俳優の岡田将生さんが、公開中の映画「ラストマイル」(塚原あゆ子監督)に梨本孔役で出演している。今作は、塚原監督がメガホンをとり、野木亜紀子さんが脚本を担当、ドラマ「アンナチュラル」(2018年)と「MIU404」(2020年)の世界線と交差する“シェアード・ユニバース”のノンストップサスペンスだ。岡田さん演じる孔は、主演の満島ひかりさん演じる舟渡エレナと同じ、世界規模のショッピングサイトの関東センターに勤める、入社2年目のチームマネジャー。岡田さんが演じた孔について、また今後について語った。(前後編の後編)
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「ラストマイル」は、流通業界最大のイベントの一つ、11月の“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生する。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展。センター長に着任したばかりの舟渡エレナは、チームマネジャーの梨本孔とともに未曽有の事態の収拾にあたる。「アンナチュラル」から石原さとみさん、井浦新さん、市川実日子さん、「MIU404」から綾野剛さん、星野源さん、麻生久美子さんらも出演している。
岡田さんが孔を演じる上で基軸になったのが「観客と同じ目線」ということだった。「孔はお客さんの視点になる役柄ですので、僕がどうこう動いてしまうと目線が乱れてしまうのではないかと考えたり。でもそんなことを考えていると、起きていることに対して(とっている態度は)正しいのか正しくないのかとか……」と試行錯誤しながら演じていった。
そこで「(作品の中で)何が起きて、どの人物にフォーカスを当てるかというのを分かってもらうのが、今回僕に与えられた仕事なのかなと思って、(孔とエレナのシーンでは)エレナさんという人間が何を考え、何をもって行動しているのかが全く読めなかったので、目の前で満島さんがやっているお芝居をしっかりと見届けることが大事だと思い、そこに集中していました。エレナさんをある種、俯瞰(ふかん)的に見ている自分がいました」と明かす。
さらに、「作品全部が僕(孔)目線じゃなくて、途中から変わったりするんですね。そうすると僕は“橋渡し”が重要だと思っていて、前半は特にそこを意識してお芝居を作っていました。後半は孔自身が変わっていくので、そこからはセッションというか、満島さんと一緒に作っていくものだと思って意識して演じました」という。
映画は物流というオンタイムなテーマを取り上げている。「本当に極上のエンターテインメントですけれど、野木さんの(脚)本が今、そのときに起きている出来事、問題に関して、潜在的に考えさせてくれる内容なんです」と話す。
岡田さんは、物流について「ボタン一つで、自分が欲しいものが届く。そこにどれだけの人が間に入って届けられているのかということを改めて知りました。やっぱり自分が指定した時間は家にいなきゃだめだなとか、一つ考えるきっかけになる映画だなと思いました」と語る。
そして「僕はラストで“託される”ので、この映画を見ている皆さんと、託されたものについて一緒に考えていければいいなと思います」とメッセージを送る。
先日、35歳の誕生日を迎えた。年齢については「全部自分の中で計算しているつもりなんです。この時期にこれが公開され、この時期にこの作品をやるっていうのを自分の中で組み立てていて。今年はいっぱい作品に関わろうと。“働く年”にしたいと思っていました」と語る。
放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」に主人公・寅子(伊藤沙莉さん)の再婚相手、航一役で出演中だ。「僕は途中から参加だったので、どういう反応があるかはすごく心配ではありましたけれど、スタッフの方にどんな人物像か全部お聞きして、安心して現場に入りました」と明かす。
そして5年後、40歳になるが、「いろんな先輩方に、30代で積み上げてきたものが40代で出るので、30代で一つ一つ丁寧に作品と向き合うべきだと、よく伺ってきました。果たしてこれでいいのか、今の自分のお芝居はどうなんだろうと常々、自分に疑問を持って生きているので、自分のパフォーマンスを振り返りつつ、それまでの自分のキャリアを捨ててでもこの作品と向き合いたいというものにも出合いたいなと思っています。それが40代につながっていければいいなと思います」と力強く語った。
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