ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第57回は樋口一葉の「たけくらべ」だ。
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皆さんこんにちは、乙葉しおりです。
先日、家族全員で1日外出した日があったんですけれど、夜になって帰宅したら、お部屋の温度計がなんと気温6度を指していました……(>_<)
あまりに寒いので、試しに廊下にペットボトルを置いておいたら、翌日になっても冷蔵庫に入れてあったみたいに冷たいままでした。
これってエコになるかなって思ったんですけど、さすがに冷蔵庫の生ものを廊下に置く勇気はありませんでした……。
さて、今回はそんな1年で最も寒い時期に生まれた、お二人の作家さんのお誕生日をご紹介しますね。
まず、1828年2月8日生まれ、フランスのジュール・ヴェルヌさん。
代表作は「八十日間世界一周」や「海底二万里」など、冒険・SF小説の大家として皆さんもご存じですよね。
ちなみに「海底二万里」は、「海底二万マイル」と呼ばれることも多いのですが、原題ではフランスの単位で、「海底二万リュー」となっています。
1リューは4キロなので、1里と単位が一致しますが、1マイルは1.6キロしかありませんから、二万マイルですと題名としては誤りなんだそうです。
また、没後90年を経て1994年に発表された「二十世紀のパリ」は、公害問題を予見した幻の作品として話題になりました。
続いて1867年2月9日生まれの、夏目漱石さん。
先日ご紹介させていただいた「吾輩は猫である」をはじめ、「坊っちゃん」「草枕」など、学校講師という仕事をしながらも精力的に作品を発表し、その後専業作家となって文豪と呼ばれるまでになっていきました。
しかし、「吾輩は猫である」の苦沙弥先生同様に胃かいように苦しみ、最長編作品「明暗」を完結させる前に亡くなられてしまったのです……。
ではここで、朗読倶楽部のお話……3度目の大会出場の思い出、第5回です。
ビブリオバトル大会も後半、みかえさんと部長さんのプレゼンも既に終わり、いよいよ私の番が迫ってきたその時、壇上に現れたのは前回大会の時に出会った、あの三つ編みおさげの彼女でした。
それだけでもちょっとした驚きだったのですが、さらに驚いたのは彼女が紹介を始めた本が、私と同じ宮沢賢治さんの作品だったということです。
この大会では「同じ作品を紹介してはいけない」というルールはないのですが、使える本が基本的に自由ですから、同じ作品がかぶることはまずないと思っていました。
そして、驚きはまだこれで終わったわけではなかったのです。
彼女のプレゼンは抑揚がしっかりしていて聞き取りやすく的確で、私が宮沢賢治さんの作品が大好きだからという色眼鏡な部分を差し引いても、とても上手に感じられました。
この後に私も同じ本を紹介するのに、どう見ても彼女の方が上手に感じられて、私が参加する意味なんてないんじゃないのかと思ってしまったのですが……と、いうところで、今回はここまでです。
次回もまた、よろしくお願いしますね。
■しおりの本の小道 樋口一葉「たけくらべ」
こんにちは、今回は樋口一葉さんの短編「たけくらべ」をご紹介します。
1895年に文芸誌「文学界」誌上で不定期に連載されたこのお話は、親のしがらみに影響される子供たちの生活や淡い思いを丁寧に描いています。
表通りは昼も夜も車が行きかい、長屋からの喧噪(けんそう)が表に響き渡る……果てなき全盛を誇る遊郭「吉原」。
僧侶の息子、藤本信如(のぶゆき)さんは、吉原から程近い入谷にある私立学校に通っています。
彼は校内一の秀才で、まじめで信心深いことから、周囲の尊敬を集めていました。
同じ学校に通う美登利さんは、一家そろって遊郭に身請けされ、ゆくゆくは姉同様に遊女となる身の上。
その境遇からか周囲に甘やかされて育ち、姉の得意客にもらうお小遣いを景気よく振る舞うお陰で、校内に取り巻きがいるほどの人気者でした。
春の運動会で、転んでしまった信如さんを美登利さんが助けた縁で知り合った2人でしたが、その様子に嫉妬(しっと)した他の生徒にからかわれ、色恋ざたの苦手な信如さんは美登利さんを避けるようになります。
美登利さんは避けられる理由が分からず腹を立て、2人の間には知らず知らずのうちに大きな溝ができていました。
一方この街の子供たちは、とび職の頭の子で「横町」に住む長吉さんと、金貸しの子で「表町」に住む正太郎さんの二つの勢力に分かれ、なにかと対立していました。
夏祭りの晩、横町の長吉さんたちは、横町住まいでありながら、親のしがらみで表町グループにも属している三五郎さんを袋だたきにします。
表町の正太郎さんと親しい美登利さんは止めに入ったものの、長吉さんから草履を顔に投げつけられ、「この方には龍華寺の藤本がついて居るぞ」と言われたのです……。
初めは子供らしい縄張り争いやすれ違いから始まるこのお話ですが、大人に近づくにつれ、親に決められた将来が間近に迫り、変わらざるを得ない自分に抵抗を感じる様子や、その猶予がまだある子供たちとのギャップが生まれていく様子が見事に描写されています。
作中の美登利さんより年上なのに、とても大人とは言えない私には、あまり実感がありませんけど……もしかしたら、大人になっていく誰もが経験していることなのかもしれませんね。
※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。
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