山田和樹:小澤征爾の代役も務めた気鋭の指揮者の素顔は“気さくな青年” ノンフィクションW

「ノンフィクションW」で密着ドキュメンタリーを放送する山田和樹さん
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「ノンフィクションW」で密着ドキュメンタリーを放送する山田和樹さん

 09年9月に若手指揮者の登竜門といわれるフランスの「ブザンソン国際指揮者コンクール」で30歳の若さにして優勝し、聴衆賞も獲得、世界から注目を集める若手指揮者の山田和樹さんの目覚ましい活躍ぶりを追ったドキュメンタリー番組「ノンフィクションW 走りはじめた指揮者~山田和樹」がWOWOWで27日午後10時から放送される。

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 山田さんは優勝後、10年8月に行われたサイトウ・キネン・フェスティバルでは病気療養中だった小澤征爾さんの代わりに、小澤さんの指名を受けてオープニング公演を飾ってかっさいを浴びた。また9月には、フランスのルーアン歌劇場管弦楽団とともに演奏ツアーを行い、日本のNHK交響楽団の副指揮者に、さらにスイスの名門オーケストラ「スイスロマンド管弦楽団」首席客演指揮者に抜てきされる。世界が認め、世界を飛びまわり活躍する山田さんに番組は密着している。

 東京芸大時代の仲間とともに設立したオーケストラ「横浜シンフォニエッタ」のコンサートが行われる会場でインタビューを行った。寝ぐせのついた髪で登場した山田さんは、テレビカメラに追いかけられる気分を「僕がダッシュしたらダッシュするのかなとか(笑い)、そういう状況を僕自身が楽しんでいると思います。普通にいないところにカメラがいるわけですから、それに対して何も思わないわけではないけれど、それは面白いんじゃないですか。そんなに嫌じゃないですよ」と気さくに笑う。優勝後は「会見があったり、取材があったり、これからもいままで割かなかったことに時間を割くことになるのかな。まだ変化の途中ですけど」と注目を集める存在に。

 その効果はサイトウ・キネンの代役の指名にも表れていた。「ずっとうそだろうと思ってました(笑い)。なんか悪い冗談だろうなと。依頼を受けた時には(小澤さんに)会ったことがなかったんですよ。僕のビデオを見たらしいという、話を人づてに聞いただけなんですよ。本当に見たのかも分からない(笑い)。5月13日に初めて小澤先生にお会いすることができて、そのときもサイトウ・キネンの話をほとんどしなかったんです。なんか話の主体は別の内容で、帰りがけに『そういえばサイトウキネンもよろしくね』みたいな感じで(笑い)」と知らないところで話がとんとん拍子に進んでいた。

 8月に演奏会を終えて、「そういう意味ではリラックスして行けました。(演奏会を終えてみて)非常にさわやかというか、すっきりしました。常に存在しているオーケストラではなくてそのときに編成される特別なオーケストラなのでなのか、日ごろ感じるオーケストラにかんするストレスが全くなかった。自分がやりたいようにできたし、自分が言ったリクエストには必ず応えてくださったし。そういう意味では非常にやりやすかったですね。そしてその経験値がその後にも生かされています」と貴重な体験になった。

 「スイスロマンド管弦楽団」の首席客演指揮者に抜てきされた経緯も「6月10日に演奏会があって、1週間もしないうちに僕はベルリンの家に帰って、すごく演奏会はうまく行ったので家人に『将来、ベルリンフィル、ウィーンフィルに行く前にスイスロマンドの音楽監督なんかになれたら夢のようだね』って話した1時間後に電話があった。やっぱり思ったことは言うものだなと思って(笑い)。言霊かなって。電話で、ジョブ、職業みたいなことを言ってる。飛び上がりましたよ。でも一番いい条件の客演指揮者というポストを、しかも新しく作っていただいて、ものすごく光栄です」と驚きのエピソードが飛び出した。

 山田さんは「古い」「難しい」と思われがちなクラシックへの固定観念を、明るく情熱的に覆した。その音の魅力を引き出す過程、“本当の音”が生まれる瞬間を通して“若き才能”の真髄に迫る。27日午後10時に放送。リピート放送は11年1月8日午前10時を予定。(毎日新聞デジタル)

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