海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
吉高由里子さん主演の2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)に出演する本郷奏多さん。「麒麟(きりん)がくる」(2020年)に続く、2作目の大河ドラマで、前回“若き破天荒関白”近衛前久(このえ・さきひさ)を好演したことも記憶に新しい本郷さんが、今回は無邪気で変わり者の花山天皇役に挑む。「周りの皆さんに見守られながら、のびのびと自由に演じさせてもらっています」と気負いを感じさせない本郷さんに、ドラマや役への印象などを語ってもらった。
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「光る君へ」は63作目の大河ドラマ。平安時代中期の貴族社会が舞台で、のちに世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公となる。脚本を、2006年の「功名が辻」以来、2度目の大河ドラマ執筆となる大石静さんが手掛け、きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性の一生を映し出す。
本郷さん演じる花山天皇は、65代天皇。東宮(皇太子)のころから、まひろ(紫式部、吉高さん)の父・藤原為時(岸谷五朗さん)による漢籍の指南を受ける。即位後、藤原兼家(段田安則さん)の孫である懐仁親王(やすひとしんのう/のちの一条天皇、塩野瑛久さん)が東宮となったために、早々の譲位を画策され、大事件が起きる。
昨年6月、岩手・江刺ロケでクランクインした本郷さんの役への印象は「常識にとらわわれない、天皇のイメージからすごくかけ離れた人物像」で、その分、「天皇」という言葉の重みを必要以上に感じることなく、「本当に自由に演じさせてもらっています」と手応えを口にする。
「NHKの作品で、そういった立場の人物を演じるときって、所作のけいこをすごくやっていて、『麒麟がくる』でも実際にそうだったのですが、今回はある程度、(所作を)教わる部分はあったのですが、『好きに動いていい』と言っていただきました。監督たちも『(天皇のイメージを)どう崩していくか』をたくさん考えてくださったので、『こうあるべきだ』というのは一切、気にせず、“変わり者”を演じている感じです」
「麒麟がくる」の近衛前久に続いて、大河ドラマで高貴な人物を演じることになった本郷さんだが、「天皇って、立場としてはすごく偉いのかもしれないのですが、それはあくまで肩書でしかなくて、一番大事にしなくてはいけないのは個人の人間性、感情」ときっぱり。役作りの源泉にしたのも、史料よりも台本だった。
「この時代(平安中期)の史実って、『なになにをした』という事実は残っているのですが、背景や心情が見えてくるものではないので、そこから肉付けして、歴史上の人物を人間にしてくださっている作業は、脚本の段階で行われていると思うんです。花山天皇がどういう人物で、その身に何が起こったのか、史料はもちろんいただいたのですが、あくまでそれを基にして作られたのが『光る君へ』というドラマであり、僕が演じるべき花山天皇なので。決して史料をないがしろにしているわけではないのですが、それよりも台本を。台本に書かれているせりふから感情を読み解きながら、周りの共演者との空気感を大事にしています」
では実際のところ、「光る君へ」における花山天皇は、どんなキャラクターなのか。
「天皇って、作品によっては心情が描かれなかったり、神々しいものとして存在する場合もあったりするのですが、僕が演じる花山天皇に限っては、すごく感情表現が豊かで、すごく“人”。いやなことがあれば怒るし、うれしいことがあったらすごく喜ぶ。純粋で素直な、本当にまだ子供なんだなって。自分が好きなものは好きで、やりたくないものはやりたくない、みたいなキャラクター付けを、脚本の大石さんがしてくださっている印象です」
花山天皇は1月7日放送の第1回に「師貞親王」の名で登場。子供時代が描かれ、漢籍の指南役の為時を足蹴にしたり、バカにしたような仕草を見せたりと、本郷さんいわく“変わったキャラクター”の片鱗をのぞかせていた。ほかにも“変わっている部分”はあるのだろうか。
「花山天皇は本当に自由で無邪気なので。足で扇をいじって遊んだり、大人たちをからかってみたり、型にとらわれない変わったキャラクター。でも、そういった部分が可愛らしく見てたりもするので、かなり目を引くキャラクターになっているんじゃないなかと思っています」
加えて「花山天皇を嫌われるキャラクターにはしたくないと思っているので、無邪気さ、素直さを常に残しながら役を作っていこうと思っています」と意気込む本郷さんに、ここまでの撮影で印象的だった共演者を聞くと、為時役の岸谷さんの名前が挙がった。
「僕は小学生のころに俳優デビューをしたのですが、そのときに共演したのが岸谷五朗さん。ワンシーンだけの撮影だったので、今回ご一緒するとなったときに、僕から『実はあのときの~』という感じで話をしようと思っていたら、岸谷さんの方から、そのときの話をしてくださって。そんなことまで覚えていてくださっていたことがすごくうれしくて。元々、大好きな俳優さんでしたが、さらに好きになりました」
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