「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」などを生んだロシアの文豪トルストイの晩年を妻の視点で描く映画「終着駅 トルストイ最後の旅」(マイケル・ホフマン監督)が11日、公開された。トルストイを演じたクリストファー・プラマーさんと、その妻役のヘレン・ミレンさんが、今年のアカデミー賞で助演男優賞と主演女優賞にノミネートされた話題作だ。
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主人公はあくまでも妻ソフィヤ。2人の関係とトルストイの秘書ワレンチン(ジェームズ・マカヴォイさん)と女教師マーシャ(ケリー・コンドンさん)という若いカップルの恋を対照的に見せることで、ソフィヤとトルストイの固く結ばれた愛が浮き彫りになっていく。
ソフィヤは「世界三大悪妻」と悪名高かったようだが、興味深いのは夫婦間における権利に対する考え方の違いだ。ミレンさんいわく、ソフィアはあの大作「戦争と平和」を6回も書き写したという。そんな大変な作業を、恐らく他の作品でもしていただろうから、彼女が夫の著作物の権利を自分のものだと主張するのは当然だと思うのだが、現代と当時の考え方は違った。ちなみに、世界三大悪妻とは、ソフィヤと音楽家モーツァルトの妻コンスタンツェ、哲学者ソクラテスの妻クサンチッペだそうだ。
原題の「THE LAST STATION」は、トルストイが息を引きとった場所も意味している。アスターポヴォ駅。取り巻きが止めるのも聞かず、夫に会うために特別列車でロシアを横断するソフィヤ。彼女が最後にトルストイに語りかける姿は涙を誘う。ミレンさんの演技は圧巻だ。
トルストイはマスコミに注目されており、トルストイの番記者までいたらしい。映像から当時の様子がかいま見られるのも興味深い。11日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)、Bunkamuraル・シネマ(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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