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SP 革命篇:四係のメンバーに聞く 「ラストはあいまいな終わり方じゃない」

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「SP」の完結編について語った(左から)神尾佑さん、平田敦子さん、松尾諭さん

 昨年10月に第1部「野望篇」が公開され、興行収入36億円という好成績を残した「SP」。その劇場版第2部で、すべての事件に終止符を打つ「革命篇」が全国で公開中だ。前作同様、金城一紀さんが原案・脚本を担当し、波多野貴文監督がメガホンをとっている。

 出演している警備部警護課四係のメンバー、山本隆文巡査部長役の松尾諭さん、石田光男警部補役の神尾佑さん、そして、堤真一さん演じる尾形総一郎係長にほのかな思いを寄せ、岡田准一さん演じる井上薫巡査部長にはなぜかつらくあたる庶務係・原川幸子役の平田敦子さんに、見どころなどを聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 「SP 革命篇」は、力によってシステムを変えようとするテロリストたちがついに、麻田内閣(山本圭さん)の不信任案採決が行われる国会議事堂占拠という暴挙に出る。テロリストと行動を共にする尾形の真意は? 井上をはじめとする警備部警護課第四係のメンバーは、最悪の事態を食い止めることができるのか……というストーリー。

 −−改めて完成した作品を見たときに印象深かったシーンを教えてください。

 神尾さん たくさんあり過ぎて一つだけは選べませんが、尾形(堤さん)の過去の思い出と香川(照之)さん演じる伊達幹事長の顔がシンクロする場面。あそこですべてが引っくり返る。あのとき見せる堤さんのがく然とした表情は印象に残っていますね。それから、(井上役の)岡田くんの地下道でのアクション。あれは本当に(前作の)「野望篇」のときとは比べものにならないくらいのアクションです。

 松尾さん 僕はしいて挙げるなら、堤さんと岡田くんの最後のアクション。あれは「野望篇」と「革命篇」を象徴しているシーンです。僕自身、四係の一員を演じるにあたって、尾形さんが“あちら側”に行ってしまうというつらさもあったし、松尾個人としても、堤さんが僕らと一緒に撮影をしていないという寂しさもあったし。一人の「SP」ファンとしても、あそこは肝になる場面です。もう一つは、(首相役の)山本さんのお芝居。大ベテランのお芝居を神聖な気持ちで拝見していました。役者としてとても刺激になりました。

 −−平田さんは、尾形に好意を寄せている事務員役でした。終盤に見せる後ろ姿が切なかったです。変わっていく尾形をどんな気持ちで見ていたのでしょう。

 平田さん 実は演じる上ではよく分かっていなかったんです。というのは、皆さんは、「野望篇」「革命篇」と順番に撮影していらっしゃったけど、私は10年の年明けすぐに4日間くらいでまとめて撮っちゃったんです。ですから正直なところあの後ろ姿の寂しさは、尾形に対してというより、ああ今日で撮影終わっちゃうなあというなごり惜しさのせいです。

 −−では印象に残っているシーンは?

 平田さん 大きい声で言いたくないし、すごく悔しいんですけど、(松尾さんのほうを向いて)この人が笹本(真木よう子さん)と、会議場に突入する直前にトランシーバーでやりとりする場面で泣いちゃいました。うわ、松尾で泣いちゃったよと(一同爆笑)。そこから涙が止まらなくなりました。

 松尾さん それ初耳! でもうれしい!!

