ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。7月から配信され、これまでに20万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第8回は、太宰治の「走れメロス」だ。
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みなさんこんにちは、乙葉しおりです。
今日は放課後に少し遠出をして、初不動大祭の縁日とだるま市を見てきました。
色とりどりのだるまさんがたくさん並んでいて、店のおじさんたちが元気な声でお客さんたちと話しているのを聞いていると、元気のおすそ分けをしてもらっているような気分になります(*^^*)
私もあのくらい元気な声が出せたらなあと思って、お祈りしてきました。
有縁(うえん)の日と言って、不動大祭の日にお参りすると、いつも以上にご加護があるんだそうです。
最後にだるまさんのキーホルダーを買って帰ってきたのですが、ここでまた失敗が……。
両目が描かれていないのがかわいそうで目を入れてあげたのですが、「願い事がかなう前から目を入れちゃダメ」と、家のおばあちゃんに注意されちゃいました(>_<)
ではここで朗読倶楽部結成のお話、いよいよ最終回です。
部の設立に必要な条件……活動場所、3人の部員、顧問の先生と、すべてがそろったところで、部長を誰が受け持つのか、という話になりました。
私はてっきりお友達が部長に就任すると思っていたのですが、中等部の生徒さんが立候補し、今まで同様の押しの強さに私たちは何も言えず、そのまま部長さんになってしまいました。
こうして、文芸部あらため、朗読倶楽部は結成されたのです。
「朗読部」ではなく「朗読倶楽部」と名づけられたのは、顧問の先生からのお話がきっかけでした。
「部活動」という名前は、学校に対して公益的に行う活動で、そのための予算も出ます。
けれど、この「朗読部」は、まだ学校に活動を認められる猶予期間を与えられただけの、同好の士の集まり。
それが、部活動とクラブ活動の違いで、この難問を克服して、はじめて朗読部を名乗れるのだと。
実は今も名前が「朗読倶楽部」のままなのですが、学校からはちゃんと部活動として認められていますよ(*^^*)
「同好の士の集まり」という響きが捨てがたくて、結局みんな名前を変えずにこのまま行こうということになったのです。
今までお話しした通り、決して強い意志のようなものから生まれた部ではなく、最初は先生が言われていたように成り行きのような感じでした。
倶楽部ができたからそこで安心できるわけではなく、学校側に活動実績を示さないといけないことや、朗読というものに対するみんなの認識の違いなど、今に至るまでにはいろいろと紆余(うよ)曲折がありました。
朗読倶楽部の活動についてはまた、機会がありましたらお話しさせていただきますが、今、言える確かなこと。
それは、今までの活動を振り返って、集まったみんなが、朗読倶楽部に入って本当によかったと、心から思っていることです。
次回からは、ここまでお話しした朗読倶楽部のメンバーをご紹介したいと思っていますので、引き続きよろしくお願いしますね(*^^*)
■しおりの本の小道 太宰治「走れメロス」
こんにちは、8回目にご紹介する1冊は、太宰治さんの「走れメロス」です。
「メロスは激怒した」という、衝撃的な一文で始まるこのお話は、1940年に発表されました。
牧人の青年メロスは、疑心暗鬼から次々と民衆を処刑する暴君ディオニスの話を聞き、持ち前の正義感から、この王様を倒そうとして失敗、捕らわれの身になったうえ、処刑を宣告されてしまいます。
しかし、彼には妹の結婚式を見届けるという心残りがありました。
メロスは、親友のセリヌンティウスを人質に、「3日以内に妹の結婚式に出て帰る」と、王と約束します。
「3日目には日没までに帰って来い。遅れたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっと遅れて来るがいい。お前の罪は、永遠に許してやろうぞ」
ディオニス王の言葉に怒りを感じながらも、期限までに戻り、自らの命を差し出すために、メロスは走り出します……。
このお話の最後には(古伝説と、シルレルの詩から)という注釈が書かれているのですが、これは古代ローマの作家ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスの作品を元に、ドイツの作家フリードリヒ・フォン・シラーが1798年に発表した「人質」という詩篇を本作品が参考にしたことを意味しています。
それぞれの作品の共通点と相違点、機会がありましたらぜひ読み比べてみてくださいね。
ちなみに、「シルレル」は舞台ドイツ語という発音の一種で、「シラー」と同じ意味なんです。
これは余談ですが、シラーさんのお友達で、あの有名な詩人のゲーテさんも、日本語では発音の解釈が難しくて「ギョエテ」など、さまざまな読み方があったそうですよ。
最後にあの……学校の授業で、このお話を朗読した人も多いと思いますが、「竹馬の友(ちくばのとも)」を「たけうまのとも」と読んでしまった人、いませんでしたか?
わ、私のことじゃないですよ? たぶん……。
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