ラノベ質問状:「さくら荘のペットな彼女」 魅力はヒロイン 凡人と天才と変態の青春群像

鴨志田一さん作、溝口ケージさんイラストのライトノベル「さくら荘のペットな彼女」の3巻
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鴨志田一さん作、溝口ケージさんイラストのライトノベル「さくら荘のペットな彼女」の3巻

 話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、世界的な画家として成功しながら、他のことはてんでだめな美少女と、その世話に振り回される少年の日常を描いたラブコメディー「さくら荘のペットな彼女」(鴨志田一著、溝口ケージ画)です。アスキー・メディアワークス電撃文庫編集部の荒木人美さんに作品の魅力を聞きました。

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 −−この作品の魅力は?

 タイトルにもなっている「ペットな彼女」ことヒロインましろのインパクトでしょうか。学園の変人たちの巣窟(そうくつ)「さくら荘」に引っ越してきたましろは、世界的な天才画家で、天才ゆえに日常生活が立ち行かない女の子です。掃除も着替えもできない彼女の面倒を、苦労性の主人公・空太が見てあげることになるのですが、男子高校生が同い年の女の子の面倒を見るとなると、当然いろいろと葛藤(かっとう)もあるわけです。また「さくら荘」には、ましろのほかにもさまざまな才能を持った天才たちが住んでいます。そんな彼らの中で、“普通”である空太が、恋や夢に悩みながら成長していく姿もまた、この作品の魅力だと思っています。もちろん、空太を取り巻く天才たちにも、たくさんの悩みがあります。うまくいくことばかりではないけれど、だからこそかけがえがない、そんな高校生たちの青春を描いたお話です。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 新しい作品を鴨志田さんに書いていただくにあたり、「明るい学園物を作ろう」と2人で話したのが始まりです。そこから「不思議な能力や大きな事件がなくても、ドラマチックな物語は日常の中にある」という鴨志田さんの思いがあって、物語ができました。プロットをいただいた際、冒頭に「凡人と天才と変態によるドタバタ青春群像劇」と書いてあって、これはすごく面白そうだ!と思ったことを覚えています。鴨志田さんとは、空太やましろたちと一緒に高校生活を送りたいと思ってもらえるような作品になれば……とよくお話をしています。

 −−作者とイラストレーターはどんな方でしょうか?

 鴨志田さんは“創作する”ということに、とても真摯(しんし)に取り組むストイックな方ですね。小説を書くことが本当にお好きなんだなと、一緒にお仕事をしていてひしひしと伝わってきます。そんなストイックな部分が、本編に登場する龍之介というキャラクターに似ているかも、と私はひそかに思っています(龍之介はさくら荘の変人たちの筆頭に立つほど変わったキャラなので、大きな声では言えないのですが=笑い)。溝口さんは、大変透明感のあるイラストを描かれる方だなと思っています。挿絵のお願いをさせていただいた一番の理由も、「透明感」にありました。ましろを可愛く描いてくださるのは溝口さんしかいないだろうと。キャラクターデザインを上げていただいた際は、鴨志田さんと一緒に「これぞましろだ!」と大喜びしました。毎巻ましろをいかに可愛く描くかに心血を注いでくださる、こだわりのあるイラストレーターさんですね。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 最新刊の3巻が現在発売中です。ましろのイギリス時代のルームメートであるリタがさくら荘に現れ、ましろをイギリスに連れ帰ると言い出します。そのため、空太はましろに対する自分の思いについて改めて考え直すことになります。また、鴨志田さんが現在4巻を執筆中なのですが、さくら荘のメンバーそれぞれの思いが複雑に交差して、ますます目が離せない展開になっていますので、ドキドキしながら続刊を待っていただければと思っています! あまりお待たせしないように、寒くなるころには皆さまの元にお届けできればと思います。

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