今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説（朝ドラ）「あんぱん」（総合、月～土曜午前8時ほか）の第118回（9月10日放送）で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか？　テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」（REVISIO社調べ、関東地区、速報値）の1分ごとの推移を調べたところ、最も注目度が高まったのは
午前8時6分の70.0％だった。

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　「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせさん（1919年～2013年）と、暢さん（1918年～1993年）夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。

　◇最高値は午前8時6分の70.0％　羽多子と登美子が映画館で再び相まみえる

　第118回は、のぶ（今田さん）が八木（妻夫木聡さん）の会社で子供たちに「アンパンマン」の読み聞かせをする場面から始まる。だが、子供たちはアンパンマンのおじさんには興味がない。一方、嵩（北村匠海さん）が監督を務めた映画「やさしいライオン」が公開され、好評を博す。

　テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を示す「注目度」はオープニング終了後の午前8時2分以降、60％台半ばを上下しながら最後までほぼ横ばいで推移するグラフになった。ピーク時にかろうじて70％に引っ掛かったが、大きく跳ね上がることはほぼなく、まずまずの注目度で安定して飛行した形だ。

　“山”になったのは序盤から中盤にかけての主に2回で、最初の“山”は午前8時4分の69.7％。読み聞かせがうまくいかず、少し落ち込むのぶに八木（妻夫木聡さん）や蘭子（河合優実さん）が話しかける場面だ。直前の午前8時3分台が主に八木が話しかける場面で、4分台から蘭子に切り替わる。

　注目度は午前8時3分の65.7％から一気に跳ね上がったが、特に何か大きな変化があったわけではない。クールな蘭子は「こじゃんと、ええ話やね」と切り出した後、「ただ読者を選ぶというか、万人受けはせんと思う」と的確な指摘をする。蘭子らしいとは思うが、ここで注目度が高くなったのは今一つ分かりづらい。

　それに比べると、この日の最高値70.0％を記録した午前8時6分台は非常にわかりやすい。映画館で「やさしいライオン」を見ていた羽多子（江口のりこさん）は上映終了後、立ち上がると後方に登美子（松嶋菜々子さん）が座っていたことに気付く。羽多子が声をかけると、やや気まずそうに「ごきげんよう」とあいさつする登美子。「嵩さんの映画、素晴らしかったですねえ。あては今まで見た映画の中で一番感動しました」と羽多子が声を弾ませても「それは結構でしたね」とすげない。

　目元をハンカチで押さえながら「ああ、目にゴミが」という登美子に合わせ、「あてもです。この映画館、ほこりっぽいですねえ」と応じる羽多子。どこまでも意地っ張りな登美子と、少々おせっかいな羽多子のキャラが出ていて、引き付けられるシーンだ。

　さらに羽多子は「お母さんのムクムクは息子のブルブルにあんなに愛されて幸せやねえ」とニコニコしながら突っ込む。さて、嵩の母、登美子はどう答えるのだろう？　「言っときますけど、私はムクムクじゃなくて、『ムカムカ』ですから」。登美子はそう言い残すと帰っていく。

　この「ムカムカ」は第111回（9月1日放送）で、登美子に羽多子が言い放った言葉。嵩が脚本を担当したラジオドラマ「やさしいライオン」を全く認めようとせず、嵩の悪口ばかり繰り返す登美子に対し、「嵩さんがあんなに美しい話を、あんたのために書いたがやのに、ぶち壊すようなことばっかり言うて！　あんたはムクムクやのうてムカムカじゃ！」と怒りをぶつけたのだ。その時のむかつきが忘れられなかったのだろう。今回は登美子が意趣返しで嫌味を言ったという感じだろうか。さすがの羽多子も「はあ」とうなずくしかない。最後まで2人の一言一言が気になってしょうがない場面だった。

　ちなみに、終了間際にのぶと嵩の高知新報時代の上司・東海林（津田健次郎さん）が6週ぶりに登場し、話題になった。午前8時14分台は69.1％で、この日の3番目の注目度。翌日の第119回で、東海林の登場シーンはどんな注目度を示すだろうか？

　活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。（文・佐々本浩材／MANTAN）