久びさにストーリーではなく、エピソード中心の邦画を見た。登場人物は23人と1頭のゾウの群像劇「世界のどこにでもある、場所」(大森一樹監督)が2月26日に公開された。昨年、スーパー・エキセントリック・シアター(SET)が舞台でスピンオフ版を上演。映画にも「SET」が出演している。遊園地兼動物園を舞台に現代社会を反映した人間模様が繰り広げられる。
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投資アナリストの田口(熊倉功さん)は詐欺の容疑で指名手配中。逃亡中に、さびれた遊園地兼動物園にいつのまにか迷い込んでしまう。園内にはゾウに話しかける男や迷彩服の男たちなど、不思議な人物ばかりがいた。休園日を利用して神経科クリニックの患者たちが、デイケアにやって来ていたのだ。仲間のふりをしてまぎれ込んだ田口。そこへインドネシアからテレビクルーがやって来て……というストーリー。
リストラされた男性、わが子が可愛いと思えない母親、ノイローゼの高校教師……現代日本が抱える社会問題のお手本のような人たちや風変わりなキャラクターがウロチョロする。といっても「風変わり」って何なのだろう? 人間誰しも、どこかしら風変わりなのではないだろうか? これは原寸大「箱庭」で繰り広げられる「治療」なのかもしれない。見ていくうちに、誰もが「治療」され、この作品の世界に自然に引き込まれていく。治療する者とされる者。動物と人間。詐欺師とだまされる者。相反する要素が絡み合って、映画の中の世界は正常と異常の境界線を軽々と越えていき混とんとした状態になっていく。
メガホンをとったのは医師免許を持っており、医療をテーマにした作品が多い大森監督。なじみの俳優があまり出ていないからこそ、話にのめり込めるという狙い通りの仕上がりになっている。実に映画らしい映画だ。シネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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