劇場版 呪術廻戦 0
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3月19日(水)放送分
「次にくるマンガ大賞2022」でコミックス部門1位に選ばれたことも話題のつるまいかださんのフィギュアスケートマンガが原作のテレビアニメ「メダリスト」。今年1月にテレビ朝日の深夜アニメ枠「NUMAnimation(ヌマニメーション)」で放送をスタートし、フィギュアスケートの世界に憧れる少女・結束いのりとスケーターとして挫折した青年・明浦路司が、指導者と選手として栄光のメダリストを目指す熱いドラマ、美しく迫力のあるフィギュアスケートの演技シーンが話題を呼んでいる。アニメを手掛けたKADOKAWAの山下愼平プロデューサーに制作の裏側を聞いた。
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「メダリスト」は、マンガ誌「アフタヌーン」(講談社)で2020年に連載を開始。幼少期からの選手を取り上げ、「五輪を目指すには5歳から始めなければ遅い」とされるシビアなフィギュアスケートの世界を選手、指導者、選手の家族といったさまざまな視点から描き、連載当初から話題を呼んでいた。山下プロデューサーは、「コミックスの第2巻が発売された2021年頃に原作を読んで、めちゃくちゃ面白かったというか……号泣しました」と作品に魅了された。
「令和のスポ根だと感じました。僕らのような昭和・平成世代のスポ根は、精神論的なところもあって、納得感の上に成り立っているかというと疑問に思う部分もある。もちろん今の時代でも、子供たちはさまざまな選択肢がある中で、覚悟を持ってその道に突き進むためには想い(おもい)が強くないといけないのかなと思っているのですが、『メダリスト』は、昔から変わらない“想いの力”と最新の技術や経験、選手とコーチの関係性といった部分がマッチしている。強い想いをどうやって技術に落とし込んでいくか、というところが並行して描かれていました。個人的には、どんなに熱くてドラマチックでも、リアルさが置き去りにされていると冷めていってしまうのですが、『メダリスト』の、しっかりとした裏付けがあり納得感がある上で、努力や想いの強さが花開くというストーリー性に引きつけられました」
原作を読み「アニメ化したい」と動き出そうとしたものの、フィギュアスケートをアニメで描くハードルの高さに山下プロデューサーは頭を悩ませた。
「これまでに人気があったフィギュアスケートアニメは、スーパーアニメーターの技術力によって支えられてきた部分が大きい。制作会社としては間違いなく大変な作業が待っている作品になります。いろいろな制作会社さんとお話をしたのですが、原作のクオリティーを下げずにやり切るのは難しいという意見がかなり多かったんです」
そんな中で、制作会社として名前が挙がったのが、KADOKAWAの関連会社でもあるENGIだった。
「ENGIは他のアニメ制作会社に比べ3Dが強い会社で、今後3Dと2Dの融合を目指していきたいというビジョンを持っていました。そもそもフィギュアスケートは、踏み切りの際のエッジの角度の違いでジャンプの種類が変わったり、事前動作の体重移動が合っているか、合っていないかで全く結果が違ってくるような競技なので、恐らく通常の作画では無理だろうなと。また、アニメは複数の人間がさまざまな工程を経て描くため、全員が競技のルールを知っていないと難しい。競技の正確さを表現するには『3Dのほうがいいんじゃないか』という話になりました。3Dと2Dの融合という目標と作品性がマッチするんじゃないかということで、引き合わせて、企画を提案しました」
「メダリスト」は、版元である講談社と共にアニメ化が進められた。さらに、山下プロデューサーは、フィギュアスケート中継を行っているテレビ局の一つであるテレビ朝日のスポーツ局、日本スケート連盟の協力も得ながら、調整を進めていった。
「実際、どういった人たちと一緒にアニメを作っていくか、ということも大事でした。まず、スケートリンクの取材に行ったのですが、それも原作の編集の方から、名古屋の『邦和みなと スポーツ&カルチャー』を紹介していただきました。そこでは、過去に3Dのモーションキャプチャーをやったことがあるとも伺っていて、そこをメインのリンクにされている鈴木明子さんが最近は振り付けも重点的にやっており、協力してくれるかもしれない、というお話をいただきました」
複数の関係各所からの紹介も経て、五輪出場経験もある鈴木さんにアニメの演技シーンの振り付けを依頼することになったという。モーションキャプチャーの撮影では、鈴木さんの紹介で、実力派スケーターの横井ゆは菜さん、磯邉ひな乃さんにも実演を担当してもらうことになった。
「まさに紹介の輪でつながっていった感じでした。やはり現役選手に自分の試合以外で本気を出していただくのは結構ハードルが高い。ただ、当時、横井さんは競技を引退したばかりだったので、全てのジャンプを現役に近い状態で飛べるということで、回転数の多いジャンプは横井さんに滑っていただいて、振り付けは鈴木さんにやっていただくという。最初の下地作りに時間はかかりましたが、一度つながってからは皆様がとても協力的で、うまく進んでいきました。本当にありがたかったです」
「メダリスト」のフィギュアスケートの演技シーンは、リアルさながらの迫力がありながらも、選手の表情、手の動きなど原作の魅力を最大限に生かした圧巻の映像に仕上がっている。第4話の主人公・いのり、第5話の天才少女・狼嵜光の演技は、ファンの間でも大きな話題となった。アニメならではの演技はどのように作られていったのだろう。
「モーションキャプチャーと言っても、フィギュアスケートリンクは広いので、全てを収めるようなモーションキャプチャーの装置はなく、あったとしても莫大な費用がかかります。実際は、点で体の関節の動きなどを拾いつつ、演技者の位置などは、光学のカメラで演技者を全方向から同時に撮影して後から調整しています。指先の動きや表情は、モーションキャプチャーのみではなかなかできないので、撮影した動画を参考にして、一つずつ確認して作るという形をとっています。モーションキャプチャーはベースになっているのですが、3Dスタッフが作ったものに対して、2Dスタッフが1コマ1コマ表情などを直す。まさに3Dと2Dの融合というか。もちろん途中は本当に試行錯誤で、完成するのかな?という時期もありましたが、結果としてうまく落とし込めたかなと」
子供の頃からフィギュアスケートという競技を追う「メダリスト」において、「間違ったものは見せられない」というプレッシャーもあるという。
「それは、スタッフ全員にあるプレッシャーで、ひたすら研究して、細かく作ることにこだわっています。とはいえ、アニメで嘘をつかなければいけない部分もあります。例えば、初級の演技は、初歩的なレベルなので、五輪選手の演技を見た後では迫力は薄れてしまいます。ただ、原作では初級からすごくダイナミックに描かれている。それをアニメで表現するためにどうするか。実際はそんなに高くジャンプをしていないかもしれないけど、カメラが選手の下に潜り込んで、角度をつけた画(え)を撮るなど、3Dは構図が後で決められるので、アニメの嘘をつくのも3Dのほうがやりやすかったのかも?と思います」
アニメの制作においては、原作者のつるまいかださんの協力も大きいという。
「やはり専門性の高い作品なので、例えば、『この時、このジャンプにチャレンジしたけど、次はこうなって……』という因果関係が競技の内容にまでつながってくるので、先生にはさまざまな工程を見ていただいています。先生も原稿でお忙しい中、ご迷惑をおかけしてしまっているとは思うのですが、アニメスタッフの一員としてみんなで楽しく作っています」
原作者、トップレベルの選手、フィギュアスケート業界のさまざまな人々の協力を得て、制作スタッフの試行錯誤の末に実現した「メダリスト」の演技シーン。努力の結晶をあますことなく堪能したい。
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