 −−その突入シーンは感動的でした。

 松尾さん ハイスピードカメラで撮ったんですけど、一連の流れで演じていても再生するとすごくゆっくりなんで、動きが細かく分かっちゃう。たとえば、銃口の向きが変だとか。ですから、見れば一瞬の場面でも、撮影にはすごく時間がかかりました。あの会議場のシーンだけで4日間くらいかかっています。セットも出来がよかったし。あれは、ちょっと(これまでに)ないぐらいすごいシーンになっていると思います。

 神尾さん BGMがまた映画史に残るような名曲だしね。

 −−ラストが意味深です。

 松尾さん ドラマのときからそうですけど、この作品は、見ている人の想像をかきたてる。最近の邦画は、観客を納得させるために全部きっちり説明しないと終わりじゃない、みたいなところがありますが、そういう今の日本映画の枠組みからは外して見てほしいです。

 神尾さん 勧善懲悪ではない。終わったあとに多少モヤモヤしたものがあって、ちょっと時間がたった後に、あれはこういうことだったのかと振り返ることができる。それに、今回の事件が終わっても、他の人の日常は続いていくわけだし。あの××(ある登場人物の名前)を俯瞰(ふかん)でとらえるラストカット。変なアップで終わらないところもいいですよね。

 松尾さん あのラストは、実はちゃんと意味があるんですよ。ここでは語れませんけど。

 神尾さん そうなの?

 松尾さん 一緒に(スタッフに)聞いたじゃないですか。こんな感じで終わっておこうか、というあいまいな終わり方じゃないんです。これは、この取材で初めて言いました。そこから先は踏み込めません。それを言ってしまうと「SP」じゃなくなっちゃうんで。

 平田さん そうなんだ。もう1回ちゃんと見なくっちゃ。

 −−それぞれ、メッセージをお願いします。

 平田さん すみません、私、口べたなものでうまく話せなくて……。メッセージは「とにかく見てください」ということだけです。

 松尾さん 日本映画において革命的な作品だと思います。与えられたものだけを信じるのではなく、想像力を持って考えながら見てほしいです。

 神尾さん 「SP」シリーズは、役者としてターニングポイントになった作品ですから僕にとっては宝物です。その僕たちがチャレンジしてきたものを、皆さんに体感してもらいたいですし、それがきっかけとなって、もっといい映画を作ってもらえたり、皆さんがそれぞれの仕事に誇りを持ってもらえるような、そんな作品になればいいですね。

 <松尾諭さんのプロフィル>

 1975年、兵庫県出身。05年、ドラマ「電車男」で個性的なキャラクターを演じ強い印象を残す。07年に放送されたテレビドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」の山本隆文役でその顔を広く知られるようになる。オムニバス映画「歌謡曲だよ、人生は」(07年)では特技のエアギターを披露。他の出演作にNHK大河ドラマ「天地人」(09年)、「てっぱん」(10年)など。映画は「ホノカアボーイ」「のんちゃんのり弁」(ともに09年)など。初めてハマった日本のポップカルチャーは、堺正章さんが孫悟空を演じたテレビドラマ「西遊記」。

 <神尾佑さんプロフィル>

 1970年、福島県出身。94年「北区つかこうへい劇団」第1期生となり舞台での経験を積む。松尾さん同様、07年のテレビドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」での石田光男役でその顔は“全国区”に。現在はNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国」に出演。一方、米ドラマ「ザ・ホワイトハウス」で吹き替えを担当するなど声優としても活躍。他の出演映画に「バルトの楽園」(06年)、「少林少女」(08年)、「ハイキック・ガール」(09年)など。殺陣やアクションが特技で空手は初段。初めてハマった日本のポップカルチャーは「機動戦士ガンダム」。

<平田敦子さんプロフィル>

 1963年、東京都出身。84年、青年座研究所を経てグローブ座カンパニーによる「夏の夜の夢」や「身毒丸」など舞台を中心に活動していたが、07年、「SP 警視庁警備部警護課第四係」での事務員・原川幸子役で存在感をアピール。初めてハマった日本のポップカルチャーは、長谷川町子さんのマンガ「ササエさん」。「母に『サザエさん』のマンガがほしいといったら、当時新聞に4コママンガが連載されていて、それを切って張って自分で単行本を作りなさいと大学ノートをくれました」とのエピソードを明かした。

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