注目映画紹介:「ローラーガールズ・ダイアリー」D・バリモア初監督 10代のほろ苦さを描く

 「E.T.」の主人公の妹役で子役として注目を集め、「チャーリーズ・エンジェル」などの大ヒット作の製作者としても活躍する米女優のドリュー・バリモアさん(35)が、「JUNO/ジュノ」のエレン・ペイジさんをヒロインに迎え、監督デビューを果たした映画「ローラーガールズ・ダイアリー」の公開が22日始まった。迷った顔、挫折した顔、恋する顔……アメリカの田舎町でもがいている10代のほろ苦さを焼き付けた、ペイジさんの表情の豊かさに魅了される。

あなたにオススメ

 17歳の女子高校生ブリス(ペイジさん)の日々は「退屈」しかなかった。テキサスの小さな田舎町で、地元のダイナーで一緒にバイトをする親友のパシュ(アリア・ショウカットさん)と遊ぶことくらいしか息抜きはない。美人コンテストで娘を優勝させることに熱心な母親の下で、乗り気でないまま、母親のいう通りに生きていた。ある日、隣町で催された「ローラーゲーム」に魅了され、家族には内緒で年齢を偽ってチームに入団。めきめきと腕を上げていき、バンドマンと恋に落ち、ようやく自分を解放できたのだが……。

 ローラーゲームは集団でトラックを猛スピードで回るローラースケート競技で、70年代には日本でも大流行した。競技のライブ感に、自分の殻を破って生きようとするブリスの挑戦が重なり、見ていてすがすがしい気持ちになる。ミニスカート姿に網タイツというコスチュームでありながら、プロレスのように体と体がぶつかり合って、よくぞ女優陣が挑んだと思えるほどの荒々しさだ。監督を務めたバリモアさんも選手役で登場し滑っている。

 映画ではブリスと母の関係もていねいに描き出し、単なる騒がしい映画になることを免れている。ブリスいわく「50年代の女性像」を押し付けてくる母親もまた、田舎町で良妻賢母として生きるよりほかなかった世代の女性なのだ。母親に秘密を持つのも娘の優しさからで、娘によかれと押し付けてくるのも母親の愛情。この母娘の行き違いも、ほろ苦い。22日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

映画 最新記事