注目映画紹介:「アンストッパブル」 暴走列車を食い止めようとする2人の鉄道マンの奮闘物語

「アンストッパブル」の一場面(c)2010 TWENTIETH CENTURY FOX
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「アンストッパブル」の一場面(c)2010 TWENTIETH CENTURY FOX

 デンゼル・ワシントンさんとトニー・スコット監督が、「クリムゾン・タイド」(95年)以来、5度目のタッグを組んだ「アンストッパブル」が7日、全国で公開された。共演は、J・J・エイブラムス監督の「スター・トレック」(09年)で、若きジェームズ・T・カークに抜てきされたクリス・パインさん。米ペンシルベニア州を舞台に、暴走した巨大貨物列車による大惨事を食い止めようと奮闘する、ベテラン機関士と新米車掌の物語だ。

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 4カ月前に車掌になったばかりのウィル・コルソン(パインさん)は、その日、勤続28年のベテラン機関士フランク・バーンズ(ワシントンさん)と組むことになる。2人の業務は、スタントンという町に停車中の貨物車両を別の町に運ぶこと。一方、同じ州内の別の操車場では、運転士の人為的ミスによって危険性の高い化学物質を積んだ貨物列車が暴走を始めていた……というハラハラドキドキのストーリーが展開する。

 暴走列車がスピードをあげるがごとく、物語は加速度的に展開し、列車のブレーキが悲鳴のようなきしみ音を上げるがごとく、こちらの心臓も悲鳴を上げる。緊迫感を高めるためのエピソードが実に巧妙に仕組まれており、見る者をひとときも飽きさせない。最初こそ、スコット監督特有のカメラワークと細切れ編集に若干不安を覚えたが、それがむしろ暴走列車とその事故を報道するメディアの映像と重なり、ハラハラ感の増幅に一役買っている。

 堅物フランクを演じるワシントンさんは、56歳という年齢の割に機敏な動きを見せ、30歳のパインさんとともに、手に汗握るアクションを披露している。一方、2人を列車指令室からサポートする操車場長コニー・フーバーは状況を冷静に判断し、最悪の事態を切り抜けるためなら人為的脱線もいとわない英断を下す。そんなカッコいい女性を、ロザリオ・ドーソンさんが好演。今作のプロットは01年5月に米オハイオ州で起きた、47両編成の貨物列車の暴走事件が基になっているだけに、臨場感はさながらだ。7日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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