河合優実:デビューから5年「わかってきた」自分のタイプ 表現者としてのジレンマも

連続ドラマ「RoOT/ルート」で坂東龍汰さんとダブル主演を務める河合優実さん
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連続ドラマ「RoOT/ルート」で坂東龍汰さんとダブル主演を務める河合優実さん

 若手俳優として注目を集める河合優実さんが、4月2日スタートの連続ドラマ「RoOT/ルート」(テレビ東京ほか、火曜深夜0時半)で坂東龍汰さんとダブル主演を務める。独特な作風が話題となったテレビアニメ「オッドタクシー」から新たに誕生した本作。アニメの感想を「面白かった。ただ後追いで最初にすべてを知った状態で見たので記憶を消してもう一度見たい(笑い)」と話した河合さん。デビューから5年を迎えての変化や今後の展望について聞いた。

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 ◇あえて作り込まず自然体

 ドラマは、ウェブマンガサイト「ビッグコミックスペリオール ダルパナ」で連載中のマンガ「RoOT/ルート オブ オッドタクシー」を基に、オリジナルストーリーが展開。街の小さな探偵事務所で働く、愛嬌ゼロの先輩探偵・玲奈(河合さん)と、その部下で凶運のポジティブ新人・佐藤(坂東さん)が、とある奇妙なタクシー運転手の素行調査をきっかけに大きな事件へと巻き込まれていく。

 ダブル主演を務める坂東さんとは同じ事務所ということもあり「やりやすかったです」と振り返った河合さん。「坂東君本人が役柄にぴったりな方だし、バディーという関係性も、リアルで知っているからできたことも。彼のパーソナリティーが現場を作っているし、現場の雰囲気を引っ張っている感じもあった。一緒にやれてよかった」と感謝する。

 今作での役作りに関して、河合さんは「役のタイプとして、あまり作り込まないでナチュラルに現場にいればいいと感じたので、細かいキャラクターっぽい部分はあまり出していません」といい、「『なんでここまでこだわっているか』『なんでここまで熱くなれるか』といった、玲奈のバックボーンをきちんと持って、意識しながら演じました」と説明する。

 細かく作り込まないと決断した理由を「感覚的なもの」とするも、「台本を読んだり本読みする中で、相手役が坂東君というのもあったし、監督もそれを求めている気がした」と説明する。

 「振り返ってみると、その時々、作品によって自分の演技のチューニングがちょっと違っていると思います。本作でも、このトーンが一番いいと判断して演じていたことを、自分で見ても少し新鮮に感じるぐらい、リアルを大事にしてやっていました」

 アニメが持つ独特のテイストについて「監督が『あまり意識しないで大丈夫』と言ってくれたので、そこまで意識せず自然体なトーンでやっていけた。情報量も多くて、起きていることが目まぐるしいので頭を整理しながら臨んだ」と撮影を振り返り、「完成した映像を見て一お客さんとしても楽しめた」と手応えを口にする。

 作品や役の見どころを、「アニメを見ている方も見ていない方もミステリーとして楽しめます。すべての情報を聞き逃さずに見てほしいし、どうして玲奈がそこまで事件の真相を真剣に追うのかという部分にも注目してほしい」とアピールした。

 ◇自身の変化に納得も「もう感じたままにはできない」

 今作が地上波ドラマ初主演の河合さんに、座長として心がけたことを聞くと、「あまりないですね」と照れ笑いを浮かべつつ、「作品の看板、中心になるという意識は持って取り組みました」と返ってきた。

 「スタッフさんやキャストさん全員に嫌な思いをしてほしくないし、皆さんが気持ちよく『私たちは面白いものを作っている』と思いながら参加してほしいという思いは、主演させてもらうと強く感じます」

 2019年のデビュー以降、数多くの作品に出演。最近ではドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)の純子役が話題になったが、河合さんは「まだ始めたばかりと思ってやってきたけど、あっという間。感じ方も変わり、例えば5年前に感じていなかったこと、2年前は感じていなかったことも増えてきた」と変化を実感する。

 続けて、「失ったものでもあり、得たものでもある」と前置きし「役をどうしたいかとか、どうしたら作品にとっていいかなどを、自分は割と分析するタイプであることが(俳優を)続ける中でわかってきた。昔は方法を知らず思いに任せていた面もあったが、やり方が定まってきて、俯瞰して見られる部分が出てきました」と語る。

 冷静に分析する一方、経験を積んだことで「もう感じたままに、子供みたいに無邪気な表現はできないような感覚もあります」と表現者としてのジレンマも。それでも「ある種のベースを築けたのはいいことだと信じています。表現とか今後出る作品にいい形で生きれば」と思いをはせる。

 俳優としての理想像を聞くと「取り組むことに対する新鮮な感覚は忘れないでいたい。世の中に作品を届けている自覚を持ちながら、どう人を感動させるかを常に更新していたい」と力強く語る。

 では、アップデートを続ける中で今後やってみたい役や作品は何だろうか。

 「パッと思い浮かんだのはドラム。音楽(に関する作品)の役をやりたい」と応じ、「ドラムに興味があってやってみたいけど、歌とか歌う役もやってみたいです」(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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