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ラノベ質問状:「魔法科高校の劣等生」 文庫版での“エクストラ”を

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「魔法科高校の劣等生」2巻

 話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、大ヒットウェブ小説を書籍化した「魔法科高校の劣等生」(佐島勤著、石田可奈画)です。アスキー・メディアワークス電撃文庫編集部の三木一馬さんに作品の魅力を聞きました。

 −−この作品の魅力は?

 大きくは二つあります。 一つは、緻密な「魔法」の設定。現代に本当に「魔法」が存在していたら……という「if」を、完璧ともいえるロジックでトコトンまで突き詰めた設定と、それに関連した世界観が魅力です。もし本当に魔法が存在していて、それが科学的な考証に基づき体系化されていたら、とてもドキドキしませんか? そんなお話が詰まった作品です。

 もう一つは、とても特徴的なキャラクターたちです。「魔法科高校」には主役として、ひと組の血のつながった兄妹がいます。魔法科高校の劣等生である兄・司波達也と、優等生の妹・司波深雪。これは2人の物語と言っても過言ではありません。兄・達也の最強っぷり(「劣等生」なのになぜ「最強」かは、本編をご覧ください)と、妹・深雪の重度のブラコン体質、つまり「お兄ちゃん好き好き」っぷりを、ぜひご堪能くださいませ。

−−作品が生まれたきっかけは?

 もともと、この作品は「小説家になろう」という、小説投稿サイトに掲載されていたものです。以前よりこの作品は知っていたのですが、ある日、読んでいてふと気づいたことがありました。以前、電撃小説大賞に応募されていた「とある作品」と、いくつかのポイント(設定や文体の癖)が酷似していたのです。自分の中で「これはもしや同じ作者さんなのでは?」と勘ぐっていました。そもそも「魔法科高校」がウェブ小説として人気で面白かったこともあり、とにかくこのモヤモヤを解消したいと思いまして、「なろう」の管理人さんを通して、佐島さんにお声を掛けさせていただいた、という流れです(当然、ご応募いただいた作品と、「魔法科高校」を執筆した際のペンネームは別の名義でした)。

 そしてお会いしていろんな話をしているうちに、いつしか「魔法科高校」を電撃文庫で発売してみよう、ということになり、現在に至ります。ですので、佐島さんは「なろう」のウェブ小説家さんでもあり、電撃小説大賞にご応募いただいた作家さんでもあったというわけです。

−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか。

 作家の佐島さんは、とてもきっちりした方で、性格が作風に表れているな、と思いました。しかしそんな半面、とても大胆なアプローチを作品に投入するときもありまして、なかなか侮れない人です。やはりSF系のものには一家言あるようでして、打ち合わせではいろいろ自分も勉強させてもらっています。

 イラストレーターの石田さんは、もともと超有名アニメで作画監督をされているすご腕アニメーターさんです。自分の別担当作「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」がアニメになった際、そのイラストレーターであり、アニメキャラクターデザイナーでもあるかんざきひろさんのご紹介で、アニメ「俺の妹」にも参加していただきまして、それがきっかけとなって、お声を掛けさせていただきました。石田さんは向上心がとてもある方で、お話ししていて自分も刺激になるのですが、基本的にドジっ娘(こ)だと思います(笑い)。あと、「魔法科高校」と関係ないのですが、石田さんが初キャラクターデザインを務める「アクエリオン EVOL」にもみんな、注目だ!

−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。

 興奮することは、やはり今まで佐島さんがウェブ時代に広げてきたファンの皆様のパワーを感じたことです。自分はおそらく、そのファンの皆様からすると新参者であるはずですが、それでも一緒にこの「魔法科高校」プロジェクトにかかわれることはとても光栄ですし、その分気合も入ります。ファンの皆様のパワーの一端をご紹介したいと思います。電撃文庫版「魔法科高校」の1巻は、7月10日に発売されました。ものすごい反響をいただきまして、発売翌日には品切れを起こすお店も多く出て、ご迷惑をお掛けしてしまいました。同じ轍(てつ)を踏まないよう、翌月(8月10日)発売の第2巻は、発売日前に大量重版をさせていただくほどでした。それくらい、皆様のパワーはすごかったです。現在も引き続き1巻の売れ行きも好調でして、電撃文庫史上でも類を見ないほどいい結果を出しております。

 大変なことは、やはり多くのファンがすでにいらっしゃいますので、その皆様に認めてもらうための模索をしなければいけないところです。具体的には、イラストによるビジュアル化や、電撃文庫になるにあたって改稿されるところの方向性については、もっとも大事なポイントの一つとして考えています。皆さんそれぞれ、心の中に「自分だけの『魔法科高校』」をお持ちなので、その最大公約数をどうやって取るか、というのが日々の課題となっています。

−−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 今度の展開については、「魔法科高校」はすでにウェブに掲載されている作品であるので、皆様が先を知っている状況からのスタートとなります。ですので、電撃文庫版になったときのエクストラが必要だと考えています。自分の中では、「なろう」掲載のウェブ版「魔法科高校」を、電撃文庫でメディアミックスしたようなイメージで考えています。

 メディアミックスで大事なのは、別媒体になったときの魅力と、元々のコンテンツの魅力、双方を兼ね備えねばならないという点です。「空気の読めていないメディアミックス」は、結局オリジナルコンテンツにも悪影響を及ぼします。皆さんに受け入れられるメディアミックスとして電撃文庫版「魔法科高校」を展開するにあたって、ウェブ版とどこが違っていて、それがどんな新たな魅力になっているのか。ウェブ版だけで満足できない+αはどこにあるのか。そういったところを、今後は攻めていきたいと思っていますので、ぜひ電撃文庫版も見届けていただければ幸いです。水面下ではありますが、ささやかながら別媒体の動きも進んでおりますので、皆様、この作品から目を離さないようよろしくお願いいたします!

アスキー・メディアワークス 電撃文庫編集部 三木一馬

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