はじめの1巻:「冷蔵庫探偵」 冷蔵庫の中身で事件を推理 優しさあふれる謎解きミステリー

遠藤彩見さんが原作を手がけ、佐藤いづみさんが描いたミステリーマンガ「冷蔵庫探偵」(徳間書店)1巻の表紙
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遠藤彩見さんが原作を手がけ、佐藤いづみさんが描いたミステリーマンガ「冷蔵庫探偵」(徳間書店)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「月刊コミックゼノン」(徳間書店)で連載中で、遠藤彩見さんが原作を手がけ、佐藤いづみさんが描いたミステリーマンガ「冷蔵庫探偵」です。

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 さまざまな場所に食事を届けるケータリングを仕事にするレイコは、過去のつらい経験から、他人の冷蔵庫をのぞき見するという趣味をもつ。ある日、ケータリング先で行われていたパーティーの最中に家主の妻が姿を消す。レイコは、若手刑事のリョウがいる前で、失踪の理由と妻の居場所を冷蔵庫の中身から推理する……。

 ◇コミックゼノン編集部 渡邊慎之介さん 「一目ぼれ−−それが冷蔵庫探偵との出会いでした」

 原作の遠藤彩見さんは「嬢王3」などのテレビドラマを手がける脚本家。マンガ原作は本作が初めてになります。そもそも「冷蔵庫探偵」も当初はテレビドラマ用に遠藤さんが作った企画でした。ですが、脚本事務所の担当者様にその企画書を拝見させていただいた際、「設定の面白さ」「タイトルのインパクト」に一瞬で一目ぼれ! すぐにマンガ化のお願いをしました。

 当時新しい試みに挑戦していこうと創刊準備をしていた新雑誌「コミックゼノン」の「傾(かぶ)く」というコンセプトにぴったりの新しいマンガ作品になりうると感じたからです。

 「生活になくてはならない冷蔵庫には、最も持ち主の人間性が表れる」というのが作品テーマ。しかし単なる冷蔵庫プロファイリングだけではなく、読んだ人の心が温かくなる、優しさにあふれた作品にしたい……。ですから、ミステリーでありながら「冷蔵庫探偵」では殺伐とした事件ではなく、日常のちょっとした出来事が題材になっています。マンガを手がける佐藤いづみさん(コミック版「チームバチスタの栄光」作画担当)の柔らかなタッチが、その「優しい温度」を作品に与えてくれています。

 謎解き・料理・そして人情……いろんな味を詰め込んだ第1巻、どうぞ一度“お召し上がりになって”みてください。

 ◇書店員の推薦文 青森・伊吉書院類家店の中村深雪さん「レイコさんとリョウのコンビ、レイコの心の傷に注目」

 毎日必ず開け閉めしている家庭の冷蔵庫に、こんなにもドラマが詰まっているなんて! 謎解きミステリーですが、事件は誰の身にも起こりうるような身近な人間関係などが題材になっているので重すぎずにさらっと読めました。レイコさんにプロファイリングされた人の心が温められていく様子が、読んでいるこちらの心も温めてくれます。レイコさんとリョウのコンビがこれからどんな事件を解決していくのか、また、レイコさん自身の抱えた心の傷も、事件を解決するうちにどんなふうに変化していくのか楽しみです。

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