「フリーター、家を買う。」などで知られる作家・有川浩さんのベストセラー短編小説集を実写化した映画「阪急電車 片道15分の奇跡」(三宅喜重監督)のプレミア試写会が30日、兵庫県宝塚市の宝塚大劇場で舞台あいさつとともに行われ、主演の中谷美紀さんら女優陣が登場。中谷さんは「ご存じのとおり、今、日本では苦しい思いをしていらっしゃる方がたくさんおります」と東日本大震災の被災地に思いを寄せつつ、「この作品は阪急電車を舞台にした、人と人とのふれあいと優しさを皆様にお伝えできる映画だと思っています」とあいさつし、「今この時期だからこそ、皆様に本当に喜んでいただける作品ではないかと思っております」と締めくくった。
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試写会前に行われた完成披露会見では、赤じゅうたんが敷き詰められた劇場ロビーの大階段から、中谷さんのほか、宮本信子さん、南果歩さん、谷村美月さんがきらびやかなドレスでさっそうと現れ、会場に花を添えた。そして舞台あいさつでは、阪急電鉄西宮北口駅の統括駅長・山田憲太郎さんの呼び込みとともに女優陣が特製の「阪急電車」に乗って登場。地元・関西人が慣れ親しんだ電車の登場で、会場は大いに盛り上がったという。そして阪神大震災を経験した宝塚でのイベントということもあり、登壇者からは被災地復興への祈りを込めたエールが口々に寄せられた。
映画は、阪急電鉄の宝塚駅から今津駅までを15分で結ぶローカル線・阪急今津線が舞台。宮本さん演じる「曲がったことが大嫌いな老婦人」、南さん演じる「セレブ気取りの奥様グループと嫌々付き合う主婦」、谷村さん演じる「地方出身の人見知り女子大生」など、さまざまな乗客たちの人生を温かな切り口で描く群像劇となっている。このほか宮本さんと孫娘役で共演する芦田愛菜ちゃん、「彼氏のDVに悩む女子大生」役で戸田恵梨香さんなどが出演。中谷さんは、婚約中の恋人を後輩社員に奪われ、結婚式にウエディングドレス姿で乗り込む女性・翔子を演じる。
昨年11月に始まった撮影は、原作ファンを含む3000人のエキストラが参加し、阪急電鉄の全面協力のもと実車両を用いて行われた。そして公開に先駆け、震災復興チャリティーとして開催された第3回沖縄国際映画祭に出品。審査員特別賞「ゴールデン・シーサー賞」と「海人賞Peace部門グランプリ」の2冠に輝いた。映画は4月23日に関西で先行公開され、同29日から全国公開となる。(毎日新聞デジタル)
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