城彰二さん:元クロアチア代表ダヴォル・シュケルさんとスペシャル対談 WOWOW

 WOWOWで放送中の「スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ」はバルセロナの2連覇で幕を閉じたが、これに合わせて、元サッカー日本代表で、現在WOWOWのサッカー解説者を務める城彰二さんと元クロアチア代表で以前レアル・マドリードに所属し、98年のワールドカップ(W杯)フランス大会では対日本戦で得点を挙げるなど大会の得点王となったダヴォル・シュケルさんが4月12日(現地時間)、スペインで対談した。対談が行われたのはスペインのリーグ「リーガ・エスパニョーラ」のレアル・マドリード対バルセロナの伝統の一戦「クラシコ」が開催された翌日。2対0でバルセロナが完勝し、その興奮もさめやらぬまま、対談に突入した。

ウナギノボリ

 シュケルさん (元所属していたレアル・マドリードが敗れたのは)頭では分かっていながらも気持ちの上ではなかなか受け入れられないものではあるね。すべてのレアルファンは失望していることだろう。なぜなら優勝に向けて大きな期待をしていたし、現時点でバルセロナがマドリードよりも勝っていることを示されてしまったからだ。

 城さん 敗戦したのは、カカーといった中盤の選手が欠けていて、よく機能しなかったからだと思いますが。

 シュケルさん 11人対11人で戦ったのだし、しかもレアル・マドリードなのだ。レアル・マドリードには22人の非常に優れた選手がいるのだから、クラシコは絶対に勝利しなければいけない。今回、重要な試合においていい結果が出なかった。だからレアルファンは失望している。たしかにバルセロナの中盤は現時点では最高のプレーをしているし、メッシは世界最高の選手の一人だ。それが今のバルセロナの力となっている。

 城さん レアル・マドリードの選手はホームであれアウェーであれ、勝たなければいけないという責任を背負っているように思えますが。

 シュケルさん 優勝するチームは一つしかない。スペインで2位になったら意味がない。2位では悪い結果とされる。だから、レアル・マドリードにはこれから大きな変革が起こるはずだ。

 城さん 私もリーガ・エスパニョーラでプレーしたことがあるのでよく分かるのですが、2大クラブでプレーするというのはとても大きな重圧を感じると思うのですが、どのようにしてその重圧に耐えるのでしょうか。

 シュケルさん だからレアル・マドリードが存在する。簡単ではないのだ。誰もがレアル・マドリードでプレーしたいと思う。レアル・マドリードは唯一絶対的なクラブなのだ。レアル・マドリードは偉大さを持ち合わせ、そのクラブでやっていくのはとても大変なことだ。例えば、非常に偉大な選手であっても、レアル・マドリードで活躍できないことがある。重圧を感じるというのは人生において必ずあることだ。それはどんな仕事であれ、スポーツであれ、重圧は感じるものだ。レアル・マドリードのような高いレベルであればなおさらだ。

 城さん 96~97年シーズン、あなたがレアル・マドリードに加わったとき、サッカーの規則が変わった直後だったので、外国人選手がたくさんチームに加わりました。ミヤトビッチやロベルト・カルロスやあなた。現在ではカカーやクリスティアーノ・ロナウド、ベンゼマといった多くの外国人選手が加わりました。あなたたちは優勝しましたが、その当時と比べて現在のチームは……?

 シュケルさん あの当時たくさんの偉大な選手が集まった。ロレンソ・サンス会長の時代だが、リーガ、チャンピオンズリーグ、日本で行われたトヨタカップで優勝した。我々はリーガで優勝したいというハングリー精神があった。それが現在と少し異なっている点だと思う。また、現在のレアル・マドリードは新しい選手を迎えたが、その選手たちが一緒にやっていく時間がもっと必要なのだ。選手を買い集めて、リーガで優勝することは簡単なことではない。例えば、現在のバルセロナは4年間かけて作られたチームだ。また、チェルシーはチャンピオンズリーグで優勝していない。アブラモビッチはたくさんのお金を持っているが、チャンピオンズリーグで優勝できていない。お金の問題ではない。チームの雰囲気や、一丸となってまとまること。新しい監督と15人の新しい選手が集まったのなら、時間が必要だ。

 城さん ストライカーについて話をしたいのですが、私はエリア内でボールをもらったとき、ゴールキーパーのポジションを見てからシュートを放ちました。しかし他の選手はボールをもらう前からける方向を決めているという者もいる。それについてどう思いますか?

