宮沢賢治の名作「グスコーブドリの伝記」が劇場版アニメ化され、12年夏に公開されることが8日、明らかになった。85年に劇場版アニメ「銀河鉄道の夜」を手がけた杉井ギザブロー監督が、監督と脚本、絵コンテを手がける。杉井監督は「賢治世界の幻想性をアニメーションの映像美として描くことで、賢治からの今の時代へと向けたメッセージとして多くの人に伝えられるエンターテインメント作品として仕上げたいと思う」と意気込んでいる。同作が劇場版アニメになるのは、中村隆太郎監督が手がけた作品が94年に公開されて以来、17年ぶり2度目。
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原作は、20年代に冷害に見舞われた東北の森を舞台に、厳しい自然と向き合う青年の姿を描いたもので、賢治の実体験が反映された名作。イーハトーブ森の木こりの息子として両親と妹と穏やかに暮らしていたグスコーブドリは、森を襲った冷害のため家族を亡くし独りぼっちになってしまう。それでもブドリは、生きるために精いっぱい働き、やがて成長し火山局に勤めるようになる。そこへ再び大きな冷害が襲う。悲劇を繰り返さないためには、火山を人工的に噴火させ、その熱で冷害を防ぐしか方法はなく、そのためには誰かが犠牲となって火山局に残らなければならない……というストーリー。ますむらひろしさんのキャラクター原案で、作画監督は江口摩吏介さんが担当する。
杉井監督は「宮沢賢治という作家の作品はいつの時代にも古びることなく、その時代への問題提起としての役割を果たしています。この『グスコーブドリの伝記』という賢治晩年の作品もまた、私たちの現在という時代が直面している環境問題とも、ある種の重なりを感じるのです。そういう意味においても賢治の作品は、その時代その時代の人々にどう読み取るかを託しているとも言えそうです。この度、この作品をアニメーション映画化するということで、私がその読み取り方の一端を担うとするなら、いまの時代の物語世界として原話をスケールアップしたかたちで演出したいと思っている」と話している。(毎日新聞デジタル)
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