芦名星:女優は天職「演技は私が今、唯一没頭できること」 映画「七瀬ふたたび」で主演

「自分が好きなお芝居にずっと携わっていたい」と話す芦名星さん
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「自分が好きなお芝居にずっと携わっていたい」と話す芦名星さん

 作家・筒井康隆さんが35年前に出版したSF小説の金字塔「七瀬ふたたび」が小中和哉監督の手で初の実写映画化され、2日に公開される。主人公の火田七瀬を芦名星さんが演じた。七瀬は人の心を読む能力(テレパス)を持つミステリアスな役柄で、これまで何人もの女優が演じてきたが、筒井さんが「強いまなざしと凛(りん)とした態度は、七瀬のキャラクターそのものだ」と絶賛するほど芦名さんは原作のイメージ通りだったという。超能力があったら「瞬間移動したい」という芦名さんに演じる上で気を付けたことや女優という仕事について聞いた。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

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 芦名さんは、8月に公開された「KING GAME」(江川達也監督)など、そのクールビューティーな外見に合ったミステリアスな役柄が続いている。そのことについて本人に聞くと、「たまたま続いただけで、全部が全部ミステリアスな役ではないので、自分と結びつけて考えたことはないんですけど、この役について言えば、異空間の話なので、原作を読んだり、監督とじっくり話すことに多くの時間を費やして、役を念入りに作り上げていきました」と話した。

 撮影に入る前に原作の「七瀬ふたたび」とその前作「家族八景」(七瀬3部作の1作目)を読んで、「身近な話ではないけれども、こういう人は現実にいるかもしれない」と感じたという。「実際に海外では超能力で事件を捜査するという人もいるようだし、そういう力を持っている人はいるんだろうなとは思いました」という。もし、自分が超能力者だったとしたら、どんな能力がほしいかと聞くと、「瞬間移動ですね(笑い)。今、どうしても家に帰らなきゃいけない、とか。今すぐお風呂に入りたい、とか」と仕事で忙しいときは特に欲しい能力だそうだ。逆に七瀬のように人の心が読める能力は、「ちょっといらないですね(笑い)。どうやって前に進んで行こうかとか、生きていくことに悩むだろうなと思うし、今の自分だったら、こんな能力があったらつぶされてしまうだろうなと思います」と自己分析する。

 このところ主要な役を演じた映画の公開が続き、女優としてノリにノッている印象がある。芦名さんにとって女優の仕事とは? 「一瞬、一瞬、全部自分の体から出ていくものでお芝居をしていると思うんですね。だから日々を意味あるものにしようと考えていて、それが私の毎日の目標であり、常に意識していることです」といい、「女優の仕事が好きで、ずっとお芝居に携わっていられるように、今の自分がどうしようとか、どうやって視野を広げていこうとか、もっと吸収できるものはないかとか考えながら生活しています」と女優を“天職”だと感じている。「演じることが大好き。演技は私が今、唯一没頭できることで、これだけ心が動くものはなかなかなかった。これがあってこその自分だと思っています」と真っすぐな視線で力強く語った。

 目標とする女優像は? 「私ってけっこう、何か決めるとすごくストイックになるので、それは自分でも周囲の人も認めているところなんですけど、だからこそ具体的にこうなりたいとか決めるとすごく視野が狭くなってしまうんですね。だから具体的に決めないようにしています」というが、「10年先も20年先もお芝居をしていられたらいいなと本当に思っています」と女優を一生続けたいという気持ちにストイックだ。その姿勢が国内や海外からもオファーがとぎれることがない、という状態につながっているのだろう。

 次回は、筋トレなど「体を使うことが好き」という芦名さんのオフの過ごし方や生き方について聞く。

 <プロフィル>

 1983年11月22日、福島県出身。高校入学と同時に上京し、在学中にスカウトされ、芸能界デビュー。05年に「仮面ライダー響鬼」に出演し、その名が世間に知られるようになる。08年1月公開の日本・カナダ・イタリアなどの合作映画「シルク」で世界デビュー。07年にドラマ「スワンの馬鹿! こづかい3万円の恋」のヒロインに抜てきされ、その後も「ブラッディ・マンデイ」(08年)や「猿ロック」(09年)、映画「鴨川ホルモー」(09年)、「カムイ外伝」(09年)、「かずら」(10年)などに出演。6月にカンニング竹山さん主演の「ねこタクシー」(亀井亨監督)、8月にボンデージ姿を披露した映画「KING GAME」(江川達也監督)が公開された。趣味は筋トレ、音楽鑑賞、英会話、アウトドア。特技は書道、料理、クラリネット演奏など。主演映画「七瀬ふたたび」(小中和哉監督)は10月2日から、シネ・リーブル池袋(東京都豊島区)、シアターN渋谷(東京都渋谷区)ほか全国で公開予定。

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