 シュケルさん それぞれの瞬間によって、サッカーの状況は変わってくる。何人がエリア内にいるのか。10人がエリア内にいる場合もある。その瞬間に選手のインテリジェンス(知性)が問題とされる。どのようなトリックをするのか。シュートするのかそれとも回すのか。そういったことはその瞬間に、選手が判断することなのだ。だから、どうすればよいかというのはオートマチックには答えられない。

 城さん レアル・マドリードの今後ですが、チャンピオンズリーグのタイトルを取るまで時間がかかるのでしょうか?

 シュケルさん それは誰にも分からないし、会長にも分からないことだろう。それに答えるのはとても難しい。なぜなら永遠のライバルであるバルセロナは良い時代を築いているからだ。チームとして完成もしている。しかし、レアル・マドリードがリーガ2連覇した時代もある。常に周期というものがあるのだ。バルセロナの時代とレアル・マドリードの時代というものが存在する。毎年、入れ替わるわけではない。3、4年周期で変わる。

 城さん 将来レアル・マドリードの監督になるというのは考えていないのでしょうか?

 シュケルさん ノーノーノー。私はデモンストレーターにはなれるだろう。何度か、教えることはできるだろう。どのように見るのか、どのようにエリア内を動くのかとか。それが自分の仕事であると思うし、たくさんのゴールを決めてきたからだ。私は、クロアチアサッカー連盟の仕事か、自分の学校で子供たちを教える仕事を続けていくことだろう。それは長期的な展望に立つ仕事であり、日々チームを指揮していくのとは異なることだ。

 城さん あなたが今一番好きな選手は誰ですか?

 シュケルさん 私はクリスティアーノ・ロナウドとメッシが好きだ。それとフランク・ランパード、ジェラード、ティエリ・アンリ、バイエルンにいるフランス人、リベリー、たくさんの偉大な選手がいる。

 城さん クリスティアーノ・ロナウドとメッシについてですが、今度WOWOWでは2人のドキュメンタリー番組を放送します。そこで2人のことをお聞きしたいのですが、まずはメッシについて、サッカーの歴史においてどのような位置にいると思いますか?

 シュケルさん メッシは22歳であり、まだたくさんの試合をプレーすることになる。まだW杯で優勝していないし、アルゼンチン代表として大きなタイトルは取っていない。現段階では世界最高の選手として認められているが、まだW杯での活躍が足りない。もうすぐ南アフリカ大会を迎えるが、アルゼンチン代表の中で彼がどのような活躍をするのかを見ることになる。彼は偉大な選手が集まっているバルセロナでプレーするという幸運に恵まれている。そしてサッカー史に名前を刻む上で、正しい道を歩んでいる。

 城さん あなたはレアル・マドリードに以前所属していましたが、クリスティアーノ・ロナウドが再び世界一の選手になれると思いますか。

 シュケルさん ナンバーワンもナンバー2も同じだ。彼はレアル・マドリードがトロフィーを取ってもらいたいと思っているはずだ。しかし、問題はスペインに二つチームがあってもタイトルをとるのは一つだけだ。二つのうち一つはどうしても2位となってしまうのだ。チャンピオンになるためには、タイトルを取らなければいけないし、ナンバーワンにならなければいけない。トロフィーが必要なのだ。

 城さん ありがとうございました。あなたにはいつか日本に来てもらって、ぜひ子供たちに教えてもらいたいです。

 シュケルさん もちろんだ。次回はぜひ日本で会いましょう。

 <WOWOW関連番組情報>

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 <C・ロナウドとカカーの直筆サイン入りグッズ、プレゼント実施中>

 WOWOWではサッカー界の2大スター、C・ロナウドとカカーのドキュメンタリー放送を記念して、加入者限定でC・ロナウドの直筆サイン入りポストカードを1人に、カカーの直筆サイン入りユニホームを3人にプレゼントを実施中。詳しくはWOWOWの「スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ」特設サイトを参照のこと。

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