人気グループ「Snow Man」の目黒蓮さん主演で、3月17日に公開された映画「わたしの幸せな結婚」(塚原あゆ子監督)に出演している高石あかりさん。口コミで評判が広がり、異例のロングランヒットを記録した映画「ベイビーわるきゅーれ」(2021年)の殺し屋役で注目を集めた気鋭の女優だ。「わたしの幸せな結婚」では、ヒロインの斎森美世(今田美桜さん)を虐げる異母妹・斎森香耶を演じたが、高石さんが撮影で感じたのは「孤独」だったという。映画や役について話を聞いた。
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映画は、小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載された顎木(あぎとぎ)あくみさんの同名小説が原作の純愛ストーリー。大正ロマンをイメージした架空の時代を舞台に、家族から虐げられてきたヒロイン・美世が、自分を愛してくれる久堂清霞(目黒さん)と出会い、新たな運命を切り開いていく。
高石さんが演じた香耶は、幼い頃から美世とは反対に両親に可愛がられて育ち、母・香乃子(山口紗弥加さん)と共に美世を虐げている……というキャラクター。高石さんは台本はもちろん、原作に書かれている香耶を大切にして、演じることを心がけた。
「その時(撮影時)は、役作りというものをあまり知らなかったというか、役をどう作ればいいのか、分からなくて。ただ、原作と台本に忠実に演じたいなと思いました」
クランクイン前日も原作を手放せなかったという高石さんが、香耶に対して抱いた印象は「すごくわがままで、美世のことをすごい虐げている」だった。
「でも初日に演じてみて、すごく孤独感を感じたんです。きっと美世よりも手にしているものはたくさんあって、お金、母からの愛情、それらとはまた違ったいろいろなものだったり。それでも、本当に欲しいものは手にしていないような感じがして。そのことをお芝居で感じることができたのがうれしかったですし、そのときすごく悲しくて、泣きそうになってしまったというか。それは私の感情ではあったのですが。香耶という人間を認めたり、『いい人』という人はいないのかもしれないけれど、私は香耶の味方でありたいなって、初日から役に対して愛情を持てたのは、すごくいい経験になりました」
どこかゆがんだ性格の香耶ではあるが、塚原監督とも話し合い、「ただ悪い子ではなくて、周りの影響とかで、“そうならざるを得なかった”というふうに」見せることを目指した。
「香耶の婚約者の幸次さん(小越勇輝さん演じる辰石幸次)も、美世のことが好きで、そういうものを敏感に感じてムキになってしまう。言葉にはしないけど、きっと目線だったりとかで感じてしまうがゆえの香耶の孤独は意識しました」
物語を盛り上げるスパイスとして、劇中には香耶の美世に対する“いびり”が度々登場し、時にそれが度を越えてしまうシーンもある。
「香耶が美世に恐怖を与えるっていうのもそうなんですけど、それを通り越して、スクリーンで見てくださる方に恐怖を与えるのが難しいなと思い、塚原監督とも何度もお話をさせてもらいました。こういうふうにしたらどうかと自分で練って、撮影では試してみて、ということを繰り返させてもらったので、お客様に香耶は怖いなと思っていただけたらうれしいです」
改めて塚原監督の印象を聞くと、高石さんは「すごくコミュニケーションをとってくださる方です」と信頼を示した。
「撮影では何度も何度も話を聞きに行かせてもらったのですが、違っていたら、真っすぐな言葉で指摘してくださる。だからこそ、私も分からなかったり、迷ったりしたら聞きに行けるというか。そいう関係性作りをしてくださったと感じています」
そんな塚原監督からは試写会で会ったときに「手紙をいただいた」といい、そこにつづられていた言葉は高石さんにとって「宝物」にもなった。
「手紙は私だけでなく、それぞれキャストの皆さんにお渡ししていると思うのですが。一番うれしかったのが『私はあなたのお芝居が好きです』という言葉で、それ以外にもこうしたらもっといい女優さんになれるとか、アドバイスが書かれていて、よりもっと頑張りたいと思いました。また一緒に作品作りができたらと思ってもらえるくらい、大きく成長したいとも思えて、本当に私の宝物です」
高石さんは現在20歳で、2019年に本格的に女優として活動を始めてから4月で丸4年。初主演映画「ベイビーわるきゅーれ」(伊澤彩織さんとのダブル主演)は、ヒットを受けて続編が3月24日に公開される。高石さんは「本当に楽しくて、お芝居をしている時が」と笑顔を見せる。
「小さい頃の夢でもあったので、こうして今、こんなにもすごい共演者の皆さんとこんなにもすごい作品に出られること自体、夢。これまでも難しいことや苦しいこともあったと思うですが、これが私のやりたいことで、それができていることがうれしいですし、役を知っていく時間、溶け込んでいく時間がすごい心地いいんです」
「わたしの幸せな結婚」では、演じた香耶に対して、撮影初日に「こんなにも守ってあげたいって」という気持ちになれたことが「すごく私の中では衝撃的」だったとも話す。
今後に向けては、「現場それぞれで学びがたくさんあって、一つ一つに感謝しながら頑張っていきたいなって思っています」と意気込むと、「無色透明で、どんな役にも染まることができる。カメレオンみたいな、そういう役者さんになっていけたらと思っています」と語った。
※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」
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