朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第63回 トールキン「指輪物語」

「新版 指輪物語<1>旅の仲間 上1」作・J.R.R. トールキン(評論社文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「新版 指輪物語<1>旅の仲間 上1」作・J.R.R. トールキン(評論社文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第63回のトールキンの「指輪物語」だ。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 3月25日は詩人・小説家で「若菜集」「夜明け前」などで知られる、島崎藤村さんのお誕生日です。

 「まだあげ初めし前髪の~」で有名な詩「初恋」、若者の苦悩と葛藤を描いた「春」、夏目漱石さんから絶賛された「破戒」など、多くの代表作で知られていますよね。

 機会があれば1冊ご紹介させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 さて、気がつけば春休みも中盤、すでにどこかにお出かけした方もいらっしゃることと思います。

 3月27日は「さくらの日」だそうですけど、今年は寒い日が続いた影響で開花の遅れた地域が多くて、お花見はまだこれから、という方も多そうですね。

 でも、「人の多いところは苦手」という方や、「大掛かりに準備して遠出は面倒」という方もいらっしゃるのでは?

 そんな方には、「文学史跡めぐり」なんていかがでしょうか?

 意外な場所で、意外な方の名前をみることができるかもしれませんよ。

 例えば宮沢賢治さんの場合、故郷の岩手県花巻に記念館や童話村などが集中していますが、他にも北海道旭川の記念碑や、上京時に住んでいた東京都文京区の二軒長屋跡、比叡山延暦寺の歌碑など、意外な場所にも史跡があったりするんです。

 皆さんのお家の近くも、誰かの史跡がきっとあるはず……一度、探してみてはいかがでしょうか?(*^^*)

 ではここで、朗読倶楽部のお話……「朗読倶楽部の家庭訪問」第3回です。

 今回は朗読倶楽部顧問、癸生川新先生のお家に訪問したときのお話。

 先生は学校まで車で通勤されているんですけど、 途中から私の通学ルートと同じ道を利用されているので、通学時や下校時にお会いすることも結構あるんですよ。

 お住まいは学校からそう遠くはなく、電車でひと駅程度の隣の市に、先生のお祖母さまと2人で住んでいらっしゃいます。

 私たちの学校が先生のご実家から遠かったため、たまたま近くにお住まいになっていたお祖母さまの家に「下宿」を決められたということですが、お家を拝見して驚いたのは、そのひなびたたたずまい。

 文学作品に登場する書生さんが住んでいるような、まさに「わび・寂び」の世界なんです。

 ……部長さんは、「ボロい」と口をすべらして、先生に「うめぼし」されていましたが……。

 もうひとつびっくりしたことは、先生のお祖母さまが、私の知っている方だったことです。

 実は私の祖父母が学生時代にお世話になったという恩師で、時折お家にいらっしゃっている時にごあいさつをした程度だったんですが、まさか先生のお祖母さまだったなんて、世間って狭いのかも……と思ってしまいました。

 ちなみに部屋の中も書生さんの雰囲気だったかというと……普通にパソコンがあったり、液晶テレビがあったり、そうかと思うと古びた丸いちゃぶ台や年代物の檜だんすを使っていたり、新旧混然一体とでもいうのでしょうか?

 ……部長さんは「統一感がない、散らかってる」と口をすべらして、先生に「うめぼし」されていましたが……。

 ……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 J・R・R・トールキン「指輪物語」

 こんにちは、今回ご紹介するお話はイギリスの作家、ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンさんの長編ハイ・ファンタジー「指輪物語」です。

 日本でもファンタジーファンの間で有名だった本作品ですが、2001年から公開された映画「ロード・オブ・ザ・リング」3部作によって、さらに広く知られるようになったことは皆さんもご存じかと思います。

 数千年前の地球上に、もしかしたらあったかもしれない世界「中つ国(なかつくに)」を舞台に展開する「指輪物語」は、1937年に発表された「ホビットの冒険」(このお話も映画化されるそうです)の続編として、1954年から翌年にかけて三巻構成で出版されました。

 執筆開始から実に17年の歳月を経て発表されたこのお話は、全六部構成となっています。

 ◇第1巻「旅の仲間」

 ・第1部「影の帰還」

 ・第2部「指輪の仲間」

 ◇第2巻「二つの塔」

 ・第3部「アイゼンガルドの反逆」

 ・第4部「モルドールへの旅」

 ◇第3巻「王の帰還」

 ・第5部「指輪戦争」

 ・第6部「王の帰還」

 現代に続くファンタジー作品に絶大な影響を与えているこのお話の魅力は、世界の歴史に種族体系から、神話や宗教、言語体系に至るまで、作品の中で直接語られない部分も含めて創作された「壮大な世界観」にあります。

 例えば、今日のファンタジー作品で広く取り入れられている、「エルフ」「ドワーフ」「オーク」「ホビット」「ノルド」といった種族体系は、いずれも「中つ国」の世界観から生み出されたもので、この影響一つを取ってみても、「指輪物語」が多くの人に愛され評価されていることを表しているのではないでしょうか。

 次回は「指輪物語」の最初のエピソードとなる第1部についてご紹介したいと思いますので、よろしくお願いします(*^^*)

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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