37歳の化け猫が主人公のいましろたかしさんのマンガが原作の劇場版アニメ「化け猫あんずちゃん」が7月に公開されることが分かった。映画「リンダリンダリンダ」「苦役列車」などで知られる山下敦弘監督、アニメ「花とアリス殺人事件」にロトスコープディレクターとして参加した久野遥子監督のダブル監督で制作される。「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」などのアニメ制作会社・シンエイ動画と、仏スタジオのMIYUプロダクションが共同で制作する。
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「化け猫あんずちゃん」は、マンガ誌「コミックボンボン」(講談社、現在は休刊)で2006~07年に連載されたマンガ。長生きをしていたら、いつの間にか化け猫になっていた猫・あんずちゃんの日常が描かれた。
メインキャストも発表され、俳優の森山未來さんが30年以上生き、人の言葉もしゃべれるようになった化け猫のあんずちゃん、俳優の五藤希愛(のあ)さんが、あんずちゃんと出会い変わっていく少女・かりんをそれぞれ演じることが分かった。同作は、実写で撮影した映像から動きや表情を抽出してアニメーションにするロトスコープの手法を採用しており、森山さんはあんずちゃんを実写映画と同じように演じ、撮影された。撮影時の声がそのまま本編にも使用される。
あんずちゃんを演じた森山さんは「森山の造形はほぼ跡形もなくなるんだな。でもフランス×日本合作の実験的で楽しそうな座組だし、あんずちゃんよろしく、ゆるゆると夏休み気分で行ってみるか!」と、撮影に参加した際の気持ちを振り返っている。
五藤さんは「かりん役で出演が決まった時、うれしくて、思わず飛跳ねて喜びました。同時に私にできるだろうかという不安もたくさんありました。なぜなら、台本を初めて読んだ時、『えっ!私以外ほぼ妖怪?』と驚きましたから(笑い)。今回の作品で、森山さんと同じシーンを経験させていただけたことが、私にとって何よりも大変貴重で、幸せな時間でした。劇場公開がとっても待ち遠しいです」と話している。
久野監督は「学生のころ、偶然本屋でいましろたかし先生のマンガを見つけて、なんて実直に人間を描いているんだと衝撃が走りました。なので『化け猫あんずちゃん』の監督オファーは本当にうれしかったです。ロトスコープは実写映像をもとに絵を描く手法なため、リアルな身体表現のために使用することが多いのですが、私はお芝居の魅力を表現することにも向いていると思っていました。山下監督が映し出す温度のあるお芝居を冷ますことなくアニメーションで再構築する体験はぜいたくでしびれました。そして、MIYUプロダクションによって描かれた美術と色彩は、見慣れた日本の風景をこんなに新鮮な景色にするのだと驚きました! そんな風景を生き生きと動き回るあんずとかりんをぜひ劇場で体感してください!」とコメントを寄せている。
山下監督は「マンガ『化け猫あんずちゃん』はいつか映像化したいと思ってはいましたが、まさか長編アニメ映画として作ることになるとは思ってもいませんでした。共同監督の久野遥子さんは時に原作からそれていってしまう自分を何度も引き戻してくれて、原作への愛情の深さに自分自身、とても影響を受けました。主人公“あんず”にはずば抜けた身体能力を持った森山未來しかいないと、自分の中で決めていて、“猫”という難しい演技を森山くんは期待以上に表現してくれました。企画の立ち上げから7年以上の月日がたとうとしていますが、唯一無二の映画が出来上がりました! ぜひ、スクリーンで見てください」と話している。
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