解説:深夜番組は“GP予備軍”でいいのか テレ朝の改編方針が投げかけた問い

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 テレビ局主要キー局の改編説明会が行われ、4月期のタイムテーブルが出そろった。そんな中で話題になったのが、3年連続“3冠王”のテレビ朝日の方針だ。GP(ゴールデン・プライム)帯の番組と深夜番組を分けて考えるという。近年の流れとは、やや異なるスタンスにも見える。

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 わずか1年で終了した深夜番組「人間研究所 ~かわいいホモサピ大集合!!~」(中京テレビ・日本テレビ系)の最終回(3月11日放送)が注目を集めている。ニホンザルやブルドッグなどの“動物MC(という設定)”が、ゲストの“ホモサピ(人間)”たちを相手に、人間の常識の矛盾を突くというコンセプトで、空気を読まない“動物”という立ち位置が生み出す突き抜けたトークを記者も楽しみにしていたのだが、あえなく終了してしまった。

 ラストは2週連続で番組終了への経緯自体をネタにするという展開で、SNSやTVerなどでの高評価を受けて深夜らしい方向で進めたい制作サイドと、より多くの視聴者が見込めるGP帯への昇格を考えたつくりにしてほしい編成サイドの意見の相違という、何とも生々しい理由が語られた。

 ここで明かされた、深夜番組をGP帯の“予備軍”あるいは“トライアル”にしたいという編成戦略は、近年のスタンダードとなっている。そして、現在GP帯の「クイズプレゼンバラエティー Qさま!!」「マツコ&有吉 かりそめ天国」をはじめ、深夜帯から数々の人気番組を輩出してきたのが、他ならぬテレビ朝日だった。

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 編成戦略に定評があるテレビ朝日は、「ネオバラエティ」「バラバラ大作戦」など以前から深夜枠に力を入れ、そこからGP帯に昇格するヒット番組を数多く送り出してきた。一方で「ロンドンハーツ」のように一度GP帯に上げながら深夜帯に戻した番組もあったりと、試行錯誤を重ねているのがうかがえる。

 そのテレビ朝日が今回の改編説明会で明かしたのは、「リアルタイム視聴が減って、配信に視聴が分散する傾向が年々強くなってきている」という深夜番組についての分析とともに、配信やリアルイベントなどへのつなぎ込みという熱心な視聴者との距離が近い深夜番組ならではの意義だった。実際に「夫が寝たあとに」「サクラミーツ」など、イベントやコラボグッズといった展開を積極的に進めている。

 もちろん“お試し枠”としての深夜帯の意義は今なお大きい。テレビ朝日がGP帯と深夜帯を切り分けられるのも、「ゴールデンタイムのバラエティーは安定的な視聴率をいただいているので、引き続き現状の番組で勝負していきたい」と自身も認める“王者”としての強さゆえだ。一方、他局は“挑戦者”の立場から新たなヒットコンテンツを作り上げる必要があり、コスト面からも深夜帯でGP帯向けの“商品開発”を進めるのが合理的だ。「GP帯を目指す」という目的があればこその先行投資やキャスティングもあるだろう。

 しかし、テレビ離れが叫ばれ、各局ともアニメや映画など知的財産(IP)がもたらす放送外収入の強化を図る中、深夜番組の立ち位置や“ならでは”の価値も変わってきている。GP帯のヒット番組を生み出す“苗床”としての役割を担うのか、それとも独自のコンテンツを発信する場として存在感を高めていくのか。もちろん単純な二者択一ではないが、テレビ朝日の方針は一つの試金石になりそうだ。(MANTAN/立山夏行)

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