注目映画紹介:「神様のカルテ」 青年医師役の櫻井翔が普段とはかけ離れたキャラを熱演

「神様のカルテ」の一場面 (C)2011 「神様のカルテ」製作委員会 (C)2009 夏川草介/小学館
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「神様のカルテ」の一場面 (C)2011 「神様のカルテ」製作委員会 (C)2009 夏川草介/小学館

 地方病院で働く青年医師の目を通して命の意義を問う感動作「神様のカルテ」(深川栄洋監督)が全国で公開中だ。原作は現役医師・夏川草介さんのデビュー作で第10回小学館文庫小説賞を受賞、09年に単行本が発売され、10年度本屋大賞第2位に輝いたベストセラー小説。主演の内科医・栗原一止(イチ)を人気グループ「嵐」の櫻井翔さんが、その妻で写真家の榛名(ハル)を宮崎あおいさんという豪華キャストと、「60歳のラブレター」(09年)や「白夜行」(11年)で知られる深川監督ら最高峰のスタッフが映画化した。

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 連なる山々と美しい自然に囲まれた信州・松本が舞台。本庄病院に勤める青年内科医・一止(櫻井さん)は、不眠不休が続く過酷な毎日を過ごしていた。彼の心の支えは古い旅館を改装したアパート「御嶽荘」に住む画家の男爵(原田泰造さん)や学士(岡田義徳さん)ら仲間たちや、最愛の妻・榛名(宮崎さん)と過ごすひとときだった。忙しい毎日を送っていたある日、一止は大学病院に誘われる。最先端医療への興味を抱くも、本庄病院の担当患者を見放すことはできないと悩む一止。そんなとき末期がんで大学病院に見放されたという安曇雪乃(加賀まりこさん)が一止を頼って診察室を訪れる。彼女を診察するうちに一止は医者として人間としての生き方を見つめ直す……という物語。

 櫻井さんは今作で、アイドルとしてのルックスや快活な笑顔を封印し、ださいパーマに銀縁眼鏡、文学かぶれの大時代的な言葉をぼそぼそとしゃべるという普段のキャラクターと大きくかけ離れた一止役を熱演し、演技面で新境地を開いた。宮崎さんは、写真家として活躍しながらも、医師の夫を陰ながら支える凛(りん)としてけなげな女性を“らしく”演じた。看護師役の吉瀬美智子さん、池脇千鶴さんも好演。松本の美しい自然と盲目のピアニスト・辻井伸行さんが奏でるピアノの音色が命の物語を清らかに盛り上げている。今回は第1巻の内容を映画化しているため、同じキャストで第2巻の映画化もあるのではと期待を持たせるラストに注目だ。27日から全国東宝系で公開中。(毎日新聞デジタル)

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