公開中の映画「KING GAME キングゲーム」(江川達也監督)で王様ゲームに参加する文学少女「チェーホフ」を演じた芦名星さん。ロシア文学好きというインテリな面と最後には真っ赤なボンデージファッションまで披露する振り幅の大きな役に挑戦した芦名さんに、撮影中のエピソードや見どころなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)
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「KING GAME」は「東京大学物語」などで知られるマンガ家の江川さんが原案・監督を務めた。ある日突然、何者かによって同じ場所に集められた年齢も性別も異なる10人が、密室で「王様ゲーム」をするように命じられる。お互いに面識のない10人は、ある秘密の契約に基づいてここに集められていた。その場では本名も目的も明かすことは許されておらず、彼らはひたすら続く「王様ゲーム」で勝ち続けるようにいわれる。回を重ねるごとに、“王様”の要求は次第にエスカレートし、10人は追い詰められた極限状態で、色欲と暴力に支配されていく……というストーリー。
最初に台本をもらったとき、芦名さんは「不思議な話だなと思った」と振り返る。「私自身は王様ゲームをやったことがなくて。合コンの席とかで男の子が(王様ゲームを)やって盛り上がっているというイメージがありますね」と、なじみは薄かったようだ。シーンのほとんどは密室劇で「台本にはリアクションのことまで細かく書いてないので、私自身はあまりリアクションするタイプの役ではなかったのでよかったんですけど、他の皆さんがどういうことを言うか、どうリアクションするか、すごく集中して演技していたような気がします」と振り返る。
マンガ家でもある江川監督の演出は「ここは『ビシャ』っと通してくれ、『ババッ』とこっちに来てくれ、みたいな表現が多くて、とても特徴的だなと思いました。やっぱり自分の撮りたい絵が1枚1枚決まっているという印象で、監督が撮りたい絵の中で自分がどういうふうに感情を作っていくかが、私にとってこの作品の課題でした」という。
芦名さんが演じた「チェーホフ」はロシア文学に傾倒している文学少女。自身は「ロシア文学について全然知らなかったので、チェーホフの小説を読んでみました。役の彼女が一番好きだという作品でしたが、やっぱり難しかった」と笑う。
主演の石田卓也さんのほか、木村佳乃さん、窪塚俊介さん、前田愛さん、堀部圭亮さん、川村ゆきえさんらが出演。映画は緊迫感のある密室ミステリーだが、カメラが回っていないときは「けっこう仲良く話をしてました。どこのパン屋さんがおいしいとか、そんな日常の話をしました」という。とくに、足に鈴を着けている無口な少年「スズ」を演じた石田さんとは、09年に映画や舞台にもなった「鴨川ホルモー」で共演するなど、気心が知れた仲だ。「やっぱり卓也くんと一番話をしたかな。以前にも何度か共演したことがあったので。プライベートの話とか、次のシーンの演技の話だったり」と、待ち時間は和気あいあいとした雰囲気だったが、いったんカメラが回り始めると「皆さん、とても熱くて刺激的でした」と切り替えがうまくいったようだ。
抑えた演技が続いたが、次第に場面は過激にヒートアップし、最後の方で芦名さんはところどころが破けた真っ赤なボンデージ姿で登場する。ボンデージは「なかなかしない格好ですし、私自身は楽しめましたね。着やすくはないですけど、衣装は専門家の方が私の体形に合わせて作ってくださったので、着て演技するのは大変ではなかったんです。それより、他の方のほうが、ムチを使う練習が大変だったんじゃないでしょうか」と楽しみながら演技できた。
映画の見どころは、「最後まで謎があるというところ。何なの? どういうことなの? と見ている方は思いながら最後まで引っ張られると思います。そして最後の謎が明かされたときの、『そんなデッカイところまで行っちゃったの?』というのを楽しんでください」とメッセージを送った。新宿K's cinema(東京都新宿区)ほか全国で順次公開中。
<プロフィル>
1983年11月22日、福島県出身。高校入学と同時に上京し、在学中にスカウトされ、芸能界デビュー。05年に「仮面ライダー響鬼」に出演し、その名が世間に知られるようになる。08年1月公開の日本・カナダ・イタリアの合作映画「シルク」で世界デビュー。07年にドラマ「スワンの馬鹿! こづかい3万円の恋」のヒロインに抜てきされ、その後も「ブラッディ・マンデイ」(08年)や「猿ロック」(09年)、映画「鴨川ホルモー」(09年)、「カムイ外伝」(09年)、「かずら」(10年)などに出演。趣味は筋トレ、音楽鑑賞、英会話、アウトドア。特技は書道、料理、クラリネット演奏など。初めてハマったポップカルチャーは、ゲーム「バイオハザード」と「メタルギア ソリッド」。
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