「さまよう刃」「白夜行」「容疑者Xの献身」などで知られるベストセラー作家、東野圭吾さんの同名小説の映画化「夜明けの街で」が全国で公開中だ。東野さんには珍しい恋愛ミステリーで、メガホンをとったのは「沈まぬ太陽」(09年)や「ホワイトアウト」(00年)の若松節朗監督。脚本は、今作の主演を務めた岸谷五朗さんの初の映画監督作「キラー・バージンロード」の脚本家、川崎いづみさんが担当した。
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岸谷さんふんする大手建設会社に勤めるエリート社員、渡部和也は美しい妻と可愛い娘がいる。彼の持論は「不倫をするヤツはバカだ」。ところが、深田恭子さん演じる派遣社員の仲西秋葉と、あろうことか不倫関係に陥る。妻子への罪悪感にさいなまれながらも、徐々に“甘い地獄”に落ちていく和也。一方の秋葉は、誰にもいえない秘密を抱えていた……という物語。
秋葉は、過去のある出来事から心に闇を抱えており、その謎めき、悲しげな表情で和也を夢中にさせていく。しかし同性からすると、彼女が語る言葉の一つ一つが計算高く聞こえ、それに翻弄される和也は滑稽(こっけい)にも映る。半面、木村多江さん演じる和也の妻、有美子には同情するが、同時に妻としての“底力”には感服させられる。果たして世の男性たち……とりわけ、和也と同世代の男性には、この不倫劇はどう映り、その結末をどう受け止めるのか。東野さんの小説の映画化ということでミステリー色を求めると物足りなさが残るかもしれない。そうではなく今作は、恋愛映画……しかし足元をすくわれる危険性がある……として見に行くことをおすすめする。8日から角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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