このミステリーがすごい!:貴志祐介さんの「悪の教典」が初の1位

「このミステリーがすごい!2011年版」で第1位に選ばれた貴志祐介さんの「悪の教典」上下巻
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「このミステリーがすごい!2011年版」で第1位に選ばれた貴志祐介さんの「悪の教典」上下巻

 宝島社がその年に人気のあったミステリーを発表するガイド本「このミステリーがすごい!2011年版」が10日発売され、貴志祐介さんの「悪の教典」上下巻(文藝春秋)が、投票者数、獲得点数ともに他を引き離して第1位に選ばれた。第2位は島田荘司さんの「写楽 閉じた国の幻」(新潮社)、第3位は梓崎優(しざき・ゆう)さんの「叫びと祈り」(東京創元社)だった。貴志さんは98年版の同ランキングに「黒い家」で初登場2位に選ばれ、以来、99年5位、05年6位、09年5位と上位の常連だが、1位を獲得するのは今回が初めて。

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 「このミステリーがすごい!」は、その年に発刊されたミステリーを国内編と海外編に分けてランキング形式で決定、発表するガイド本で、88年から毎年発行されている。「2011年版」は、09年11月1日~10年10月31日に発刊されたミステリーとエンターテインメント小説が対象で、書評家や書店員、愛好家や大学サークルなどの“ミステリー通”74人へのアンケート結果を得点化、順位付けして発表した。海外編の第1位はキャロル・オコンネルさんの「愛(いと)おしい骨」(東京創元社)だった。

 「悪の教典」は、東京都町田市にある私立高校の英語教師・蓮実聖司が主人公。蓮実は生徒からの人気も高い模範教師だが、実は他者への共感能力が欠如した反社会性人格障害(サイコパス)。高い知能の持ち主である蓮実は、これまでも自分の障害になるものを排除してきたが、そんな異常な性格の一端を感じ取る生徒に気づいた蓮実は、学園祭の準備で居残るクラスの生徒たちの抹殺を計画する……という物語。同作は角川書店が新設した第1回山田風太郎賞にも選ばれている。

 同書はA5判全311ページ。国内作品のランキングのほか海外編ランキング、貴志さんのインタビューが収録されており、2000年版で第2位に選ばれた東野圭吾さんの小説を映画化した「白夜行」に主演する女優の堀北真希さんと俳優の高良健吾さんへのスペシャル・インタビューや、人気作家56人による新刊情報と特別エッセー「私の隠し玉&読書遍歴」、昨年「このミステリーがすごい!」大賞と優秀賞を受賞した伽古屋圭市さん、中山七里さん、太朗想史郎さんによる短編ミステリーも掲載。500円で発売中。(毎日新聞デジタル)

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