明かす。「何層にも重なり合っていて面白いな、と思ったのと同時に、『これ、映像でどうやって表現するんだろうな』と。ただ、入江監督とは一昨年にご一緒した関係があったので、『きっと入江さんだったら、これをものすごく面白いエンターテインメントにしてくれるんだろうな』という期待値は高まっていました」と当時の思いを語る。
演じる風真は、ポンコツだが人望は厚いという愛すべき人物。櫻井さんは、映画でも連続ドラマの時に作り上げた風真像からはみ出さないことを心がけていたといい、「アンナに向ける愛情のベクトルだったり、栗田さんに向ける敬愛のベクトルだったりは忘れないようにしたいな、と思いました。ふざけていても不意に見せる表情とかちょっとしたことで、2人に対する思いが切れないようにしておきたいなと思っていました」と振り返る。
今作には迫力あるカーアクションなど、映画ならではのシーンも。櫻井さんもそうしたシーンの撮影について、「非日常な経験」と感嘆する。
「道路を完全封鎖してカーアクションをやっている時は、本当にジェットコースターに乗っているみたいな……車の中に広瀬さんと2人でいたんですが、そういう非日常な経験はたくさんさせてもらいました。丸一日、一つの街のワンブロックを封鎖して撮影する、というのは映画でもなかなかないんじゃないかなと感じます。駅前の一つの空間を撮影のために自由に使えるというのは、やっぱりテンションが上がりますよね」
それ以外にも複雑に絡み合った謎、敵とのアクションなど、見どころは多い。櫻井さんも「“ギュッ”といろいろなことが集まった作品な気がします。今回においては、自分の役割もその中のワンピースでしかない」といい、「スピード感と糸がバーッとほどかれるようなミステリーを楽しんでもらいたいな、と。アトラクションを楽しむような気持ちで楽しんでもらいたいなっていう思いが大きいですね」と語る。
以前、連ドラ放送時のインタビューでは「表現すること、そこに至るプロセスを考えることが、こんなに面白いんだと改めて感じさせてもらいました」「グループでの活動を休止したことで、何となくそういうのも一旦終わっちゃうのかなと思っていて。監督に導火線を作ってもらったような気がします」と“表現すること”への思いを明かしていた櫻井さん。それから1年半以上がたった今は、どのような思いを抱いているのか。
「ありがたいことに、そのインタビューの時から考えると、この映画やテレビドラマ(同局系の『大病院占拠』)もあって、表現するということに関して絶え間なくお話をいただいているので、今もその時に感じた思いの延長線上にいるような感覚かもしれないですね。だから、この現場で『どんなことができるかな』と、家なり移動中なりで思考をめぐらせている時間が楽しかったりする。現場で、そのイメージしていることと同じでも面白いし、共演者の方々とご一緒することで自分で考えたこととはまったく違う方向になったら、それはまた面白い。楽しみながらの日々ではありました」
そんなふうに楽しみながら、数々の話題作へ出演を続ける櫻井さん。41歳になった現在、俳優にキャスターにと多忙な日々を送っているが、20代後半から意識的にトレーニングするなど準備を重ねてきたため、年齢に関して肉体的、精神的にネガティブな感覚はないという。それは仕事への取り組み方も同様で、以前とは「変わっていないとは思いますけどね。むしろ、あまり変えたくないなと思っています」と吐露。むしろ汗をかき、プロセスを大事にする姿勢は年齢を重ねるごとにより意識している。
「年齢なのかキャリアなのかは分からないけど、重ねると、最短距離を進む方法を覚えちゃうじゃないですか。なるべく『そうはありたくないな』と思っていて……。『汗をかく』って言うんですけど、やっぱりプロセスにどれだけ時間をかけてきたかって、見ている人に伝わってしまうものだと思うので。『きちんと段階を踏む』なのか『準備する』なのか、ものによって変わってくるんでしょうけど、自分を律する意味で、プロセスを大事にしたいな、と年齢を重ねるごとに思っています」
一方で、キャリアを重ねることによる喜びもある。その一つ、自身が過去に出演した番組を見ていた若いスタッフと現場で関わることだ。当時の番組を「見ていました」と言われることは、うれしいことだという。
「キャリアが長くなってくると、いち視聴者、いちファンとしてテレビを見ていた子供たちと今、一緒に仕事ができている。『ここで人生交わるのか』と。そういうことが、最近は多いんですよ。僕ら(嵐)が10周年の2009年ぐらいの時に小、中学生だった方たちが、たぶん今は20代中ごろになっている。(そういうことが)すごく多くて、うれしいですよ。長くやっているといいもんだな、と思いますね」
そう充実感をにじませて語る櫻井さん。俳優業に加えて、同局系のニュース番組「news zero」で2006年からキャスターも務めているが、そうした立ち位置にいることを「幸せ」と表現する。
「報道番組に携わって、いわばノンフィクションを伝えている。で、映画なりドラマなりではフィクションを表現している。その二つをアウトプットできる立場にいる人は、周りを見ても多いわけではないので、フィクションとノンフィクションの中に同時にいる、表現する、伝える……ということができている今の立ち位置に、幸せを感じています」と現在の思いを語ってくれた。
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