注目映画紹介:「カルテット!」 被災地の浦安市で家族の“四重奏”を力強く描く

「カルテット!」の一場面 (C)2011「カルテット!」プロジェクト
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「カルテット!」の一場面 (C)2011「カルテット!」プロジェクト

 家族の絆を描く映画「カルテット!」(三村順一監督)が7日から全国で公開されている。バイオリニストとして将来を有望視されている中学生の永江開が主人公。かつては、父がピアノ、母がチェロ、姉がフルートを演奏する音楽一家だったが、父がリストラに遭い、また、姉が開の才能にコンプレックスを感じて音楽の道をあきらめかけたことから家族はバラバラに。もう一度以前のように家族でカルテット(四重奏)を演奏したい!と願った開は、家族のために奮闘するが……というストーリー。

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 今作はもともと、千葉県浦安市の市制30周年を記念して企画された。ところが、クランクイン直前に東日本大震災が起こり、ロケ地の浦安市も液状化の被害に遭ったことから製作が危ぶまれる事態になった。しかし、被災者を含め、多くの市民がエキストラとして参加。彼らの復興への願いが新しい力を生み、ついに完成に至ったという。まさに「逆境に負けない」という力強いメッセージが製作現場でも貫かれた形だ。主人公の開を演じたのは、300人のオーディションを勝ち抜き、今作が映画初主演となる高杉真宙さん。先ごろ放送されたWOWOW開局20周年記念の新春特別番組「學」(倉本聰さん脚本)での演技が記憶に残っている人もいるだろう。また、父親役を細川茂樹さん、母親役を鶴田真由さんが演じ、姉の美咲をドラマ「IS~男でも女でもない性~」にも出演した剛力彩芽さんが演じている。

 “家族カルテット”がテーマなだけに、クラシック音楽は今作におけるもう一つの主役だ。バッハの「G線上のアリア」やサン・サーンスの「白鳥」などの名曲が聴けるのも、クラシックファンにはうれしい限り。7日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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