注目映画紹介:「ブラック・スワン」 ナタリー・ポートマンがオスカーを受賞した官能スリラー

「ブラック・スワン」の一場面(C)2010 Twentieth Century Fox
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「ブラック・スワン」の一場面(C)2010 Twentieth Century Fox

 バレエ「白鳥の湖」をモチーフにした、今年の米アカデミー賞でナタリー・ポートマンさんが主演女優賞に輝いた作品「ブラック・スワン」(ダーレン・アロノフスキー監督)が11日に公開された。

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 映画は、ポートマンさんふんするバレリーナのニナが、「白鳥の湖」のプリマに抜てきされるが、純真な白鳥を踊る一方で、優等生の彼女に悪の化身の黒鳥を踊ることは難しく、やがて役に没頭するあまり精神のバランスを崩していく……というストーリー。

 徐々に黒鳥に塗り替えられていくポートマンさんが美しい。少女時代にバレエを学んだという彼女は、撮影前に10カ月間、連日5時間に及ぶハードトレーニングをしたという。主人公はあやしい輝き、邪悪なにおいを放ちながら、エゴを少しずつむき出しにしていく。中でも、羽が生え、バサバサとそれをはためかせながら踊るシーンは圧巻だ。

 09年に話題を集めたミッキー・ロークさん主演の「レスラー」を手がけたアロノフスキー監督は、バレリーナもレスラーも肉体を使うアーティストであると考え、今作を「レスラー」の姉妹編と位置付けている。「レスラー」が大衆寄りのヒューマン作だとしたら、今作は、監督の初期の作品「レクイエム・フォー・ドリーム」(00年)に見られる猥雑(わいざつ)で淫靡(いんび)で狂気を秘めた“ダーレンカラー”と娯楽性が融合した官能スリラーだ。観客は、美しいヒロインによる“白鳥の舞い”を見られると思って劇場へ出かけていくと、とんだやけどを負う。精神を崩壊させていくヒロインを通じて描き出される人間の内面に潜むねたみや憎しみが脈打っている。

 余談ながら、ポートマンさんは、今年のアカデミー賞授賞式に妊婦姿で出席。今夏出産予定の子どもの父親は、今作の振付師ベンジャミン・ミルピエさんだ。11日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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