沖縄が琉球王国だったころを舞台にしたBS時代劇「テンペスト」(NHKプレミアム)が17日から放送される。沖縄出身の作家・池上永一さんのベストセラー小説が原作で、男装と女装の両方を演じ分ける主人公を、同じく沖縄出身の仲間由紀恵さんが熱演する。このほど行われたマスコミ向けの試写会で、制作統括の岡本幸江さんは「絢爛(けんらん)豪華で波瀾(はらん)万丈な琉球王国を舞台とした原作をいただいた。これまでに見たことのないわくわくするようなエンターテインメント時代劇を作りたいと、持てるノウハウをすべて使って作りました。ぜひ多くの方に見ていただきたい」と熱を込めてドラマをPRした。
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ドラマは幕末、琉球王朝末期の王宮を舞台に、美ぼうと才能を併せ持つ女性が性別を偽って政府の役人になり、懸命に生きる姿を描く。恋心を封印し、男として生きる決意をするヒロインの真鶴/孫寧温(そん・ねいおん)を仲間さんが演じる。真鶴が恋心を抱いてしまう薩摩藩の武士・浅倉雅博を谷原章介さん、寧温のよき理解者でよきライバルとなる琉球王国の役人・喜舎場朝薫(きしゃば・ちょうくん)を塚本高史さん、失った地位を取り戻すために、寧温と浅倉、朝薫の仲を引き裂いていく宦官(かんがん)・徐丁垓(じょ・ていがい)をGACKTさんが演じる。
ドラマは4月11日に沖縄でクランクインし、首里城公園のほか、那覇市、読谷村、琉球村など、沖縄県内で3週間ほど行われた。岡本さんは「首里城ほか沖縄の撮影については、仲井真(弘多)知事をはじめ、全面的にご協力いただいた。このドラマの世界を再現するのに必要だった」と感謝した。沖縄ロケについては「自然にはかなわないと思いました。第1話前半の、幼い真鶴が朝倉(谷原さん)と初めて出会うシーンでは、すばらしく青い海が撮れました」と手応えを語った。その一方で、天候には苦労した部分も多かったといい、高岡早紀さんが演じる聞得大君(きこえおおきみ)が雨乞いの儀式をするシーンの後は「雨乞いが効き過ぎて(笑い)、丸2日雨が降り、撮影を中止しました」とエピソードを明かした。
仲間さんの起用について、岡本さんは「主人公は沖縄出身の方にぜひとも演じていただきたい。この年齢で男女両方という難しい役を演じられるのは彼女しかいない。ひたすらにひたむきな主人公が仲間さんの中に息づいている。本当に適役だった」と話した。ほかにもGACKTさんや上原多香子さん、主題歌の安室奈美恵さんと、沖縄出身者が多いのは岡本さんのこだわりからで、「沖縄の方が必ずしもウチナーグチ(沖縄方言)が話せるのではないですが、体の中に生きている土地の情報がある。きっと何かが違うはず」とその理由を語り、「GACKTさんは『沖縄出身だけれど、中国人の役が来ちゃったな』と笑いながらも、引き受けてくださった。土地への思いが熱い方が集まったことは、きっと画面にも出ると思う」と自信を見せた。
ドラマはBSプレミアムで17日スタートの全10回。毎週日曜午後6時45分からで、初回は73分のスペシャル版で放送される。第1話の見どころについて、岡本さんは「特に江戸における大奥という場所・御内原(ううちばら)はここでしか見られない世界です。そこでの女たちの戦いは面白いので、そこはぜひ見ていただきたい」と語った。(毎日新聞デジタル)
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