俳優の堀田真由さんが主演し、Kis-My-Ft2の宮田俊哉さんも出演する映画「バカ塗りの娘」(鶴岡慧子監督)が9月1日に公開された。映画は、津軽塗職人を目指す娘と寡黙な父が漆や家族と真摯(しんし)に向き合う姿を描いた作品で、堀田さんが父の仕事を手伝う青木美也子、宮田さんが美也子が淡い思いを寄せる鈴木尚人を演じる。堀田さんと宮田さんに、お互いの印象や共演の感想などを聞いた。
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「バカ塗りの娘」は、高森美由紀さんの小説「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター)が原作。スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子は、津軽塗職人の父・清史郎(小林薫さん)に津軽塗を継ぎたいことを堂々と言えずにいた。清史郎も津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放すが、美也子は周囲の反対を押し切ってある挑戦をする……という内容。
本作で内気な美也子を演じる堀田さんは、鶴岡監督からの提案で髪をばっさりカットした。「ずっとロングだったんですが、美也子に近づくための準備として25センチぐらい切りました。職人さんや何か作業をされている方で髪を下ろしている人はあまりいない、とお聞きして。そのこだわりも監督の中にあって、『できれば切ってほしいです』と提案していただいたので、髪を切って青森に向かいました」と明かす。
宮田さんが演じる尚人は、美也子の兄・ユウのパートナー。鶴岡監督からは「それについてはあまり考えなくていいよ」と言われたといい、「そこにいるのが当たり前のパートナーだから、トランスジェンダーということに関しては、それが当たり前のような感覚でいた方がいいんじゃないかな、というお話をされたことを覚えています。それってすごくすてきなことだな、と思いました」と振り返る。
堀田さんは、津軽弁や津軽塗の撮影など、新しい挑戦が多かった。特に方言は「本当に難しかった」と苦笑いし、「台本に、矢印で『ここが上がる』とかたくさん書き込んでいたんですけど……考えすぎてしまうと、ただ言うだけになって、お芝居ではなくなってしまうので、なるべく自然に落とし込めるように準備はすごくしました」と苦労ものぞかせる。
一方、ピアノを弾くシーンがあった宮田さんは「初めて監督とお会いした時に譜面をいただいたんですけど、読めなくて『音を聞かなきゃ分からん!』という感じで。指で覚えるなどしていましたね」と振り返る。
堀田さんは、宮田さんとは以前にキスマイのバラエティー番組で会っているが、映画やドラマでの芝居は本作が初共演。感想を尋ねると「(宮田さんに)すごくピッタリな役だなと。当て書きのような感覚がありました」と堀田さん。対する宮田さんは「きれいな大人の女性の魅力と、少女のような明るさ、笑顔がすごくいいバランスの方だと思いました」と明かす。さらに、「お芝居もすごく上手で『かっこいいな』と。カメラが回っていない時も、誰に話しかけられてもニコっと会話に参加する。そんな現場の振る舞い方とお芝居のすごさを間近で見て、本当にすごい女優さんだなと尊敬しました」と語る。
そんな2人に印象に残ったシーンを聞くと、宮田さんは「(堀田さんが)お茶をこぼしたシーンがありましたよね。こぼすのめっちゃうまいと思いました(笑い)」と楽しそうに感想を吐露。「こぼすのって、ワンチャンスじゃないですか。『めちゃくちゃうめえ!』と。あれは技術ですね。僕だったら手が震えて『ごめんなさい!』ってなる」と笑う。
堀田さんは美也子が家族で食卓を囲むシーンを挙げ、「青森の方が作ってくださったご飯が出てきて、津軽塗で塗られた机、食器で家族みんなで食卓を囲めるシーンが、すごく大好きで。いいシーンだなと思って、自分でも見ていてちょっとにんまりしました」としみじみ語る。
そんな堀田さんは、現在25歳。20代のうちにしておきたいことを尋ねてみると、しばし考えて「貯金、かな」と笑う。「浪費してしまうタイプで、貯金ができないんですよ。あればあるだけ使ってしまう。だから、美也子とは性格が逆かも(笑い)。もう25歳になったので、30歳に向けて貯金しなきゃな……と思っています」と苦笑い。そんな堀田さんを見て、宮田さんは「僕、全然お金使わないので、あるだけ使える人ってかっこいいって思う。芸能人って感じするじゃないですか」と笑顔を見せた。
最後に、映画の感想について聞くと「ぐっと入り込める」と宮田さん。「みなさんのお芝居がすてきで。堀田さんや小林薫さんという百戦錬磨の役者さんたちの中に自分もいて、みなさんに引っ張ってもらっている、ということももちろんあるんですけど、自分が出ていることを忘れる、というか……そんな気持ちになれて、良かったなと思います」と手ごたえを語ってくれた。
映画「バカ塗りの娘」は9月1日から全国公開。青森県では8月25日から先行公開中。
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