塚本晋也監督:「ないものが見える」? 「鉄男」オリジナルARに興奮

 映画「鉄男」などで知られる塚本晋也監督(50)が、デジタル技術を使い現実の映像に仮想の画像などを組み合わせて映し出す「AR(拡張現実)」を実体験した。「技術についていけないですよ。ツイッターがぎりぎり」という塚本監督だったが、20日、東京都内で開かれた最新作「鉄男 THE BULLET MAN」のオリジナルAR発表イベントでクリエーターユニット「AR三兄弟」が手がけた作品を見ると一転、「(何も)ない空間にあるように見えちゃう。これはかなり面白い」と大絶賛だった。

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 ARはiPhoneアプリの「セカイカメラ」などにも使用されている。AR三兄弟は「長男」こと川田十夢さん(33)、「次男」こと高木伸二さん(27)、「三男」こと小笠原雄さん(26)の3人組でARを使った映像などを開発、実演するなどしている。「鉄男」のオリジナルAR製作は、AR三兄弟が塚本監督のファンであることから実現した。

 披露されたのは、映画の「TETSUO PROJECT」のマークをカメラにかざすと音楽に合わせてマークに描かれた人間がダンスをするものと、頭にイヤホン状のヘッドセットをつけて精神を安定させると脳波によって動画が起動し、映画の主人公の変身シーンが流れる「TETSUO BRAIN SYSTEM」の二つ。「TETSUO BRAIN SYSTEM」は、「三男」こと小笠原さんや同映画の主演俳優エリック・ボシックさん(37)が何度も挑戦したが、なかなか集中できず起動しなかった。しかし、「次男」こと高木さんが挑戦すると一発で起動。高木さんはコツを「一点を見ることです」と紹介していた。

 塚本監督は「『鉄男』だから、興奮すると(映像が)見れるのかなと思ってた。集中するとなるっていうのはチャレンジできるから(映画館で体験した人同士が)にぎやかになるかも」と満足そうだった。また、「フィギュア発売といって、箱を開けても何にも入ってないんだけど、カメラで見ると『(フィギュアが)あるわー!』ってなるのいいですね」と提案して、会場をわかせていた。ダンスをするARのマークは公式サイトでダウンロードが可能になる予定で、「TETSUO BRAIN SYSTEM」は22日から、映画館「シネマライズ」(東京都渋谷区)に設置される。

 「鉄男 THE BULLET MAN」は、塚本監督の代表作「鉄男」(89年)と同じモチーフながら続編やリメークとは異なる新作。東京で平凡なサラリーマンとして働く米国人男性のアンソニーが、最愛の息子を謎の男に殺害されたことをきっかけに、筋肉が“鋼鉄の銃器”へと変わっていくというストーリー。全編英語で撮影された。22日から全国ロードショー。(毎日新聞デジタル)

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