あのクズを殴ってやりたいんだ
第5話 あのクズの告白
11月5日(火)放送分
俳優の神木隆之介さん主演のTBS系日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(日曜午後9時)に出演する西垣匠さん。玲央(神木さん)の後輩ホストで友人、ライトを演じている。西垣さんに、神木さんの印象や撮影現場で感じたことを聞いた。
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ドラマは、明治の初めから戦後の高度成長期にかけ、石炭採掘で発展した長崎県の端島(軍艦島)と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、家族の物語。脚本・野木亜紀子さん、監督・塚原あゆ子さん、プロデューサー・新井順子さんのドラマ「アンナチュラル」「MIU404」(同系)、映画「ラストマイル」チームが手がけている。
本当に素直にうれしかったです。塚原あゆ子監督とは、映画「わたしの幸せな結婚」以来またご一緒できることが光栄、全力でお力添えできればという気持ちです。日曜劇場枠への出演に関しては、家族や周りからも「すごいね」と、多くの方からも温かいリアクションをいただいています。
当時はまだ俳優としてデビューしたばかりで、今思えばまだ日曜劇場の偉大さに気づいていなかったなと。とにかく大きな作品に出られるという感覚でしたが、3年がたち、改めてその重さを実感するようになりました。
自信はあまりないですね(笑い)。当時はカメラが回っていないときも緊張していたのですが、そういうことはなくなりました。今では撮影現場での動き方もわかってきましたし、自分のペースで進められるようになったので、前よりも落ち着いてお芝居に取り組めるようになったと思います。
プレッシャーよりも、作品に参加できるうれしさの方が大きいです! 撮影の前日は緊張で少し寝つきが悪くなることがありますが、それはどの作品でも同じかもしれません。自分が何を求められているのかを考えるようになり、そのプレッシャーをある意味楽しめていると思います。
神木さんや宮本信子さんとの共演は、いい緊張感をもたらしてくれて。なかなか共演できない方々なので、気持ちを引き締めて撮影に臨んでいます。大人になって日常生活で緊張することはなかなかないことなので、この経験はありがたいなと感じています。
僕が演じるのは神木さん扮(ふん)する玲央の後輩で、ライトというホストの役です。玲央は力の抜けた感じが絶妙で「こういう人、いるよな」と思わせる雰囲気を神木さんがお芝居で醸し出していて、さすがだなと。そんなゆったりとした玲央とは対照的に、僕が演じるライトは明るくおしゃべりな性格。
クランクインの日は、歌舞伎町の階段でただスマートフォンを見ながらしゃべるというシーンだったのですが、監督からはキャラクターを作るというより、自然体で演じてほしいと言われました。若者がスマートフォンを触りながらしゃべるときに、会話にだけ集中するわけではないから話が途切れ途切れになることがあると思うのですが、それを表現したいと。僕もそうやって友達と話すことがありますが、普段やっていることをいざ役で求められると、意外と難しいのだと気づきました(笑い)。
玲央もライトも売れないホストなので、外で女の子に声を掛けて営業をするしかないのですが、人気ホストのようにギラギラしたハングリー精神は持っていないんです。内藤秀一郎さん演じるミカエルは、同じホストクラブのナンバー2なのでとてもギラギラしているのですが、一方僕たちはぼーっと生きている感じ。現代の若者らしい部分も意識しながら演じています。
ホストの皆さんはメンタルが強いなと思いました。第1話で女の子に声を掛けて振られるシーンがあるのですが、それが日常茶飯事なんですよね。もし自分だったら、無視された瞬間に心が折れちゃいそうだなと(笑い)。
はい、そう思います(笑い)。
道行く女性への声のかけ方を教えてくれました。「君、可愛いね」と声を掛けるだけでは、女性にすぐにホストだとバレて振り向いてもらえないというアドバイスをいただいて。もっと自然で、確実に振り返ってもらえるテクニックを教わりました。例えば「お姉さん、久しぶり」「お姉さん、ハンカチ落としたよ」といったフレーズです。これは実際に効果があるんだそうです!
現場は和気あいあいとしています。端島パートでは重たいシーンもあるかと思いますが、神木さんと僕のシーンは比較的ゆるくて、視聴者の皆さんに和んでもらえるような部分。だからこそ、いつも楽しく撮影しています。実際に歌舞伎町のホストクラブがある場所でも撮影しているのですが、実際に本物のホストの皆さんがいる歌舞伎町を体感することができて、神木さんとその独特の雰囲気をしみじみ感じた日もありました。
神木さんは一つのスケジュールで二役をこなすので、エネルギーの消費がすごいですよね。時代も立ち振る舞いも異なるので、自分には想像がつかないです。あとは、神木さんと宮本信子さんとのシーンで、僕が先にその場から出て行く場面があったのですが、その後のお二人の会話がすごく自然でリアリティにあふれていて……。まさに「会話とはこういうものだよな」と感じました。撮影後にはモニターでお二人の芝居をこっそり見て、学ばせていただくこともあります。
役の大小で考えたことはあまりないのですが、いつもどの役でも難しさを感じます。特にこの撮影現場では、自分で考えてやってみたお芝居に「もう少しこうできる」と監督が味付けをしてくださるので、より緊張感があります。
神木さんとのシーンでは、話をしていて少し変な間が空いたり、セリフの話し始めがかぶったりしても、それはリアルでも起こることだからということでカットがかからず続くこともあって。そういうドキドキもある楽しい撮影現場です。台本どおりに演技をしているというより、本当に“やり取りをしている”感覚があります。
自分が考えていた演技プランと全然違う方向に舵を切っていただくこともあるのですが、そういうときはリクエストに応えられるよう精一杯奮闘しています。一方で、方向性が同じでプラスアルファを求められたときはやはりうれしいですね。それが役をさらに深めるという感覚なのかなと思っています。
フェンシングは相手との間合いを見て、相手が何を考えているかを考え、相手は突けないけれども自分が突ける間合いとタイミングをずっと探す競技なんです。常に読み合っている中で、相手との距離感が一番大事。なので、間合いを見る目は養われたかなと思っています。俳優としても、相手との物理的な距離感もそうですし、声のトーン、言葉遣いなども含めて人間関係の間合いや距離感というものが出ると思うので、そこは活かされているのではないかな。
この作品は、現代と端島と2つのパートがあって、それぞれがつながりつつも別のドラマのように2度楽しめるところが魅力的。キャストも豪華で、笑いあり涙ありで、脚本が本当に面白いので、純粋に楽しんで見ていただけると思います。今後の玲央とライトのコンビネーションも楽しみにしてください!
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