原泰久さんの人気歴史マンガが原作の映画シリーズ3作目「キングダム 運命の炎」(佐藤信介監督)で、闇商人の紫夏(しか)を演じた杏さん。原作ファンでもあり、キングダムへの出演を望んでいたという杏さんが、どのような思いで役に向き合ったのか、話を聞いた。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
紫夏は、趙国で憎悪と暴力を受けながらも後に秦王となるエイ政(吉沢亮さん)を全力で助ける闇商人。正義感と母性にあふれた優しい女性で、劇中では馬術や剣、矢を用いた戦闘シーンも披露する。
2019年に公開された第1作の実写映画を見た杏さん。「キングダムの続編に参加したいという気持ちはうっすらありました」と語るが、紫夏役でのオファーは「こんなにシンプルに美しい人の役が届いたのは意外でした。『キングダム』は日本テレビ系ですが、以前は妖怪をやったこともあったので(笑い)」
撮影はエイ政を演じる吉沢さんとのシーンが多かった。吉沢さんとは初共演で、その実力に魅せられることもあった。
「『キングダム』の第1作を見たときに、一人二役の演じ分けも、ビジュアルの再現度にも驚きました。当時は大河ドラマの撮影も同時にやっていて。全然違うキャラクターだったので、本当に作品によって顔が違う素晴らしい役者さんだなと思いました」
今作は2020年に撮影予定で、杏さんも衣装合わせをしていたが、コロナ禍の影響で丸1年延期に。撮影が終了しても「公開は3年後」と伝えられ、映画の完成は「想像できない未来のこと」と感じていた。
「1年撮影が延期した時は悲しかったですし、当時は社会的な閉塞感もありました。『キングダム』の撮影が始まった時はすごく希望を感じました。私のシーンの撮影はゴールデンウィークでした。お子様もいらっしゃるベビーシッターさんを泊まりで頼むことは難しく、地方ロケでは同級生の家族と泊まり込みの合宿をして、そこから撮影現場に通ったりしました。ですから、友達と力を合わせて作った作品という思いが個人的にはあります。少しずつでも、私たちは前に進んでこんなに素晴らしい作品を作れたんだという思いがあります」
現在は、日本とフランスでの2拠点生活を送る杏さん。自身のYouTubeで公開しているフランスでの暮らしの動画は、再生数が100万回を超えるものもあり、大きな反響を集めている。
フランスに渡ってから気付いた日本の良さもあるようで「規律正しいこと。いろんなことの基本的なレベルが高いと思います。日本にいたら当たり前のことですが、物がちゃんと届くとか、期日を守るとか、やはり日本はすごいと思います」
フランスに初めて子供3人を連れて行った時は、まだ全員ベビーカーを使用していた。
「エスカレーターがなくても苦労を感じませんでした。いろんなところから人が飛んできて、手伝ってくれるんです。バスにも電車にもベビーカーを開いたまま乗れますし、人に助けられることが多かったです。その分、ベビーカーを盗まれたこともありましたが(笑い)」
「フランスにはかつての日本を感じるんです。30年、40年くらい前の日本を。テクノロジーが進化した日本もすてきだと思うので、お互いがいいとこ取りできたら理想ですね」
2拠点生活で、仕事も子育ても苦労しながらも充実した時間を過ごしている杏さん。これからも大事にしていきたいことを聞いた。
「偶然の出会いですね。偶然出会った中から、長い付き合いになることが多かったりします。紫夏とエイ政も、まったく知らない二人でしたが、お互いに心情を打ち明けるまでに至りました。エイ政にとっては、この出会いがその後の人生の指針にもなりました。今までのことは気にせず、人間関係は構築できるものだと、紫夏とエイ政が教えてくれた気がします」
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